特集|Holiday Art Guide 2013-14~正月休みアートガイド~
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2015年2月12日

特集|Holiday Art Guide 2013-14~正月休みアートガイド~

特集|今冬、注目の展覧会20選!

正月休みアートガイド2013-2014(1)

冬のホリデーシーズンいち押しの展覧会を、国内外からピックアップ。いまは亡き巨匠の名作から、いまをときめく新鋭作家の写真、書、インスタレーションまで。アート界は年末年始も眠らない!

Edited by TANAKA Junko (OPENERS)

『THE ART OF THE BRICK』(アメリカ・ニューヨーク)

『THE ART OF THE BRICK』

世界初のレゴブロックアーティストとして知られる、ネイサン・サワヤ。現在、ニューヨークの「ディスカバリー・タイムズスクエア」で、過去最大規模の個展が開かれている。会場を埋め尽くすのは、ムンクの「叫び」や「アフロディーテ(通称:ミロのヴィーナス)」といった、世界的な名作ばかり。もちろんこれはレプリカ。しかもすべて、レゴブロックで“模写”したものだ。驚くほど精巧に再現されたレプリカを目にすれば、もうレゴをおもちゃなんて言えなくなる!?

1月5日(日)まで。

森万里子 『Infinite Renew』(東京・表参道)

森万里子 『Infinite Renew』

「エスパス ルイ・ヴィトン東京」では現在、はじめて日本人アーティストの個展を開催中。選ばれたのは、国際舞台で活躍する森万里子。「エネルギーの果てしない再生」をテーマに、8点の彫刻作品を展示する。最初に目に飛び込んでくるのが、床から天井に伸びる3本のスパイラル。天井の鏡に吸い込まれていく姿は、まるで柱が空まで伸びているかのよう。作品に近づくと、光が人のエネルギーに反応するという仕掛けも組み込まれていて、色の変化で私たちの目を楽しませてくれる。
1月5日(日)まで。

『スヌーピー展 しあわせは、きみをもっと知ること。』(東京・六本木)

『スヌーピー展 しあわせは、きみをもっと知ること。』

1950年から半世紀にわたってつづけられた長寿連載『ピーナッツ』。作者のチャールズ・M・シュルツが生み出した個性的なキャラクターは、いまなお世界中の人びとに愛されている。そんなピーナッツの世界に深く迫る展覧会が現在、「森アーツセンター」で開かれている。「チャールズ・M・シュルツ美術館」が所蔵する原画が日本初公開されるほか、『ピーナッツ』の誕生前夜に撮られた写真やスケッチなど、貴重な資料を一挙に披露する。
1月5日(日)まで。

キュレーターズ・セレクション007 『キース・ヘリングの記号性 vol.2』(山梨・北杜市)

 『キース・ヘリングの記号性 vol.2』

ニューヨークの地下鉄構内を使った「サブウェイ・ドローイング」で一躍脚光を浴び、1990年に他界するまでの10年間、駆け抜けるように精力的なアートワークをおこなってきたキース・へリング。ここ日本にも、150点以上の作品を収蔵する美術館があるのをご存じだろうか? それが「中村キース・へリング美術館」。同美術館では現在、へリングとアフリカ美術の関係性に迫る展覧会を開催中。ふたつを結びつける意外なつながりを浮かび上がらせ、へリング作品のあらたな魅力を提示する。
1月6日(月)まで。

『六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト-来たるべき風景のために』(東京・六本木)

『六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト-来たるべき風景のために』

開館10周年を迎えた「森美術館」。記念すべき年の最後を飾るのは、3年に一度の展覧会シリーズ『六本木クロッシング』である。シリーズ4回目となる今回は、日本の現代アートに精通した2人のゲスト・キュレーターを招聘。震災以降、社会的な意識が明確に高まっている日本で、あらゆる社会常識や既存の制度に向けられた疑念(ダウト)から、どのような生産的な議論を生み出せるか。そんな問題掲示を試みたメッセージ性の強い展覧会となっている。
1月13日(月・祝)まで。

『ジョセフ・クーデルカ展』(東京・千代田)

『ジョセフ・クーデルカ展』

1938年、チェコスロバキア生まれ。1968年、ワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻を撮影した写真を、報復の懸念から「プラハの写真家」のイニシャルであるP.P.名義で発表。その写真は1969年、匿名のままロバート・キャパ賞が授与される。その後故国を離れた彼は、独特の強さをもつ作品で高い評価を得ていく。そんな彼の初期から最新作まで、280点あまりで構成されるアジア初の回顧展は、クーデルカの“すべて”に触れる絶好の機会と言えよう。
1月13日(月・祝)まで。毎週月曜、12月28日~1月1日は休館。

『L'atelier par Impossible』(東京・中目黒)

『L'atelier par Impossible』

ポラロイド社のインスタントフィルム撤退後に、アートに特化したインスタントフィルム作りをおこなってきた「インポッシブル」が、あらたなデバイスを開発。iPhoneで撮影した画像を、本物のインスタントフィルムで現像するという「インスタント・ラブ」である。現在「インポッシブル・プロジェクト・スペース」では、このインスタント・ラブで作ったモザイク状の巨大なアートワークを展示中。さまざまなアーティストの私的空間を垣間見られる展覧会となっている。
1月13日(月・祝)まで。

