特集|伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3
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2014年12月5日

特集|伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3

特集|伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅

Chapter 3:英国流ピクニックランチを優雅に愉しむ一日

王室御用達ロールス・ロイスでドライブに出掛ける

クルマのドアを開ければ、そこに広がるのは、レザーとウッドが惜しげもなくあしらわれたゴージャスなインテリア。英国王室御用達として知られるイギリスの名車「ロールス・ロイス」に乗車し、ロンドン市内からおよそ80km西北西のオックスフォードへとドライブに出かけ、英国式ピクニックランチを優雅に愉しむ。

Text by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)
Photographs by MATSUI Hiro

1950年に御料車としてはじめて採用されたロールス

「伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅」と題し、4回の連載に分けて、美しきイギリスの魅力を紹介してきた本特集。第1回目は豪華列車「ブリティッシュ・プルマン」で巡る鉄道の旅を、2回目は英国屈指のカントリーホテル「チュートン・グレン」に宿泊し、美しき自然に癒された。3回目となる今回は、ロンドンを起点に、オックスフォードまでのドライブを愉しむ。

イギリスが誇る名車といえば、真っ先に思い出すのはどのモデルであろう……。アストンマーティン、ロールス・ロイス、ベントレー、ランドローバー、ジャガー、そしてミニと実にバラエティ豊かだ。最近ではF1GPで名を馳せた名門マクラーレンもスーパースポーツカーブランドとしてあらたに参入するなど、イギリスは18世紀にはじまった産業革命以降、数多くのブランドが生まれた自動車大国である。

なかでもロールス・ロイスは1950年にエリザベス女王とエディンバラ公の御料車として採用されて以来、いまでも英国王室御用達と知られる老舗ブランドだ。1906年にイギリス北西部のマンチェスターで創業し、2003年にはBMW傘下となったものの、その100年以上にわたるブランドの伝統・意匠は現代にも脈々と受け継がれている。

伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3 02

伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3 03

因にあまり知られていないことだが、ロールス・ロイスが御料車として1950年にはじめて採用されるまでは、1896年に創業したイギリス最古の自動車メーカーであるデイムラーがその役目を担っていた。また日本でも皇室初の御料車して、1912年にデイムラーが採用されていたことが記録されている。

デイムラーという社名は、「Daimler」の英語読みであり、ガソリン自動車開発者のとして名を残すドイツ人のゴットリープ・ダイムラーに由来するが、当時、英デイムラー社と独ダイムラーとの関係はエンジンのみのライセンス契約であり、それ以外では直接ダイムラーとの関係はなかった。なおデイムラーは1960年にジャガーに買収され、その歴史に幕を閉じている。

伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3 04

さて、前置きが長くなってしまったが、今回は最新の国王室御用達クルマ、ロールス・ロイスに乗って、ロンドン市内からオックスフォードへドライブに出かけたい。前日に宿泊したホテル「ザ・コノート」の玄関前に並ぶのは、ドライバー志向の強いニューモデルとして2010年に誕生した「ロールス・ロイス ゴースト」と、そのロングボディータイプ「ロールス・ロイス ゴーストEWB(Extended Wheel Base)」の2台。

コーチドアを開けば、そこに広がるのは、レザーとウッドが惜しげもなく使われたゴージャスなインテリア。ショーファーの手を借りながら、ゆっくりとシートに乗り込めば、ラムウールのカーペットが足下を優しく包み込んでくれる。リヤシートはそれぞれが独立しており、シャンパングラスが納まるクーラーボックスも装備。フロントシートの背面に設置されたLCDディスプレイでテレビやDVD、ナビの視聴も可能で乗客を飽きさせない。さらに上質な居住空間をご希望の方には「ロールス・ロイス ゴーストEWB」もおすすめだ。ベースモデルよりも170mmホイールベースが延長された室内はさらに広く、足下のスペースは持て余すほどである。

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目指すはオックスフォード

ロンドン市内を10時に出発したクルマは、渋滞もなく国道40号(A40)を順調に抜け、いつしか高速道M40へ。V型12気筒ターボエンジンを搭載するゴーストは、570ps/5250rpmの最高出力、79.5kgm/1500rpmの最大トルクという、スーパースポーツカー並みのパワーをもつが、室内は極めて静寂。まるで空飛ぶ絨毯のようにふんわりしたソフトな乗り心地を提供してくれる。もちろん、アクセルを踏み込めば暴力的なまでのドライバビリティは持っている。だが、そこはあくまでショーファードリブン。表と裏、この二面性こそがロールスの真骨頂であることは、いわずもがなだ。

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特集|伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅

Chapter 3:英国流ピクニックランチを優雅に愉しむ一日

王室御用達ロールス・ロイスでドライブに出掛ける(2)

最高のアフタヌーンティーを求めて

出発からわずか1時間程で今回の目的地オックスフォーフォ―ドに到着。わざわざここまで足を運んだのにはもちろん訳があるのだが、そのひとつは、イギリスの美しい草原の中でピクニックランチを愉しみたかったということ。そしてもうひとつは、22年間にわたりミシュラン2つ星を取りつづけるマナーハウス「ル・マノワール・オ・キャトル・セゾン」で、イギリスで最高とも呼ばれるアフタヌーンティーを体験したかったからにほかならない。

この日、ホテル「ザ・コノート」が用意してくれたランチボックスは、サンドウィッチ、スープ、サラダにデザートと、どれもオーガニックの素材を生かしたシンプルなもの。ピクニッックといえども、陶器のティーセットを準備するあたりが英国流だ。外の風は少々強かったものの、イギリスの地で雨が降らなかったことは、旅人にとって最大のご褒美である。晴れた日草原の上で、バスケットを広げてピクニックの準備をすれば、もうそれだけで十分に幸せだ。

伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3 23

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食事の後は、最高のアフタヌーンティーを求め、マナーハウス「ル・マノワール・オ・キャトル・セゾン」へ。ここは、15世紀のマナーハウスをホテルにしたもので、世界で最も洗練されたシェフのひとりとして知られるレイモン・ブラン氏によって1984年にオープン。ホテルの敷地内にある2エーカーのキッチンガーデンは、90種類の野菜、70種類以上のハーブが栽培されており、そのすべての素材がル・マノワールでの料理に使われている。

アフタヌーンティーで提供されるお茶は、アッサム、ダージリン、アールグレイなどが定番だが、ここではオリジナルのハーブティーを選択するものお勧めだ。小麦粉ベースのシンプルな焼き菓子のスコーンと、オーガニックのイチゴジャムをそえて、午後のティータイムを優雅に愉しむ。

伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3 22

ロンドンからわずか80km、片道1時間という距離で、街の景色をガラリと変えるイギリス。各々のエリアや街が独自の個性を持ちながら発展し、豊かな文化と自然の両方をバランスよく育んできたその景色は、おなじ島国に住む日本人の美意識にも共通する箇所がいくつもあるように思えた。ガーデニングも、そして茶の文化もまた然り。洗練されたものへと昇華するその様は、きっと相通じる精神性を持ち合わせているに違いない。

Le Manoir aux Quat' Saisons|ル・マノワール・オ・キャトル・セゾン
住所|Church Road, Great Milton, Oxford, England, UK, OX44 7PD
Tel. +44-(0)-1844-278881
Email: lemanoir@blanc.co.uk
日本での問い合わせ先|オリエント・エクスプレス・ホテルズ・ジャパン
Tel. 03-3265-1200
http://www.manoir.com

           
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