特集|「東京マラソン2012」本番まで1カ月 大会直前トレーニング&心得を指南!
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2015年4月20日

特集|「東京マラソン2012」本番まで1カ月 大会直前トレーニング&心得を指南!

「東京マラソン2012」本番まで1カ月

大会直前トレーニング&心得を指南!(1)

3週間後に迫る「東京マラソン2012」。はじめてのフルマラソンだけあって、日に日に不安が募るというDJ 松浦俊夫さん。そこでアディダスの運営するランニング施設『RUNBASE(ランベース)』にて、会員制ランニングチーム「Harriers(ハリアーズ)」代表 安喰太郎コーチを迎え、アドバイスをもらうことに。大会まで残りわずか、ランナーがおこなうべき最後の調整とは?

Text by FUJITA Mayu(OPENERS)Photo by JAMANDFIX

「Harriers」代表 安喰太郎コーチを招いてトレーニング指導

今回指導をお願いするのは、アディダス契約アドバイザーでもある「Harriers」代表 安喰太郎コーチ。「Harriers」とは、知るひとぞ知る会員制ランニングチームだ。安喰コーチをはじめ、元駅伝選手や実業団選手、そしてプロアスリートとして活躍してきた“ランニングのプロ”による指導のもと、自身の目標に向かって最適なトレーニングを積むことができる、ランニングクラブである。現在は約210名の会員たちが日々汗を流しているという。

大会まで残り1カ月と迫ったこの日、フォームやトレーニング内容、食事、当日気をつけるべきことなど、フルマラソン初挑戦の松浦氏が不安を抱え、安喰コーチの指導を受けることに。まずはフォームのチェック。他人のランニングフォームを注意して見ることはあっても、自分の走っている姿を見る機会はほとんどない。そこでビデオカメラを使って自分のランニングフォームを客観的に見てみることに。そこには誰しも必ず新鮮な発見があるはずだ。

自分のランニングフォームを客観的にチェック

安喰 松浦さんの場合ストライドゾーンが広いようですね。もともと脚が長いので、そういう方はやはり歩幅が広くなりやすいんですね。左右のバランスもよく、とくに上体がリラックスしているのがいいですね。以前『ランベース』で「ランニングドック」を受けたさい、着地の左右差などについて言われませんでしたか?

松浦俊夫、フルマラソンへの道 02

松浦俊夫、フルマラソンへの道 03

松浦 左右差についてはとくに言われませんでしたが、地面を蹴るときに使う足首の筋肉が固いためうまく使えていない、というお話はありました。僕自身が感じている印象としては、身体で走っているというか、力で引っ張って進んでいるような感覚で……。もっと地面を蹴ることで推進力を増したり、脚をより細かく、速く動かすことでスムーズに進めるようになるのでは、と思っているのですが、いかがでしょう?

安喰 着地のさいに膝が沈み込んでいるのが気になりました。膝が沈むと元に戻そうとして余計に地面を蹴ってしまうんです。もともとストライドゾーンも広いので、相乗効果でスピードに乗ってより遠くへ進めますが、それはあくまで元気なうちだけ。後半に体力を残すために、できるだけ余計な力は使わないようにしたいんです。ただ、この膝の沈み込みは走ることで太ももの筋肉を鍛えていけば自然となおりますので、意識だけしておいてもらえればと思います。

フォーム自体に大きなロスはないので、基本的にはこのままでいいと思います。ストライドの幅も充分なので、あとは脚の回転ですね。回転は速ければいいというものではなく、マラソンは長いですから、はじめに想定したペースを崩さないよう調整することが重要です。

「東京マラソン2012」本番まで1カ月

大会直前トレーニング&心得を指南!(2)

着地は足裏全体を地面に置いて、離すイメージで!

