MUSIC|NIGO®がアートワークを担当する「1966QUARTET」に注目
LOUNGE / MUSIC
2015年1月17日

MUSIC|NIGO®がアートワークを担当する「1966QUARTET」に注目

MUSIC|新譜『Help! ~Beatles Classics』のアートワークをNIGO®が担当!

女性カルテット「1966QUARTET」に注目(1)

ビートルズ初代担当ディレクター高嶋弘之氏がプロデュースし、2010年に『ノルウェーの森 ~ザ・ビートルズ・クラシックス』でCDデビューした女性カルテット「1966QUARTET(1966カルテット)」。2011年にクィーンをカバーしたセカンドアルバム『ウィ・ウィル・ロック・ユー ~クイーン・クラシックス』を、2012年に『スリラー ~マイケル・ジャクソン・クラシックス』をリリースし、全国各地でのコンサートで着実にファンを増やしている。そして6月5日(水)に4枚目のアルバムとなる『Help! ~Beatles Classics(ヘルプ!~ビートルズ・クラシックス)』をリリース。今回の新譜では、アートワーク、コーディネート、PVなど、音楽以外のすべてのアートワークをNIGO®氏が担当していることで、早くも話題だ。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by SUZUKI Kenta

クラシックでもなく、ポップスでもなく……あたらしいジャンルをつくりたい

最初に登場するのはヴァイオリン担当で、リーダーの松浦梨沙さん。「トム ブラウンのパンツスーツ、かっこいいですよね。4人お揃いのユニフォームは初めてで、このコーディネイトを着ると背筋が伸びます」と楽しそうに笑う。

「NIGO®さんにはCDを聴いてもらって、コンサートにも何度も来ていただいていました。だから今回のアートワークのプロデュースの話を最初に聞いたときには、本当にビックリしました。4年間頑張ってきてよかったなと思います。トム ブラウンのパンツスーツを着て写真を撮ったり、演奏しているのが不思議で、こういう服は着たくても着られないので、とても幸せです。

4年前にリリースしたデビューアルバムの『ノルウェーの森 ~ザ・ビートルズ・クラシックス』は、1962年に『Love Me Do』でデビューしたビートルズを聴いていたビートルズ世代の皆さんに楽しんでいただける内容でしたが、今回の『ヘルプ!~ビートルズ・クラシックス』は、ビートルズを知らなくても楽しめる選曲になっています。これまでクィーンやマイケル・ジャクソンのアルバムもリリースしていますが、誰でも知っているアーティストの有名な曲だと思って聴いてみたら、“想像よりちょっとちがった世界だった”と思っていただければうれしいです。私たちの音楽は、クラシックをベースに、カバーでもなく、クラシックのBGMでもなく、ポップスでもない、あたらしいジャンルをつくりたいと思ってやっています。ぜひ一度、生で見てください。弾いている姿もカッコイイんですよ」

1966カルテット|NIGO 01

1966カルテット|NIGO 04

1966カルテット|NIGO 06

4年分の思い、チームワークが詰まっています

「じつは、1966カルテットが結成されたときは、ビートルズも有名な曲しか知らず、デビューアルバムの『ノルウェーの森 ~ザ・ビートルズ・クラシックス』は、私たちにとっても“初めてのビートルズ”でした。でもそれでみんなビートルズが大好きになり、プライベートでも聴くようになりました。今回は、頭で考えなくてもメロディが出てくるし、思った通りに弾けて、オリジナリティをくわえることもできました。

ビートルズのすごさは、メロディのアイデアですね。似たパターンがなくて、全部あたらしいメロディなので、題名とメロディが一致するんです。だからこういう企画で演奏してもこんなにおもしろいアルバムができるんですね。今回の『ヘルプ!~ビートルズ・クラシックス』で私がいちばん好きな曲は、12曲目の“Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band”です。オリジナルはもちろん大好きなんですが、今回の編曲も一体感のあるアレンジで、演奏していても歌わずにいられません。ライブでもきっと口をぱくぱくしているので(笑)注目してください。

カルテットのメリットは、一人では生まれない音楽ができること。4者4様の感情で、何百通りの演奏ができて、音色にも出てくるのが魅力です。今回のアルバムには私たち4年分の思いやチームワークが詰まっていますのでぜひ聴いてください」

