松浦俊夫|ジャザノヴァのアレックス・バーク、初のソロアルバムを発表!
松浦俊夫|from TOKYO MOON 10月20日 オンエア
ジャザノヴァのアレックス・バーク、初のソロアルバムを発表!
DJ松浦俊夫による、大人のための音楽番組『TOKYO MOON』。日曜の夜23:30から、InterFM 76.1MHzにてオンエア中です。世界中から選りすぐった“フレッシュ”な音楽や、大人の知的好奇心を刺激するトピックスをご紹介。ここではオンエアされたばかりの内容を振り返ります。アーティストについて深く掘り下げたり、関連した楽曲を紹介したり、さらにはその曲が購入できたりと、『TOKYO MOON』を目と耳で楽しむ連載です。今週は初のソロアルバムをリリースしたばかりのアレックス・バークにスポットを当ててお届けします。
Text by MATSUURA Toshio
インド洋に浮かぶ島、レユニオンで生まれた音
1990年代後半、いまでいうクラブジャズ・シーンは、ブラジル、サントラ、トリップ・ホップ、ドラムンベースといった多種多様な音楽ジャンルを巻き込みながら、世界中に拡大していました。そんななか、突如1997年にドイツのフューチャー・ジャズ・レーベルであるコンポスト(Compost)から届いた、JCRというレーベルの「Jazzanova EP1」と記された1枚の12インチ・レコード。ジャズのビートとブラジリアン・パーカッション、そしてシネマティックなコーラスが交錯しながらハウス・ビートに展開していくという、近未来的な感覚を持ち合わせたこの楽曲。これこそが、いまや世界中にその名を知られるクラブジャズ・コレクティブとなった、ジャザノヴァ(Jazzanova)のデビュー曲「Fedime's Flight」だったのです。
このあたらしいプロダクションを気に入ったU.F.O.は、当時企画していたリミックス・アルバムに、日本ではほとんど知られていなかった彼らをリミキサーとして起用し、翌年にはU.F.O.のレーベル企画であるDJミックス・シリーズ“Phonofile”に指名し、我が国でもその存在が知られることとなりました。
そして2枚目のEP2に収録された、BPM140を超える超高速ブレイク・ビーツ「Caravelle」でさらなるブレイクを果たし、その後、数多くのアーティストのリミックス、プロデュースを手掛けながらシーンを牽引する重要な存在へとなっていきました。
そして2002年、満を持して発表したファースト・アルバム『In Between』は、サンプリングと生楽器を絶妙にミックスして作り上げた、クラブジャズの最高峰のひとつとして、いまも語り継がれる名作となりました。よりソウル的なアプローチに寄った2作目『Of All The Things』(2008年)を経て、昨年発表した3作目『Funkhaus Studio Session』を機にライヴ・バンドを組織し、日本のフジロック・フェスティバルをはじめ、世界各地を精力的に飛び回る日々を送りながら活動を続けています。
2011年、おなじくドイツのプロデューサー、クリスティアン・プロマー(Christian Prommer)とのユニットPrommer & Barckで、先駆けてジャザノヴァ以外での作品を発表。その後ソロ活動を活発化させていき、そして昨夏から1年間、家族とマダガスカル島東方のインド洋にあるフランス領、レユニオンに生活の場を移した期間に作り上げたのが『レユニオン(Reunion)』なのです。
中央に高い山を有し、美しい自然に恵まれた小さな火山島という、とてもリラックスした環境のなかで生み出された楽曲は、シンプルなリズム・トラックにアーネスト、ピート・ジョセフ、ジョナタン・ベッケリーらのソウルフルなボーカルがフィーチャーされた、エレクトリックなダンス・ソウルと言えるもの。随所にちりばめられたアフリカを感じるアレンジも効いている心地よいアルバムです。このソロ・アルバム制作を経て、ドイツ・ベルリンに帰還した彼とジャザノヴァの“次”に大きな期待がかかるのは、わたしだけではないはずです。その動向に注目しましょう。
REVIEW|TRACK LIST
★マークのついた楽曲をクリックすると、試聴・購入することができます。あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。
01. Ichiko Aoba 青葉市子 / i am POD (0%) (Speedstar)
02 . Naná Vasconcelos / Terráqueos - Vida - Bush Dance (Far Out)
03. Alex Barck / Oh Africa (Sonar Kollektiv / P-Vine)★
04. Alex Barck / Spinning Around (Sonar Kollektiv / P-Vine)★
05. Luxury. / J.A.W.S (Method)
06. Peshay / Kickin' It With The Piano Trio (Tru Thoughts)
07. Turner Bros / Cause I Love You - Sun Sound re-edit by Paolo Scotti & Giacomo Silvestri (Ubiquity)★
08. The Bahama Soul Club / Moaners -suonho Good Love Remix (Buyu)★
09. The First Gear / I Feel The Earth Move (Myrrh)
10. Tony Allen, M1 + Baloji / Afrodisco Beat 2013 (Knitting Factory / Red Hot)★
11. Hypnotic Brass Ensemble / City Livin (P-Vine)★
12. The Electric Peanut Butter Company / El Prudence (Ubiquity)
13. Blo / Chant To Mother Earth (P-Vine)★
今週の「TOKYO MOON on iTunes」
これまでに紹介した楽曲のなかから、選りすぐったものをここで購入できます。気になった楽曲がすぐ入手できる喜びを味わってください。今回紹介したアレックス・バークの関連作3曲をピック・アップしました。ジャザノヴァ本体、ユニット、そしてソロのサウンドを比較しながら聴いてみてください。
楽曲をクリックすると、試聴・購入することができます。
あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。
Prommer And Barck / Sleeping Beauty 2011.4.3 ON AIR
Jazzanova / I Human 2012.2.26 ON AIR
Alex Barck / Atmosphere 2013.4.14 ON AIR
ジャイルス・ピーターソンとアレックス・バーク、5年ぶりの東京での競演
そのアレックス・バークが、11月1日(金)から4日(月・祝)まで、東京で開催される『レッドブル・ミュージック・アカデミー・ウィークエンダー』の一環として、渋谷のSOUND MUSEUM VISIONでおこなわれる「CLUB NIGHT」のために来日します。
秋の音楽の祭典とも言えるこのイベント。1年9カ月ぶりの東京でのクラブ・プレイとなる、クラブ・ジャズのドン、ジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)をはじめ、ニューヨークからFaltyDL、グラスゴーからKoreless、日本から沖野修也、cro-magnon、grooveman Spot、そしてわたし松浦という新旧のアーティストとともに、新作を携えて登場します。ぜひ遊びに来てください。
Red Bull Music Academy Weekender「Club Night」
日程|11月3日(日)
時間|23:00開場
料金|男性 3500円、女性 2500円(ともに1ドリンク付き) ※フライヤー持参で500円オフ
出演|Gilles Peterson / Alex Barck (Jazzanova) / FaltyDL / Koreless / SHUYA OKINO(KYOTO JAZZ MASSIVE) / grooveman Spot / cro-magnon / 松浦俊夫ほか
会場|SOUND MUSEUM VISION
東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビルB1F
Tel. 03-5728-2824
http://www.vision-tokyo.com/
松浦俊夫『TOKYO MOON』
松浦俊夫『TOKYO MOON』
毎週日曜日23:30~24:30 ON AIR
水曜日26:00~27:00(再放送) ON AIR
『TOKYO MOON』へのメッセージはこちらまで
moon@interfm.jp
Inter FM 76.1MHz
www.interfm.co.jp