つぎは実際に走りながらフォームについてアドバイス。いまにも雪が降りそうな寒空の下、まずはストレッチ。走る前におこなうのは“動的ストレッチ”といって、筋肉を伸ばすためにおこなう“静的ストレッチ”とはちがい、身体を動かすことで筋肉ほぐし、あたためる目的がある。とくにいまのような寒い時期は筋肉が冷えやすいため、スタート前の“動的ストレッチ”を入念におこなう必要がある。少し汗をかくぐらいが目安。なお、走り終えたあとは“静的ストレッチ”で疲れた筋肉を伸ばし、クールダウンさせよう。

松浦俊夫、フルマラソンへの道 05

松浦俊夫、フルマラソンへの道 06

安喰 先ほどもお話ししたように、フォーム自体に大きな問題はありません。上体もリラックスしていて、非常にいいと思います。しかし、やはり余分に地面を蹴ってしまっているようです。地面を蹴った方が蹴り出しの勢いがよく、スピードアップにつながりそうな気もしますが、本来は蹴らない方がいい。長距離を走ると地面を蹴る部分にマメができたり、皮膚が角質化してしまい、バランスが悪くなります。また、ふくらはぎに負担がかかるので、走行中に筋肉がつってしまう恐れもあります。

松浦俊夫、フルマラソンへの道 07

もうひとつ、松浦さんの場合、着地のさいのヒールインパクトも強いようです。かかとが着地するさい、少しつま先が上を向きすぎているんですね。本人も足裏の真ん中の中足部に疲れを感じているようなので、まちがいないでしょう。

中足部は衝撃を吸収し、体重や負荷を前方に移動させる、いわゆるバネのような存在なので、痛めてしまってはうまく走れません。それにヒールインパクトが強いと、ブレーキがかかったような状態になってしまいまうんですね。

実際にはかかとから入ってつま先で蹴っているのですが、頭では、足全体で着地し、地面に置いて、離す、という動きをイメージしながら走るよう心がけましょう。

肘はまっすぐ大きく引き、まっすぐ前に振ること!

松浦 地面を蹴ったほうが速く進めるのでは、と素人考えで思っていました(笑)。ランニングフォームにかんしても、歩幅を狭くして回転を速くしたほうがいいのかな? と、じつは悩んでいたんです。

安喰 松浦さんのストライド走行はスピードの優位性があり、最後の踏ん張りどころでの馬力もストライドのほうがあります。そうした特性を活かすには、最後まで大きな走りができるよう、体力を温存しておくことがポイントです。

いかに小さなエネルギーで効率よく前に進むか、重要なのは腕振りです。肘をまっすぐ引くことで姿勢もよくなり、効率よく推進力を増すことができます。腕振りで注意したいのは肩は固定したまま、肘をまっすぐ大きく引き、まっすぐ前に振ること。意外とまっすぐ引けていない方、多いんです。まっすぐ引かないと腕を振ることで上体が開き、ブレるため、下半身に負担がかかってしまいます。肩は固定したまま、まっすぐ肘を引くよう意識しましょう。

松浦俊夫、フルマラソンへの道 08

坂を前にしても焦らないことが肝心!

また、「東京マラソン」のコースは終盤に坂が3つあります。当たり前ですが坂は平坦な道よりエネルギーを奪われます。坂では、歩幅を狭くし、前傾姿勢をとることで効率よく進むようにしましょう。上体をまっすぐにしたまま、大きく進もうとすると後ろに引っ張られてしまいます。また、焦らないことが肝心です。坂を前にすると“越えてやる!”と、つい力んでしまいますので注意してください!

松浦俊夫、フルマラソンへの道 09

松浦 トレーニングにかんする本を読んでも、実際に走ってみると、どこに力を入れればいいのか、力を抜くってどういう状態を言うのか、感覚的なところがわからなかったんですけど、こうして身体を実際に動かしながらアドバイスをもらい、実践してみると、すんなり理解することができました。説明もオーバーアクションで見せてくれたり、動きを確認してもらうことができるので、本を読んだり、座って話しながら説明してもらうのとでは全然ちがいます。

安喰 光栄です、ありがとうございます(笑)。

「東京マラソン2012」本番まで1カ月

大会直前トレーニング&心得を指南!(3)

長距離は大会3週間前まで、最後の1週間はいつものジョギングだけ

松浦 これまで2日に1回のペースで5キロから10キロほど走っていて、先日はじめて15キロ走りました。大会まで1カ月ですが、これから距離を伸ばしていくには、どのようにトレーニングすればいいでしょう?