松浦梨沙(ヴァイオリン、リーダー)
5歳よりヴァイオリンを始める。第6回大阪国際音楽コンクール第3位など、数々のコンクールに入賞。京都市立芸術大学音楽学部卒業。高嶋ちさ子12人のヴァイオリニストメンバーとしても活躍中。確かな技術とメリハリのある鮮やかな表現力でユニットをリード。ロックの魂をヴァイオリンに託す名手として、ポピュラー音楽のクラシカル・カヴァーの最前線を切り開く。
http://columbia.jp/artist-info/12violinists/

MUSIC|新譜『Help! ~Beatles Classics』のアートワークをNIGO®が担当!

女性カルテット「1966QUARTET」に注目(2)

林はるかさんはチェロを担当。今回のアルバム『ヘルプ!~ビートルズ・クラシックス』の聴きどころをきくと、「私の推し曲は、10曲目の“Girl”です。ヴァイオリンの花井悠希さんの哀愁を帯びた演奏が素敵なんですが、原曲にある“息を吸う音”に工夫しました」と語る。

トム ブラウンのパンツスーツを着ると、気持ちの統一感が生まれます

「トム ブラウンのパンツスーツの印象ですか? ビートルズが着ているようなスーツに似ていて、これを着ると『ビートルズを演奏するぞ』と、気分が引き締まりますね。クラシックでは男性の演奏家はスーツやタキシードを着て、ネクタイを締めて演奏していますが、こういうスタイルで演奏するのは大変なんだなと初めて感じました。私たちは着ていて楽しいですけどね。

このトム ブラウンのパンツスーツは全員おなじように見えて、ちょっとずつちがっています。靴が2種類あり、パンツの裾の長さは、立って演奏するヴァイオリンのふたりは短めだったり、とてもよく考えていただいています」

1966カルテット|NIGO 07

1966カルテット|NIGO 09

1966カルテット|NIGO 11

まだまだ演奏したい曲がいっぱいあります

「NIGO®さんがコンサートに来ていただいたことがきっかけで、こうして一緒に仕事をさせてもらってとても光栄に思っているので、今回は格好良く決めたいですね。リーダーの松浦さんが詳しく話していますが、今回のアルバムの選曲はメンバー4人で考えたもの。候補曲がいっぱいあって、1枚に収めるのにとても苦労しました。やりたい曲はまだまだたくさんあります。デビューアルバムはビートルズを聴いていた世代の方に楽しんでいただきましたが、今度のは私たちぐらいの世代のひとにビートルズを聴いてほしいという思いがあります。

“Girl”の聴きどころの原曲で息を吸う音は、かなり研究した結果、私のチェロでコマの部分を弓でこすって音を出しています。実際に聴いてもらうと本当に息に近い音なので、ぜひ注目してください」

林はるか(チェロ)
11歳よりチェロをはじめる。第3回大阪国際音楽コンクール、第15回日本クラシック音楽コンクールなど、数々のコンクールで入賞。東京藝術大学音楽学部卒業。同大学院修士課程修了。妹の林そよかとのデュオ「アウラ・ヴェーリス」でもCDリリースなど活動中。安定感のあるアンサンブルのベースを担う一方、印象的なソロで聴き手を魅了する。
http://columbia.jp/artist-info/auraveris/

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女性カルテット「1966QUARTET」に注目(3)

「去年がビートルズデビュー50周年。CDショップに行くと、ビートルズのアルバムの横に私たちのデビューアルバムが並んでいてとてもうれしかった」と笑うのは、ヴァイオリンの花井悠希さん。「デビューアルバムは、学校の授業やCMで聴いた曲以外の曲とは、初めての出合いでした。あれから4年、ずっとビートルズを聴いてきました。今回の選曲にはメンバーみんなの思い入れも詰まっています」

「え、まさか、どうして私たちに?」って

「普段はメンズっぽい服を着ることがないので、背筋が伸びますね。トム ブラウンの名前は知っていましたが、実際に着てみるとラインがきれいで、服から靴まで統一感があって、ビートルズのグレーのイメージにもぴったりで、とても気に入っています。クラシックの演奏というと、ドレスの華やかなイメージですが、これはトラッドでかっちりしている。一体感も生まれて、演奏のスイッチが入りやすいのが魅力です。