『吉岡徳仁─クリスタライズ』(東京・清澄白河)

『吉岡徳仁─クリスタライズ』

自由な着想と実験的な創作から生まれる作品が、国内外で高く評価されている吉岡徳仁。「東京都現代美術館」で現在、過去最大規模の個展が開かれている。20代前半にマティスの設計したロザリオ礼拝堂を訪れ、光の美しさに心奪われたという吉岡。それは鮮やかな色彩で描かれたステンドグラスや、南仏の太陽の光で満ちあふれた空間。以来、自分もいつか光を全身で感じられる空間を作りたい、という想いを抱きつづけてきたのだという。その想いが結実した展覧会といえる。
1月19日(日)まで。毎週月曜、12月28日~1月1日、1月14日(火)は休館。

『永瀬正敏写真展Memories of M ~Mの記憶~』(宮崎・宮崎市)

『永瀬正敏写真展Memories of M ~Mの記憶~』

独特の存在感を見せる俳優・永瀬正敏には、もうひとつ写真家としての顔がある。祖父は写真家。戦後の混乱期に、写真家の道を断念せざるを得なかった祖父の意思を継ぐべく、永瀬は写真家としても精力的な活動を見せてきた。現在、故郷宮崎の「みやざきアートセンター」で、俳優生活30周年を記念した展覧会が開かれている。宮崎の風景や伝統工芸職人を撮影した作品や、神話にゆかりのある宮崎ならではのモチーフを扱った、幻想的な写真を展示する。
1月19日(日)まで。12月29日~1月2日は休館。

『うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)』(東京・清澄白河)

『うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)』

現代アートをさまざまな分野の表現とドッキングさせることで、あらたな可能性を探求する展覧会シリーズ「東京アートミーティング」。同シリーズ4回目が、現在「東京都現代美術館」で開催されている。会場にはグローバル経済から遺伝子まで、現代社会が抱えるさまざまな出来事やトピックを、私たちが手に取れるかたちにデザインして送り出している、国内外のアーティストや建築家など21組が参加。観客の常識的な見方や固定観念に揺さぶりをかける展覧会だ。

1月19日(日)まで。毎週月曜、12月28日~1月1日は休館。ただし月曜が祝日の場合は、翌火曜が休館となる。

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特集|今冬、注目の展覧会20選!

正月休みアートガイド2013-2014(2)

『日本の新進作家VOL.12:路上から世界を変えていく』(東京・恵比寿)

『日本の新進作家VOL.12:路上から世界を変えていく』

優れた写真を数多く生み出してきた「路上」。「東京都写真美術館」では現在、「路上から世界を変えていく」をテーマに、1960~80年代生まれの5人の作品から、同時代の空気感や意識のありようをあぶりだす展覧会を開催している。平成の日本を代表する作家のひとり、大森克己をはじめ、写真新世紀優秀賞を受賞した鍛冶谷直記、浮遊セルフポートレート日記が話題の林ナツミ、一貫して路上をフィールドとしてきた糸崎公朗、津田隆志といった多彩な面々が顔を揃える。
1月26日(日)まで。毎週月曜、12月29日~1月1日は休館。

『高谷史郎 明るい部屋』(東京・恵比寿)

『高谷史郎 明るい部屋』

高谷史郎の活動を紹介する個展が現在、「東京都写真美術館」で開かれている。1984年に京都市立芸術大学環境デザイン科を卒業後、建築やデザイン、音楽、ダンスなど、異なる表現手段を持つアーティスト集団「ダムタイプ」を創設。芸術監督としてビジュアルワークを手がける一方、個人名義では映像作家として、自然環境や物理現象への洞察に基づいた作品を発表している。今回の展覧会では、高谷の活動の原点である「見る」という行為、写真映像の歴史を検証する。
1月26日(日)まで。毎週月曜、12月29日~1月1日は休館。ただし月曜が祝日の場合は、翌火曜が休館となる。

『植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ-写真であそぶ-』(東京・恵比寿)

 『植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ-写真であそぶ-』

観る者の心を捉えて離さない不思議な魅力を放つ、植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグの作品。生涯アマチュア精神を貫き、撮ることを純粋に楽しんだ彼らの作品から、「人間にとって写真とはいったいなにか」を問いかける展覧会が現在、「東京都写真美術館」で開かれている。会場には植田の1930~50年代の代表作や鳥取砂丘を舞台にした作品を展示。「ジャック・アンリ・ラルティーグ財団」からは、豊富なコレクションのなかから、厳選した作品が出品される。
1月26日(日)まで。毎週月曜、12月29日~1月1日は休館。ただし月曜が祝日の場合は、翌火曜が休館となる。

ダミアン・ハースト回顧展『Relics』(カタール・ドーハ)