松浦俊夫、フルマラソンへの道 10

松浦俊夫、フルマラソンへの道 11

安喰 大会前に30~35キロは走っておきたいですね。ただ、長い距離を走ると疲労がたまりますので、30キロ走は大会3週間前までがデッドラインだと思ってください。3週間前に30キロ、2週間前に20キロ、1週間前に10キロと、身体を休ませながら調整していきます。3週間前に30キロを走ったら、まず2日は休養し、3日目から通常の2日に1回のペースで5~10キロのジョギングを再開します。この2週間前の期間中、1回は10~15キロを、レースタイムを意識したペース走で走るようにしてください。最後の1週間は、いつものジョギングだけで、コンディションを整えていきます。

調整期間中に坂の練習をしておくこと、また、周回コースを走って“飽きる”ことに慣れておくのもいいでしょう。周回コースなら給水ポイントでドリンクを取る練習もできるのでお薦めです。

水分だけでなく、エネルギー補給が終盤の粘りを左右する!

松浦 給水や補給食、トイレなど、当日気をつけるべきポイントは?

安喰 脱水症状の恐れがありますから、給水は重要です。しかし当日は混んでいればトイレに並ぶだけで何十分もロスしてしまいますので、前日はお茶やコーヒーを控え、少し喉が渇いているかな? くらいの状態でスタートできるといいと思います。ただ、あまり我慢はしないでください。

補給食についてですが、当日は小さくカットされたバナナが配られると思いますが、食べやすさやエネルギー効率を考えると、スポーツ専用のジェル飲料がありますので、そういったものを持って走ることをお薦めします。僕は「shotz ENERGY GEL(ショッツ エナジージェル)」を愛用しています。終盤に歩いてしまうランナーの多くは脚の故障が原因ですが、エネルギー不足という場合も少なくありません。フルマラソンでは10キロ、または1時間に一回エネルギー補給するようにしましょう。驚くほどちがいが出ます!

会場の雰囲気につられてペースアップしないように!

松浦 コースについて意識しておくべき点はありますか?

安喰 もっとも怖いのは、自分のペースが崩れることです。大きな大会ですし、ひとも大勢います。さらに「東京マラソン」のコースは序盤、下りなんです。独特の空気感と、走りやすい下り道に、ついついスピードを上げてしまいそうになります。しかし先ほどもお話しましたが、終盤35キロ過ぎ、またゴール直前にも坂があります。ここで一気に7分、8分とペースが乱れ、ついには歩いてしまうことも。くれぐれも想定ペースよりはやく走らないよう、注意しましょう。

松浦 ありがとうございました。

安喰太郎|AGUI Taro
アディダス ランニングアドバイザー
ランニングチーム「Harriers」代表/英国陸上競技連盟公認コーチ。
イギリスへ留学して陸上競技のコーチ資格(UK AthleticsLevel 2)を取得。帰国後の2005年10月、会員制ランニングチーム「Harriers」を立ち上げ、代表を務める。現在はHarriersの練習会を中心に、NHK文化センターの講師や、adidasの各種ランニングイベントのコーチも務める。

安喰太郎|AGUI Taro

adidas RUNBASE

adidas RUNBASE
東京都千代田区平河町2丁目16-1 平河町森タワー1F
営業時間|平日:7:00~22:30 土日祝:7:00~19:00
料金|ビジター 700円
シューズレンタル 100円
ウェアレンタル(一点) 300円 (一式) 500円
タオルレンタル(小) 100円 (大) 200円
http://adidas.jp/running/runbase/

安喰太郎氏もコーチとして参加!
レベルや目的を選べる各種ランニングレッスンを毎日開催中!
RUNBASE RunningClinic
料金|無料
※施設使用料は別途必要
※要予約
http://adidas.jp/running/clinic/
adidas RUNBASE
Tel. 03-3261-9980

           
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