NIGO®さんがアートワークを引き受けてくれたと聞いたとき、『え、まさか、どうして私たちに?』と思いましたが、トム ブラウンに一緒に行って、話しながらコーディネイトを考えているときは、本当に夢のような感じでした。メンバー揃いの衣装はマイケル・ジャクソンの演奏のときが初めてでしたが、こんなファッションの世界もあるんだと、気が引き締まる思いでしたね」

1966カルテット|NIGO 12

1966カルテット|NIGO 14

1966カルテット|NIGO 17

4人全員が好きな曲は、アルバム1曲目の“Help!”です

「私たちのアルバムは、CDショップのクラシック売場に置かれていることが多いんです。こういうメディアで私たちのことを知ってもらって、一人でも多くの方にクラシック売場にある私たちの存在を知ってもらえればと思っています。

今回のアルバム『ヘルプ!~ビートルズ・クラシックス』でお薦めの一曲を挙げるなら、15曲目の“Yesterday”。デビューアルバムにも収録していますが、各地でコンサートをおこなってきて……4年間の成長が音に出ています。私たちの経験や深みを届けられたらと思いますね。ちなみに、メンバー4人全員が好きな曲は、アルバム1曲目の“Help!”です」

花井悠希(ヴァイオリン)
3歳よりヴァイオリンをはじめる。東京音楽大学卒業、同大学院音楽研究科科目等履修生を修了。2010年に日本コロムビアよりCD2枚同時リリースでデビュー。最新アルバムは、『譚詩曲 ~11 stories on Violin』。フジテレビ系「新堂本兄弟」の堂本ブラザーズバンドメンバーなど、幅広く活動中。アンサンブルの要としてサウンドの充実を担う。
http://columbia.jp/hanaiyuki/

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女性カルテット「1966QUARTET」に注目(4)

ピアノ担当の江頭美保さんは、オリジナルメンバーではなく、オーディションで参加した新メンバー。リーダーの松浦梨沙さんは「すごくさっぱりした性格で(笑)、いざというときは“ついてこい”という格好良さがあります」と語る。

ファーストのビートルズは、原曲に寄せていった良さがあります

「トム ブラウンのビシッと決めるスタイルは大好きで、4人お揃いはうれしいですね。私はピアノなので、松浦さん、花井さん、林さんの3人を観ながら演奏するんですが、衣装が揃っていると後ろから見ていてもキレイで、演奏も楽しくなります。

世代的に、NIGO®さんのブランドに憧れがあったので、今回のアートワークのお話は、サプライズかと思いました(笑)。でもNIGO®さんとお話すると、ビートルズが本当にお好きで、私たちも聴き込んでどんどん好きになっていったので、話が尽きません。ファーストアルバムのビートルズは、原曲に寄せていった良さがありますが、今回は、4人の個性と、表現の幅も広がったオリジナリティが随所にあって、そこが聴きどころですね」

1966カルテット|NIGO 18

1966カルテット|NIGO 21

1966カルテット|NIGO 23

50年経っても色あせないメロディメーカー

「今回の『ヘルプ!~ビートルズ・クラシックス』で好きな曲を一曲挙げるなら、9曲目の“Ob-La-Di, Ob-La-Da”です。クラシック出身の私たちらしく、シューベルトの名曲『鱒(マス)』のパロディになっていて、この曲だけ、スタジオで4人で一発録りしています。ビートルズの魅力は、なんといっても50年経っても色あせないメロディメーカーということ。私たち世代にも伝わるすばらしさを演奏で表現していきたいです」

江頭美保(ピアノ)
4歳よりピアノをはじめる。2009年、第6回ブルクハルト国際音楽コンクール、第12回長江杯国際音楽コンクールなど、多数のコンクールで入賞。武蔵野音楽大学卒業、同大学特修科(2年)修了。2012年より1966カルテットのメンバー。心地よいビート感覚でカルテットを支え、大らかで豊かな歌が聴き手に感動をもたらす。

MUSIC|新譜『Help! ~Beatles Classics』のアートワークをNIGO®が担当!

