連載｜麗子の部屋♥︎ 第14回 METで見る、夢のファッション

連載｜麗子の部屋♥︎

第14回 METで見る、夢のファッション

ごきげんよう、麗子です。ニューヨークは今が最高の季節です。晴れた日はセントラルパークでゴロゴロ〜なんて日も増えて来た今日このごろ。先月から開催されているメトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュート主催による夏恒例のファッション展覧会「CAMP（キャンプ）」に足を運んで来ました。思い起こせば大学卒業後、モードファッション誌で働いていたワタクシ……。パリコレの取材に奔走していたなんて時期もありました。過剰なまでに装飾されたドレスの数々を目にするとやっぱり本能でしょうか？血が騒ぐ？買い物欲に火がつく!?……とにかくファッションの夢の世界に引き込まれていくのでした。

Photographs & Text by Reico

会場は見どころ満載のメトロポリタン美術館！

今回足を運んできた展覧会のテーマ“キャンプ”ですが、みなさんご存知のいわゆるアウトドアのキャンプではなく、ニューヨーク出身の著名な作家として知られるスーザン・ソンダグが1964年に発表した「キャンプについてのノート」の概念をもとにしたものです。

この美学は“人工的で装飾的で視覚に訴えるもの”や、“悪趣味すれすれの過剰なファッション”といった概念のようですが、展覧会で目にすることのできるドレスは一流のものばかり。

他には目もくれずキャンプのコーナーへ。テーマカラーはピンクなのでしょうか？展示スペースはピンクで統一され、期待が高まります。

最初のパートは中世ヨーロッパの貴族が着ていたようなドレスの資料とそれをもとに作ったデザイナーのドレスが並びます。中には今年亡くなったカール・ラガーフェルドの作品やジャンポール・ゴルチエなども。

過剰でこそ、夢のあるファッション

後半パートに移るにつれ、同展の開催に合わせて行われたメットガラを思い出す、過剰な装飾で彩られたドレスが出てくるのですが、やはりファッションの醍醐味と言えばコレですよね。夢を見させてくれるのがファッションだなという気持ちになります。

この蝶々に埋もれたドレス、可愛すぎますよね！ジェレミー・スコットがハウス・オブ・モスキーノでデザインしたドレスです。

こういう「普段、着ることができないでしょう……」というようなデザインこそ夢を与えてくれるファッション。ディテールまで目を凝らすと精緻なデザインに見とれてしまいます。

ただただゴージャスなドレスを見ているのも楽しいのですが、「キャンプ」という概念について頭を巡らせてみました。人工的で装飾的で、悪趣味とも捉えかねない美意識が評価されたり、そこにメッセージが込められている。ニューヨークにいるとさらに感じることは、多様性があって、個性があって……。混沌とした社会でこそ「キャンプ」の概念がフォーカスされるのかなと思いました。

単純に、突き抜けているものを見ていると清々しくて、そう言った感覚は誰しもが持っているものなのかなと。ファッションのデザインが小さくまとまって勢いを無くして、夢を無くしたら時代としても面白くないですよね。いつの時代もデザイナーたちは「キャンプ」の概念を潜在意識の中に持っていたんだなという感覚を受けた展示でした。