松浦俊夫|Kyoto Jazz Massive 沖野修也ニューアルバム『DESTINY』リリース記念対談!
Lounge
2015年5月11日

松浦俊夫|Kyoto Jazz Massive 沖野修也ニューアルバム『DESTINY』リリース記念対談!

松浦俊夫|from TOKYO MOON 7月10日 ON AIR

Kyoto Jazz Massive 沖野修也氏をゲストに迎えて

ニューアルバム『DESTINY』リリース記念対談!(1)

日曜の夜、上質な音楽とともにゆったりと流れる自分だけの時間は、大人たちの至福のとき。そんな豊かな時間をお届けするのは、DJ松浦俊夫によるラジオプログラム『TOKYO MOON』──。彼が世界中から選りすぐったすばらしい音楽や知的好奇心を刺激する大人のためのトピックスを、毎週日曜日Inter FM 76.1MHzにて19時からオンエア。ここでは、毎週オンエアされたばかりのプログラムをお届けします。今週はKyoto Jazz Massive 沖野修也氏のニューアルバム『DESTINY』のリリースに先立ち、意外にもはじめてとなる、ラジオでの共演が実現しました!

Text by MATSUURA Toshio

番組ではオンエアできなかったトークも、ノーカットでお届け!

今回は7月13日(水)にニューアルバム『Destiny』をリリースするKyoto Jazz Massiveの沖野修也さんをゲストにお迎えして、作品のコンセプトや制作のお話などをうかがいました。じつは沖野さんと僕は年齢が一緒。しかも20年以上の付き合いがありながら、ラジオでお話するのははじめてのこと! 番組ではオンエアしなかったパートをふくめ、ノーカットでお届けします。

REVIEW|TRACK LIST
01. Ben Westbeech / Butterlies (Strictly Rhythm / P-Vine)
02. Shuya Okino / Deep Into Sunshine (Village Again)
03. Shuya Okino / Take A Look At Yourself (Village Again)
04. Shuya Okino / Holding You,Loving You (Village Again)
05. Jeremy Glenn / New Life - Alex Barck Remix (Future Classics)

20年来の友人と、はじめてコラボレーションが実現!

松浦 今週は久びさにスタジオにゲストが来てくれました。7月13日(水)にアルバム『DESTINY』がリリースされる、Kyoto Jazz Massive 沖野修也さんです。まずはアルバム完成おめでとうごさいます。リリースまで時間がかかりましたね。

沖野 紆余曲折を経て、いよいよ発売にこぎつけました。

松浦 「DESTINY」という曲もアルバムには収録されていますが、このタイトルの意味とは?

沖野 タイトル曲を歌っているのは、N'Dea Davenport(エンディア・ダヴェンポート)という、THE BRAND NEW HEAVIES(ブラン・ニュー・へヴィーズ)のボーカリストで、彼女とは20年来の知り合いなんですけど、じつはこれまで一度も共演がなかったんです。それで20年経ったいま、はじめてコラボレーションするにあたり、「これってなにかなの縁かな?」「運命かな?」なんて会話があり、じゃあそれをテーマに歌詞を書いてくれないか、ということになったんです。
ほかのメンバーも、3人は前作『UNITED LEGENDS』に引きつづきおなじ顔ぶれで、ひとりPete Simpson(ピート・シンプソン)という『THE ROOM』で出会ったアーティストがあらたに参加していますが、今作はこれまで親交のあった方々と、より絆を深める意味あいをもって作ったので、このタイトルがいいかなと。

Kyoto Jazz Massive 沖野修也

作曲家としての沖野修也、DJとしての沖野修也

松浦 すでにこの番組でも「Still In Love ft. Navasha Daya」「Love And Live ft. Navasha Daya」をオンエアし、リスナーからのリアクションも大きかったのですが、とくに「Still In Love」はRose Royce(ローズ・ロイス)のカバーで、これはロンドンでもかなり話題となり、Gilles Peterson(ジャイルス・ピーターソン)によるBBCのラジオ番組で年間チャート2位に選ばれ、先にシングルとしてリリースされました……それはいつでした?

沖野 2月くらいかな?