NIGO®が「1966QUARTET」を語る

NIGO®さんと1966カルテットの出合いはAmazon。「ビートルズで何かおもしろいものを探していたら、日本人の女の子4人組のカバーアルバムがありました。予約して購入して以来、いつも聴いていました」という。

ビートルズ=スーツ=トム ブラウン

「それから2年越しで、地元に帰ったときに、たまたま前橋市民文化会館でコンサートをやっていて。当日券を買って聴いたら、彼女たちの演奏のパワーがすごくて、こういう音楽を生で聴いたこともなかったので、また気に入って。コンサート終了後にサイン会をしていて、並ぼうと思いましたが、長蛇の列であきらめました(笑)。それが去年の10月ですね。

それから東京に戻ったら、彼女たちの事務所から連絡がありまして。それで何度かコンサートに行かせてもらい、ぜひ新譜でアートディレクションを……という話になりました。クラシックというジャンルはわからなくて悩みましたが、ビートルズというキーワードから、スーツを連想し、“トム ブラウンがいいかも”と考えました。

なぜ1966カルテットを気に入ったか。僕が“4”が好きっていうのもありますね。TERIYAKI BOYZ(テリヤキボーイズ)もメンバー4人だし(笑)。1966カルテットと仕事をしての印象は、演奏者としてはエリート揃いですが、一人ひとりにキャラもあって、とてもバンドっぽいなと思いました。テリヤキボーイズとちがって、好きにディレクションをさせてもらいました。とてもあたらしい感じで、僕らの世代にも響くと思っています」

ライカのあたらしい「M」で撮影したPV

「今回のリリースに合わせて、ビデオも撮ろうと、ライカのあたらしい『M』で動画撮影もしました。できあがりは“動くライカの写真”というか、修正することもなく、良い仕上がりになっています。

彼女たちの演奏を観ていると、生音が魅力的なのはもちろん、耳を楽しませるだけではなく、いろんなものを連想させてくれます。基礎ができているので、型を破る可能性を秘めていますね。だから、今回は型を破ってもいいかなと思い、ビートルズの有名な人形を使ったビジュアルを考えたり、ビートルズの有名なシーンをサンプリングしたり、自分的には型破りなことにチャレンジ。ビートルズを好きなひとが見ても、“わかってやってるな”と思ってもらえるものができたと思います。

1966カルテットのスタイルは、言葉がないので海外でも受け入れてもらえるはずだし、今回のアートワークを通じて、僕がピュアに感動したものを皆さんに伝えたいと思っています」

1966QUARTET|1966カルテット
ビートルズ初代担当ディレクター高嶋弘之氏が満を持して送り出す、クラシックのテクニックをベースに洋楽アーティストのカバーをおこなう女性カルテット。日本中が熱狂したビートルズ来日の年「1966」をカルテット名に冠し、2010年11月、 『ノルウェーの森 ~ザ・ビートルズ・クラシックス』で日本コロムビアよりCDデビュー。王子ホールでデビュー・リサイルを開催。
2011年には、伝説のロックグループ、クィーンをカバーしたセカンドアルバム『ウィ・ウィル・ロック・ユー ~クイーン・クラシックス』をリリース。ロックの魂と叙情的メロディを高次元で融合したパフォーマンスに、新時代の幕開けを感じさせた。ピアニストのメンバー交代を経て2012年には『スリラー ~マイケル・ジャクソン・クラシックス』をリリースするなど、全国各地でのコンサート、アルバム制作に精力的に活動。
ビートルズへと原点回帰した4作目のアルバム『ヘルプ!~ビートルズ・クラシックス』では、ユニットとしての進化が、演奏に見事に表れている。
http://columbia.jp/1966quartet/

『Help! ~Beatles Classics』
日本コロムビア
(COCQ-85012)2940円
2013年6月5日(水)発売

1966カルテット|NIGO 26

1.Help!
2.Can't Buy Me Love
3.And I Love Her
4.I Feel Fine
5.Hey Jude
6.Back In The U.S.S.R.
7.Hello Goodbye
8.Nowhere Man
9.Ob-La-Di, Ob-La-Da
10.Girl
11.Something
12.Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
13.Don't Let Me Down
14.Here There And Everywhere
15.Yesterday

           
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