触れて食して、理解を深める。オースラリアのナッツ産業を身近に感じる食育授業|EAT
LOUNGE / EAT
2022年6月27日

触れて食して、理解を深める。オースラリアのナッツ産業を身近に感じる食育授業|EAT

EAT|オーストラリア大使館 商務部

環境と健康、どちらも支えるナッツ産業の魅力を学ぶ

2022年6月21日、東京・世田谷にある学校法人国本学園 国本小学校にて、小学生を対象にしたナッツの食育授業がオーストラリア大使館 商務部主催で行なわれた。アーモンド生産量世界2位、そしてマカダミアナッツ生産量世界1位を誇るオーストラリアのナッツ産業の生産状況やSDGsへの取り組みについて学び、「ナッツ料理研究家」の音仲紗良さんも講師として参加。殻割り体験、そして実際に見て触って食べることを通じて、ナッツへの理解と興味を深める生徒達を取材した。

Text by MIKI Haruna

地球をよりよくするために。SDGsの取組みでも優秀なナッツ産業

オーストラリアは世界2位のアーモンド生産国であり、マカダミアナッツのカーネル(むき実)に関しては世界1位を誇る。世界のおよそ30%のマカダミアナッツはオーストラリアで生産され、世界40ヶ国に輸出されている。日本も例外ではなく、普段私たちが何気なく口にしているアーモンドやマカダミアナッツも、オーストラリア産のものが多いだろう。
今回は、そんなオーストラリアのナッツの生産事情やナッツに含まれる栄養などを、小学生達が五感を使って学ぶ食育の授業がオーストラリア大使館 商務部主催で実施された。
授業のはじめは、オーストラリア大使館商務部のマレイ・スペンス参事官より、オーストラリアについての簡単なクイズ、そしてオーストラリアのナッツ産業の生産状況や、SDGsとの関係性が説明された。
実はオーストラリアのナッツ産業は、SDGsへの取り組みとしても大きく貢献している。
アーモンドはオーストラリアではとても身近な食べ物として親しまれている。スーパーに行くとアーモンド売り場はとても大きく、そのままはもちろん、砕かれていたり、他のナッツとミックスされていたりと、販売の形は様々。量り売りで必要な量だけを買うシステムとなっており、過剰な包装はされていないそうだ。
そして、アーモンドの殻は、堆肥や発電の為に再生可能なエネルギー源として再利用が可能。栄養豊富な外皮も家畜の餌となり、干ばつの時期にはとても大事な栄養源になる。さらに外皮と殻は、バイオマスの新しい利用方法としても、現在研究が進められている。
マカダミアナッツもSDGsへの取り組みとして大きく貢献している産業だ。
ナッツに穴を開ける害虫対策として、タマゴヤドリコバチの卵を活用。成長したハチが害虫の天敵となり、被害を減らす。現在は農家の約7割がこの方法を導入しており、10年間で、化学農薬の使用が大幅に減少したという。そして木や殻は発電や家畜の肥料として再利用され、枝や葉っぱなどの有機物は土に戻る。
また、マカダミアの木は、水の使用量を調整し、大気中のCO2の排出が防げることから、「持続可能性の巨人」とも呼ばれるそうだ。
このほか、アーモンド業界では最新技術を駆使して効率的に水を利用をしたり、ミツバチとのパートナーシップを結んでいる。また、マカダミアナッツ業界では有機的な代替ソリューションの検討を奨励するなど、持続可能な開発目標を達成するべく多くの活動を行なっており、経済だけでなく、持続可能な社会作りにも重要な産業と言える。