松浦 そしてついにアルバムが完成した、ということですが、半分がカバー曲、半分がおなじボーカリストがオリジナル楽曲を歌うという、これまたあたらしい、沖野さんっぽい構成になっていますね。

沖野 このアルバムを作るにあたり、U.F.Oのファーストアルバムと、Nuyorican Soul(ニューヨリカン・ソウル)を聴いてみたんです。U.F.Oはカバー曲はそんなに多くないけど、クラシックスへのオマージュのような要素があったり、ニューヨリカン・ソウルはカバー曲にしても、オマージュを捧げる楽曲のセレクトがすごくいいなと思ったんですよね。

DJ/プロデューサーが作るアルバムにカバーは不可欠なんじゃないかなと。『UNITED LEGENDS』はすべてオリジナル曲だったんですけど、あらためて“作曲家としての沖野修也”と、カバーを選曲するという意味での“DJとしての沖野修也”、両方を表現できればと思ったのですが、単純に半分カバー、半分オリジナルではつまらないから、あえておなじボーカリストにカバーとオリジナル両方を歌ってもらい、過去のレジェンドが作った曲か、僕が作った曲か、どちらがいいかリスナーに聴き比べてもらおうと(笑)。

松浦俊夫|from TOKYO MOON 7月10日 ON AIR

Kyoto Jazz Massive 沖野修也氏をゲストに迎えて

ニューアルバム『DESTINY』リリース記念対談!(2)

楽曲への愛情

松浦 企画力の豊かさが沖野さんっぽいといいますか(笑)。今回ゲストとして来ていただくにあたり、カバー曲もオリジナルも聴きなおしてきたんですど、まずオリジナルの段階で非常に沖野さんらしい楽曲だと思いました。それをドラスティックにガラリと変えるというよりは、元曲のよさを活かし、それを現代に蘇らせている、というところに楽曲への愛情を感じました。楽曲のセレクトはどのように?

Shuya Okino / Destiny

Shuya Okino / Destiny (Village Again)
2011.7.13 On Sale

沖野 じつはボーカリストを5人決めてから、彼らの声に一番合う曲はなんだろう、しかもその5曲は彼らの声に合うと同時に、僕のフェイバリットというか、“沖野修也ワールド”をきちっと伝えられる曲でないとダメかなと。なので僕っぽい曲と言ってもらえるのは非常に光栄ですね。

松浦 Eddie Russ(エディ・ラス)の「See The Light」も意外と見逃していた曲だったなって思いました(笑)!

沖野 みなさんご存知なんですけど、なかなか忘れられがちな曲ですよね(笑)。

松浦 だいたい1970年後半から80年後半あたりからのセレクトだったようですが、これもたぶん狙いなんじゃないかなと思ったんですけど、いかがでしょう?

沖野 とくに日本のクラブジャズシーンはバンドがけっこう元気で、モード的にはわりと50~60年代。70年代以前のインフルエンスってすごく大きいと思うんですよね。だからあえて僕は70年代から80年代初頭の、あまり生バンドの方々がやっていない領域に踏み込んで、なおかつ僕のもっているジャズのフレーバーをプラスすることで、“ブギ―とジャズのありそうでなかった融合”のようなものができたらなと思って。

前から思ってたんですけど沖野さんって、黒いなって(笑)

松浦 僕はもう10年以上ボーカリストと一緒にレコーディングしていませんが、さきほど話にありました、ボーカリストの声やキーと曲の相性ってとても大きな問題なので、ボーカルに合わせて楽曲を選ぶ、というのはあたらしいなと思いました。それで、仕上がったものを聴いて思ったのが、参加しているメンバーもあれですが、全体的に黒いですよね……前から思ってたんですけど沖野さんって、黒いなって(笑)。

沖野 どういう例え、それ(笑)!

松浦 Blacknessとか、Soulness、Funknessといったものって、どちらかというとブラックミュージックより、フュージョンというイメージが強かったので、『DESTINY』のアルバムは全体的にドス黒い……のではなく、なんていうか、浅黒い!?

沖野 浅黒いって(笑)!