ダミアン・ハースト回顧展「Relics(残存)」

イギリスを代表する現代美術家、ダミアン・ハーストの中東初の回顧展がカタールで開かれている。ゴールドスミス・カレッジに在学中、同級生らと企画した展覧会は、イギリスのアートシーンにおけるあらたなムーブメントとして、かなりの注目を浴びた。「生と死」をテーマにした奇抜な作品は、パブロ・ピカソを超える総落札額を記録するなど、全世界で高く評価されている。過去最大規模といわれる今回の回顧展では、スカルやドットなどハーストの代表作が一挙に展示される。
1月26日(日)まで。毎週火曜は休館。

『GLOBAL PHOTO COLLABORATIONS by VICE JAPAN』(東京・渋谷)

GLOBAL PHOTO COLLABORATIONS by VICE JAPAN

世界25都市で展開されるフリーマガジン『VICEマガジン』。なかでも絶大な人気を誇る「フォトイシュー(写真特集)」がついに日本に上陸。1994年に発刊以来、その容赦なき毒舌とユニークな切り口で、トレンドセッターの心を掴み取ってきたVICEマガジン。日本版発刊を記念した展覧会が現在、「ディーゼル アート ギャラリー」で開かれている。キム・ゴードンや新田桂一ら、総勢28人が「フォトイシュー」に寄稿した、コラボレーション作品の実物を展示する。
2月14日(金)まで。

『クリスチャン・ボヌフォワ』(東京・銀座)

『クリスチャン・ボヌフォワ展』

フランスを代表する画家、クリスチャン・ボヌフォワの日本初個展が現在、「銀座メゾンエルメス フォーラム」で開かれている。美術史家としてそのキャリアをスタートするも、アンリ・マティス展で出合ったレリーフ状の彫刻「Dos(背中)」に衝撃を受け、画家を志すようになる。以来、絵画の物質的側面に着眼し、透過性のある素材を使いながら、自立したオブジェを目指して積み重ねられてきた彼の創作活動。日本初個展となる今回は、代表作をシリーズごとに紹介する。
2月28日(金)まで。12月31日~1月2日は休館。

柿沼康ニ 『書の道“ぱーっ”』(石川・金沢)

『書の道“ぱーっ”』

「書を現代アートに昇華させたアーティスト」として知られる、書家の柿沼康二。「書はアートたるか、己はアーティストたるか」を命題に、既存の書に収まらないあらたな書の地平に挑みつづけている。そんな柿沼の1990年代後半から最新の代表作まで、およそ700点で構成される展覧会が現在、「金沢21世紀美術館」で開かれている。書、現代アート、さらにはサブカルチャーを横断した、あたらしい時代の“書の道”から、「現代における書の魅力」を探ってみたい。
3月2日(日)まで。毎週月曜、12月29日~1月1日は休館。ただし月曜が祝日の場合は、翌火曜が休館となる。

『島袋道浩:能登』(石川・金沢)

『島袋道浩:能登』

ベルリン在住のアーティスト、島袋道浩。世界中を旅するなかで出会った人や、ものをきっかけに作品を制作している人物だ。今回島袋は25人の若者たちとともに、5カ月かけて能登を旅した。その間、民家を冬の強風から守る間垣(まがき)や、ナマコの生殖巣からつくる「くちこ」、古来からの「たたら製鉄」について学んだ成果を、現在「金沢21世紀美術館」の展示室に再現している。今後も区切りを迎える3月まで、干し柿づくりやくちこづくりをつづけていくという。
3月2日(日)まで。毎週月曜、12月29日~1月1日は休館。ただし月曜が祝日の場合は、翌火曜が休館となる。

『モネ、風景をみる眼 19世紀フランス風景画の革新』(東京・上野)

『モネ、風景をみる眼-19世紀フランス風景画の革新』

「モネは眼にすぎない、しかしなんと素晴らしき眼なのか」。セザンヌのこの言葉は、生涯、戸外の光の表現を追求しつづけた画家モネにもっともふさわしい賛辞ではないだろうか。しかしながら彼の眼は、自然の風景から受け取る瞬間的な印象を捉えていただけではない。後年には、自らの記憶のなかで純化された、喚起力に満ちた風景を描いていくのだ。今回、国内でも有数の収蔵数を誇る「国立西洋美術館」と「ポーラ美術館」がタッグを組み、初期から晩年までの作品35点を中心に、モネの「眼」の深化の秘密を解き明かす。
3月9日(日)まで。毎週月曜、12月28日~1月1日は休館。ただし1月13日(月・祝)は開館、翌火曜は休館。

『フィロソフィカル・ファッション3: ミントデザインズ展 – happy people』(石川・金沢)

「ミントデザインズ - happy people」

目まぐるしく移り変わる流行、それを支えるファストファッションの隆盛が顕著ないま、改めて衣服の意味を問い直し、一貫したコンセプトを掲げるクリエイターを紹介する「フィロソフィカル・ファッション」。第3弾では「ミントデザインズ」を取り上げる。独自に開発したテキスタイルを生かしたデザインが、注目を浴びてきたブランドだ。「happy people」をテーマに、東京と金沢と暮らす人びとが、日常のなかでミントデザインズと出合った瞬間を視覚化する。
5月18日(日)まで。毎週月曜、12月29日~1月1日は休館。ただし月曜が祝日の場合は、翌火曜が休館となる。

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