ロットネスト島で、世界一幸せな動物“クオッカ”に恋をした|TRAVEL
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2024年3月13日

ロットネスト島で、世界一幸せな動物“クオッカ”に恋をした|TRAVEL

TRAVEL|西オーストラリア州

3記事連載。自然と街が共存する楽園、西オーストラリア州へ。その3

2023年12月、ANAの成田=パース直航便を利用して、初めての西オーストラリア州へ。州都パースを中心に、多彩な魅力を持つ西オーストラリア州を紹介するシリーズの第3弾は、世界一幸せな動物“クオッカ”が住むロットネスト島をピックアップします。

Text by HASEGAWA Aya

パースから日帰りもできるロットネスト島を探索

地中海性気候のパースはオーストラリアのなかでも晴天が多いことで知られています。冬の寒さも厳しくなく、夏も湿度が低いとあり、1年を通して快適に過ごせる場所。多くの野生動物が生息しているのもよくわかります。
なかでも西オーストラリアを訪れたら、絶対会いたいのがクオッカ。笑っているように見える表情から、「世界一幸せな動物」と言われている、オーストラリア固有の小型有袋類です。正式名称は「クオッカワラビー」といい、個体にもよりますが、体長40~50センチ、体重約2~4キロほど(子どもは小さいのですぐわかります)。生まれてから、約半年間はお母さんのお腹の袋(育児嚢)で過ごすのだとか。かつてはオーストラリア大陸の南西部にも生息していましたが、環境破壊によって激減。現在では、その多くは自然環境が保護され、また天敵がいないロットネスト島で暮らしています。
ロットネスト島
https://www.rottnestisland.com/
Rottnest Express(フェリー)
https://rottnestexpress.com.au
“クオッカ天国”として知られるロットネスト島は、面積は約19平方キロメートルで新宿区とほぼ同じ大きさ。パースの沖合約19キロメートルに位置し、パース中心部からフェリーで片道約90分、港町フリーマントルからはフェリーを使い約30分でアクセスできます。パースから日帰りも可能な立地にありながら、ロットネスト島は、独自の生態系を持つ、風光明媚なリゾートアイランド。長期滞在している旅行者も少なくありません。島の宿泊施設はどこもすぐに予約でいっぱいになってしまうそう。ターコイズブルーのグラデーションが美しい海を目の前にした筆者、水着を持参しなかったことを深く後悔しました……。
ロットネスト島には約1万2千頭が生息していると言われていますが、たしかに島の至るところでクオッカに遭遇します。夜行性なので、日中はうじゃうじゃ、というほどではないのですが、「会えなかったらどうしよう~」という心配は皆無。クオッカの“落とし物”もたくさん転がっています(笑)。そもそもロットネスト島という名前は、オランダの探検家が島に上陸した際、クオッカをネズミと勘違いし、オランダ語のネズミの巣(Rottenest)と呼んだことに由来するのだとか。……本当に⁉
とはいえ、クオッカさん、実はレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。なので、とても愛らしくて、つい手を出したくなりますが、おさわりはご法度。餌付けも禁止です。スーパーやパン屋には、『クオッカ立ち入り禁止』の看板が掲げられていました(笑)。これがないと、勝手に入ってきてしまうということですね。ちなみに、その小さなスーパーは、クオッカグッズにあふれていました(笑)。
最初に断っておきますが、筆者は特別有袋類好きというわけではありません。が、実際に出会ってみると、「ちょっと~、思った以上にかわいいんですけど!」と大興奮。そして、確かに噂に違わず笑っているように見えます。もしかして、本当に笑ってる⁉ つぶらな瞳もめちゃくちゃキュート! 気づけば、すっかりクオッカの虜に。クオッカグッズ(ぬいぐるみ、Tシャツ、帽子などいろいろあるのですよ)を大量に購入し、日本に持って帰りたいという衝動を抑えるのに必死でした。有袋類好きならクオッカに会うためだけにでもパース便に乗ってもきっと後悔しないはずです。
なお、ロットネスト島は島全体がA級⾃然保護区の国⽴公園に指定されて、島内への一般車両の乗り入れはNG。島内での移動は徒歩かサイクリング、巡回バス、電動カートの「クオッカ・ホッパー」を使うことになります。だからこそ手つかずの自然が美しく、そして、クオッカにとっては天敵のいないパラダイス、というわけです。
ちなみに、ロットネスト島の日本人ガイドさんから聞いたのですが、日本でもクオッカに会うことができます! 2020年、埼玉県東松山市の埼玉県こども動物自然公園に、同園のたっての希望もあり、オーストラリアのフェザーデール自然動物公園からクオッカのオスとメス各2頭が贈られました。待望の赤ちゃんも誕生。親子ともども大切に飼育されていて、今では同園随一の人気者に。そして、埼玉のクオッカ一家は、現在、オーストラリア以外で生息する、世界で唯一のクオッカなのだそう。
フリーマントル
さて、ロットネスト島を訪れるなら、その玄関口であるフリーマントルでもぜひ時間を作ってみてください。パースから電車やバスで30分ほどでアクセスできる港町です。イギリスの植民地時代のコロニアル建築が今なお残り、19世紀にタイムスリップしたかのような街並みは、ローカルにも観光客にも大人気。アメリカの『タイム』誌の「WORLD’S GREATEST PLACES 2022」にも選ばれており、旧フリーマントル刑務所は世界文化遺産に登録されています。
フリーマントルマーケット
https://www.fremantlemarkets.com.au/
週末(金曜から日曜)に開催される「フリーマントルマーケット」は、1897年から開かれている歴史あるマーケット。開催日には150以上のお店がオープン、ナッツ屋やオーガニックティーの店、賞味期限が10日間ある、保存料不使用のハニーケーキなど、地元産のアイテムがずらりと並びます。食べ物だけでなく雑貨も充実していて散財注意です(笑)。
シセレロス
住所|44 Mews Road, Fremantle WA 6160
Tel.|+61 8 9335 1911
https://www.cicerellos.com.au/
そうそう、忘れちゃいけません、海辺のレストランで味わう魚介料理も格別です。今回は港に面した「シセレロス」へ。フィッシュ&チップスが美味しいと評判の店ですが、ガイドさんのオーダーは世界的に有名な西オーストラリア州産のロブスター(伊勢海老)のグリル。パースの名物料理「チリマッスル」(ムール貝を唐辛子(チリ)の効いたトマトソースで煮込んだ料理)もいただきました。
「チリマッスル」、今回のツアーで何度か試してみたのですが、店によって味付けが異なるのが興味深く、どの店でも「お手並み拝見」してみたくなり困りました(笑)。もちろん、辛さも調節してもらえます。筆者はちょっと辛めが好み。白ワインにもよく合います。
取材協力:西オーストラリア州政府観光局、ANA
https://nonbiri-perth.com
https://www.ana.co.jp/ja/jp/international/theme/new_journey/
                      
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