豊富な栄養素で健康面も支えるナッツを五感で楽しむ食育授業

オーストラリアのナッツの生産状況について理解を深めた後は、アーモンドとマカダミアナッツの持つ栄養素や、オススメの食べ方などを食育の観点から学ぶ。
今回講師として授業を行うのは、「ナッツ料理研究家」としてメディアでも活躍する、音仲紗良(おとなか さら)さんだ。
この時期から気をつけたい夏バテの原因や症状をクイズ形式で進め、ナッツに含まれる夏バテ予防に良い栄養素や、栄養の吸収率を高める調理方法、一緒に食べるとより良い食材などについて学ぶ。
生徒達はメモをとったり真剣に話を聴きながらも、積極的に手を挙げて発言し、楽しんで授業を受けている様子が伝わってきた。
栄養面でナッツの持つ力を知った後は、マカダミアナッツの殻割り体験へ。ナッツ類で最も硬い殻をもち、「ナッツの王様」と呼ばれるマカダミアナッツ。殻つきのナッツがグループごとに配られ、実際に現地で使われている殻割り機を2種類使用して殻割りを行なった。
初めて触るマカダミアナッツに生徒達は興味津々。ナッツを手に持った感触や殻の硬さに驚く姿や、殻に鼻を近づけ、「牛乳の匂いがする!」と新しい発見に表情を輝かせる姿なども見られた。
意外と力加減が難しいナッツの殻割り。中の実を割らず、殻だけを綺麗に割るために生徒達は殻割り機を相手に悪戦苦闘。講義中は静かにしっかりと話を聞いていた生徒達が、和気藹々と協力しあったり、綺麗に割れた殻を自慢気に見せ合う。

殻割り体験の後は、試食用のアーモンドとマカダミアナッツがそれぞれの手元に配られ、食べ比べの時間に。

生徒達は「アーモンドは噛めば噛むほどに旨味が出てきて美味しい」、「マガダミアナッツは塩気が少なくて柔らかくて食べやすい」など、好みや味の感想を出し合った。
試食の後は、事前に一人一人が考えた、アーモンドとマカダミアナッツを使った料理の発表が行われ、マカダミアナッツの食感を生かした味噌和えやタルト、アーモンドを使ったサラダなど、豊かな想像力を持ち、どのようなシチュエーションで食べたいかなど、意見を共有しあう。実際にナッツを食べた直後ということもあり、それぞれの特徴を捉えて楽しそうに話す姿を見せた。
今回の授業を通して、音仲さんは「みんながこんなに色んな種類の料理を出して、私も新しい発見があり、作ってみたいなと思うものがありました。ナッツ特有の味わいを感じられることを、みなさんがこの授業を通して知ってくれたということが、ナッツの専門家として嬉しく思います」とコメント。
参加した生徒達からも「今まではオーストラリアや他の国のことをあまり知らなかったですが、今回の授業を受けて、ナッツが世界で親しまれていて、栄養分が高いことを知り、ナッツを身近に感じられました」、「沢山の人にオススメしたいです」など、今回の授業でナッツを通してオーストラリアへの興味を持ったことや楽しんだことがわかる声が上がった。
そして授業の最後には、マレイ・スペンス参事官より「本当に楽しい時間でした。アーモンドとマカダミアナッツは朝昼夜、時間に関係なく食べられることを学んでいただけて嬉しいです」と授業を通し、ナッツをより知った生徒達への喜びが述べられた。
そして「オーストラリアに関して興味がある方は、ぜひいつか行ってみて欲しいなと思います。想像できない体験もできるので、良い機会になると思います。それではまたオーストラリアで会いましょう」と笑顔で語り、授業を締めた。
ナッツは子供だけでなく、ご飯を抜きがちな学生や社会人、忙しい毎日を過ごす多くの人達にも最適な食べ物と言えるだろう。

栄養価が高く、環境にも優しく栽培されたオーストラリアのアーモンドとマカデミアナッツ。これからの季節に怖い夏バテの予防にも心強い味方として、ナッツを積極的に食に取り入れて過ごしたい。
問い合わせ先

オーストラリア大使館 商務部
https://www.austrade.gov.au/local-sites/japan/contact-us/enquiry-form

                      
Photo Gallery