松浦俊夫|進化する若き才能、ジェイムス・ブレイク
Lounge
2014年12月5日

松浦俊夫|進化する若き才能、ジェイムス・ブレイク

松浦俊夫|from TOKYO MOON 4月14日 オンエア

進化する若き才能、ジェイムス・ブレイク

日曜の夜、上質な音楽とともにゆったりと流れる自分だけの時間は、おとなたちの至福のとき。そんな時間をさらに豊かにするのが、DJ松浦俊夫によるラジオプログラム『TOKYO MOON』──。彼が世界中から選りすぐったすばらしい音楽や知的好奇心を刺激するおとなのためのトピックスを、毎週日曜日Inter FM 76.1MHzにて23:30からオンエア。オンエアした楽曲のなかから、今回は先日セカンド・アルバム『Overgrown』を発表したばかりのジェイムス・ブレイクにスポットを当ててお届けします。

Text by MATSUURA Toshio

ジェイムス・ブレイクが恋をした!

2009年、大学生のときにデビューを果たしたイギリスの若きシンガー・ソング・ライター、ジェイムス・ブレイク。マウント・キンビーやブリアルといった、先鋭的なエレクトリック・ダンス・ミュージックのアーティストから影響を受けた彼は、ポスト・ダブステップとメディアから呼ばれることになる、ミニマルでありながら重厚なベースと変則的なビート、そして加工されたボーカルを巧みに融合。あたらしいサウンドを創造し、アンダーグラウンドなシーンでその名を轟かせました。

そして、その後ファイストの「Limit To Your Love」を、オリジナルの持つ透明感ある美しさを残しつつ、響き渡るピアノの旋律と地響きを立てるかのような低域とともに再構築することに成功。一躍“時の人”として世界中のポップ・フィールドまで知られることになりました。

James Blake - Limit To Your Love

そして2年前のファースト・アルバム『James Blake』ではさらに感性を研ぎ澄ませ、ミニマルな音像空間で内に秘めた孤独や哀しみを歌い上げ、シンガー・ソング・ライターとしての才能を一気に開花させました。そのタイミングでアーティストして初来日を果たし、アルバムの持つ静寂さを吹き飛ばすかのようなアグレッシヴなライヴを披露し話題騒然ととなります。

その後も世界中を旅しながらライブで観衆と対峙し続け、その表現方法においても進化させたのか、昨夏のフジロック・フェスティバルでは圧倒的なステージングでそこにいる者たちを完全にノックアウトしてみせました。

そうしたなか、プライベートでは初めての恋愛を経験するなど、人として交流しながら成長していったのでしょう。先日発表されたセカンド・アルバム『Overgrown』では、ボーカルのエフェクトは前作に比べ抑えられ、また歌詞にも愛についての語ることが多くなり、彼の“体温”は上がったかのように感じられます。

それでも挑戦はつづき、先鋭的な音楽家であり続けるブライアン・イーノとの共作「Digital Lion」、ダンス・フロアーを意識した「Voyeur」など、聴く者にあたらしい印象を与えたのです。

James Blake 『Overgrown』

James Blake 『Overgrown』

James Blake - Voyeur

幼少の頃に聴いたロバート・ジョンソン、サム・クックといったブルーズやゴスペル。クロスビー・スティルス・アンド・ナッシュやジョニ・ミッチェルなどのフォーク・ロック、スティーヴィー・ワンダーらのソウルが染み込んだ体で実験を繰り返しながら新しい時代を切り開いていく彼から、これからも目が離せません。

6月の公演ではどんな“驚き”を見せてくれるのか。いまから楽しみです。


Maylee Todd 『Escapology』

Maylee Todd 『Escapology』

Karen Mok 『Somewhere I Belong』

Karen Mok
『Somewhere I Belong』

Jukka Eskola Orquesta Bossa 『Jukka Eskola Orquesta Bossa』

Jukka Eskola Orquesta Bossa
『Jukka Eskola Orquesta Bossa』

Joyce Moreno 『Tudo』

Joyce Moreno 『Tudo』

Shokazulu 『Shokazulu』

Shokazulu 『Shokazulu』

Rocketnumbernine & Four Tet 「Roseland / Metropolice」

Rocketnumbernine & Four Tet
「Roseland / Metropolice」

Radio Slave 「Tantakatan Remixes」

Radio Slave 「Tantakatan Remixes」

V.A. 『Who's That Man Tribute to Conny Plank』

V.A.
『Who's That Man Tribute to Conny Plank』※Eurythmics収録

REVIEW|TRACK LIST

★マークのついた楽曲をクリックすると、試聴・購入することができます。あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。

01. Maylee Todd / Wash The Seeds (P-Vine)
02. Karen Mok / The Face That Launched A Thousand Ships (Universal)
03. Jukka Eskola Orquesta Bossa / Chester-le-Street (Zounds)
04. Joyce Moreno / Quero Ouvir Joao (Far Out)
05. Shokazulu / Sammy Sebastian -Dego's KJM Version (2000 Balck / BBQ)
06. James Blake / Retrograde (Universal)
07. James Blake / Digital Lion (Universal)
08. Rocketnumbernine & Four Tet / Roseland (Text)
09. Radio Slave / Tantakatan -Prins Thomas Diskomiks (Rekids)
10. Eurythmics / Take Me To Your Heart -Popnoname Remix (Groenland)
11. Alex Barck / Atmosphere (Sonar Kollektiv)
12. Tosca / Stuttgart - Marlow & Trueby latest mix (g-stone)
13. Ladi6 / Ikarus (Eskapaden)
14. Georgia Anne Muldrow & Dudley Perkins / Popstopper (SomeOthaShip Connect)
15. Cookin' on 3 Burners / This Girl (Freestyle)
16. Lady / If You Wanna Be My Man (Truth & Soul)
17. Patricia Marx / Espelhos D'Água (P-Vine)

Alex Barck &
Jonatan Bäckelie 「Don't Hold Back」

Ladi6 「Ikarus」

Georgia Anne Muldrow & Dudley Perkins
「Popstopper」

Cookin' on 3 Burners
「This Girl」

Lady 『Lady』

Patricia Marx 『Trinta』


今週の「TOKYO MOON on iTunes」

これまでに紹介した楽曲のなかから、選りすぐったものをここで購入できます。気になった楽曲がすぐ入手できる喜びを味わってください。今回は過去にTOKYO MOONでオンエアしたジェイムス・ブレイクの楽曲のなかから、インディペンデント・レーベルからリリースした2曲と、彼の人生に大きな影響を与えたというスティーヴィー・ワンダーの曲を紹介します。

楽曲をクリックすると、試聴・購入することができます。
あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。

James Blake / I'll Stay
James Blake / Pan
Stevie Wonder / You & I  すべて2011.11.6 ON AIR

松浦俊夫『TOKYO MOON』

毎週日曜日23:30~24:30 ON AIR
Inter FM 76.1MHz

『TOKYO MOON』へのメッセージはこちらまで
moon@interfm.jp

Inter FM 76.1MHz
www.interfm.co.jp

           
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