松浦 浅黒いってことはないか(笑)。なんだろう、ヨーロッパ的なんだけど、アメリカでも受け入れられる感じ、と思ったんです。

沖野 たしかにレコード会社の方と話していても、いままでのように“クラブセクション”というだけでなく、ダンスでも、どちらでもいけるというか、ソウルやリズム&ブルースのセクション向きかもって言われます。

松浦 それはひとつありかなと思いますけどね。“クラブミュージック”というひとくくりのなかで、というよりは、リスニングという点でもボーカルが入っていますし、きちんとした楽曲に仕上がっているので、あまり“クラブミュージック”っていうくくりにこだわらないほうがいいのかなと。とくに今年はソウルミュージックを聴くひとが増えたのではと僕は思うんですよね。ではここで一曲。ご自身でタイトルをお願いします。

沖野 僕のあたらしいアルバム『DESTINY』のなかから聴いてください。沖野修也で、「Holding You,Loving You ft. Pete Simpson」です!

松浦俊夫|from TOKYO MOON 7月10日 ON AIR

Kyoto Jazz Massive 沖野修也氏をゲストに迎えて

ニューアルバム『DESTINY』リリース記念対談!(3)

沖野さんは、あたらしいタイプのDJ!?

松浦 このチョイスもまた、あたらしいなと思いました!

沖野 じつはこれ、アレンジに苦労したんです……。オリジナルの完成度が高すぎて、どうしても超えられないんですよ。なのでジャズヒップホップの雰囲気になっていますが、わりとコードはそのままなんですよ。選んだものの、難易度が高かった(笑)。

松浦 80年代のソウルとか聴いていたひとにはずばり響くのではないでしょうか。“ジャズヒップホップ”と言われましたが、僕には80年代の香りが愉しめる一曲なのではと思っています。それにしても前作からもう4年以上……あっという間ですよね、そう考えると。このアルバムに先だって、3冊目ですか? 書籍『フィルター思考で解を導く』が発売されましたね。すいません、じつは僕まだ読めてなくて……。

沖野 いえいえ、そんな謝らないで(笑)!

松浦 おもしろいとの噂は耳にしていますよ。CDが付いているバージョンもあるそうですが、やはり沖野さんのおもしろさって、さっきも言ったけど、音楽の聴かせ方がこれまでにないというか、ストレートに音楽や本を手に取らせるというよりかは、なにかあたらしいアイディアを盛り込むことで興味をもたせるやり方というのが興味深いなと思っています。昔から……それこそ『THE ROOM』で大晦日に24時間DJしてみたりとか(笑)、あたらしいタイプのDJなのではないかと。いろんな街に行っても沖野さんの話になりますよ。

沖野 イロモノっぽい(笑)? 僕ね、基本スタンスは音楽家なんです。まじめに音楽作っているし、ただ「いいことをやっているから、音でわかれ」っていうような時代でもないと思うので、手に取ってもらうためにいろいろ工夫して、僕に興味のないひとでも思わず聴きたくなるような仕かけというのはいつも考えています。単純に音楽業界が厳しいとか、むずかしいとか言わずに、そのなかでも、“ああ、こういうふうにすれば聴いてもらえるんだ”“こういう仕かけを作ったら、もっともっと広がるんだ”ということってまだまだあると思うんですよ。だから僕がやっていることすべてうまくいくかどうかはわからないけど、つねにトライはしていこうと思っています。笑われることもあるでしょうけど(笑)。

7月30日(土)、リリースパーティ開催!

松浦 沖野さんのなかには夢が詰まっているんだろうなと思います。懐がまだまだ深いという気がしていて、これからも楽しみにしています! さて、このニューアルバム『DESTINY』ではツアーの予定はあるんですか?

沖野 7月30日(土)にリリースパーティを東京でやるんですけど、僕の本拠地でもある渋谷の『THE ROOM』にて、レギュラーパーティ「SOUND SANCTUARY」を今回は「SOUND SANCTUARY Special」と題し、沖野修也リリースパーティを開催します。ゲストにはPatrick Forge(パトリック・フォージ)を呼んでいます。

松浦 ロンドンから来てくれるんですか? すばらしいですね! 今日のゲスト 沖野修也さんのニューアルバム『DESTINY』は7月13日(水)リリースです。ぜひ書籍も併せてお買い求めください。今日はどうもありがとうございました!

松浦俊夫『TOKYO MOON』

毎週日曜日24:00~24:30 ON AIR
Inter FM 76.1MHz

『TOKYO MOON』へのメッセージはこちらまで
moon@interfm.jp

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www.interfm.co.jp

           
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