特集|カルチャーの達人に訊け! 冬の夜長をたのしくする音楽・本・映画Vol.3
達人たちがリコメンドするエンターテインメント Vol.3
時代の先端を走りぬく、そんな先達たちが薦める音楽・本・映画とは──。
シンガーのJUJUさんや俳優の伊勢谷友介さんから、 OPENERS連載陣まで計25人の達人が、 本当は教えたくないとっておきの作品を、今回OPENERS読者のために大公開してくれた。
第3回目は、女優の市川実和子さん、建築家の谷尻誠さん、ファッション・ジャーナリストの生駒芳子さん、音楽家/文筆家/音楽講師の菊地成孔さん、トラベルジャーナリストの寺田直子さんが登場。この機会に、まだ出会ってないすてきな作品と出会ってみては。
市川実和子|ICHIKAWA Miwako
女優
──2011年の抱負は?
本をたくさん読もうと思います。
MUSIC
『WWII Transcriptions』
Nat King Cole Trio
Music & Arts Program
今年のお正月に、わたしが聴きたいのは、こういう時代の、こういうロマンチックな音楽かなぁと、なんとなく思いました。
BOOK
『芥川龍之介ちくま日本文学2』
著者|芥川龍之介
筑摩書房
お正月を思うと、芥川龍之介の短編「蜜柑」が浮かびます。
MOVIE
『寝取られ男のラブバカンス』
監督| ニコラス・ストーラー
ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
「ママと恋に落ちるまで」という(これもおもしい!)シットコム(編集注:シチュエーション・コメディの略称)に出ている、ジェイソン・シーゲルという俳優さんに最近お熱ぎみです。彼が主演のこの映画はまだ観ていないのですが、お正月に観ようと思っています。くだらなくておもしろいらしいです。脚本も彼が書いていると聞き、ますます楽しみです。
(C) 2009 Universal Studios. All Rights Reserved.
谷尻誠|TANIJIRI Makoto
建築家
──2011年の抱負は?
もっと建築の魅力を社会に伝えていくこと。
MUSIC
『NEWOLD』
大橋トリオ
エイベックス
勝手に広報活動するぐらい好きなアーティストなので。
BOOK
『スラムダンク』
著者|井上雄彦
集英社
やはり、何度読んでも泣けます。
全巻を一気に読みたいです。
MOVIE
『ハーブ & ドロシー』
監督|佐々木芽生
シアター・イメージフォーラム他、全国順次公開中。
自分の好きなものを信じることの大切さが、ここにあるように思います。
生駒芳子|IKOMA Yoshiko
ファッション・ジャーナリスト
──2011年の抱負は?
魚座から水瓶座へ移行すると言われるキーイヤーです。物質優先の時代から、スピリットや知性が優先する時代へ。そんなスピリチュアルパワーが加勢してくれる勢いのなか、私が注目しているのは、エシカル・ファッション、COOL JAPANプロジェクト、プロボノ、ファッション×アート、クラフツマンシップなどなど、です。ひとつひとつのプロジェクトを大切にして、スピリットをこめて企画、運営していければと考えています!
MUSIC
『AISHA.EP』
AISHA
Ariola Japan
宇多田ヒカルの再来?と思わせる、日米ハーフの歌姫を最近発見! ゴスペルからヒップホップまで、自在に歌いこなし、なおかつファンキーでスタイリッシュなルックス!
今後が期待される。
BOOK
『社会貢献でメシを食う』
著者|竹井善昭
ダイヤモンド社
今年、アメリカの大学卒業生たちの人気就職先のトップは、教育NPO「ティーチ・フォー・アメリカ」。日本でも社会貢献で身をたてたいと考える若者が急増中! そんな向きにお薦めの、社会貢献初心者必読の一冊。
MOVIE
『ゴダール・ソシアリズム』
監督|ジャン=リュック・ゴダール
フランス映画社
大きな歴史よりも、小さな歴史にフォーカスする。そんなゴダールならではの視線が、またあらたな物語とビジュアル世界を生んだ。パティ・スミスが好演している点に、とりわけ注目したい。
(C)フランス映画社
菊地成孔|Kikuchi Naruyoshi
音楽家/文筆家/音楽講師
──2011年の抱負は?
マイペース
MUSIC
『バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻』
グレングールド
ソニーレコード
日本酒に飽きたら洋酒に変えて、窓を開けて空でも見ながらこれを聴くと、まるでお祓いでも受けている感覚になります。
BOOK
『2001年宇宙の旅』
著者|アーサーCクラーク
早川書房
映画も一緒にやるともっと最高だけれども、とにかく、60年代に考えられていた2001年から10年経った。
(C)ハヤカワ文庫SF カバーイラスト
MOVIE
『エルミタージュ幻想』
監督|アレクサンドル・ソクーロフ
紀伊國屋書店
観れば解るが、これほど日本の正月に合う外国映画はない。お屠蘇とお節をやりながらどうぞ。
寺田直子|TERADA Naoko
トラベルジャーナリスト
──2011年の抱負は?
トラベルジャーナリストとしては、「インテリジェンスのある旅」というテーマをさらに追及し、より深い考察、旅へのモチベーションをうながすような仕事ができること。個人的には快活に人生を進むためのからだと意識のメンテナンスを。
MUSIC
『Salena sings J-Ballad』
サリナ・ジョーンズ
ポニーキャニオン
尾崎豊の「I Love You」、サザン「いとしのエリー」などエバーグリーンのJ-バラードをベテラン、サリナ・ジョーンズが極上のシルク・ヴォイスで歌い上げます。寝坊をした遅い朝や、ドライブ中、夜更かしなど休日のどんなシチュエーションでもサラリと耳になじみ、新鮮で心地いい贅たく感が楽しめます。
BOOK
『また会う日まで 上下』
ジョン・アーヴィング
新潮社
巨匠ジョン・アーヴィングの小説はとにかく長くて複雑。じっくり取り組まないとダメ。だから、この上下1000ページ超の大作はお正月に最適。硬質な空気感の北欧を舞台に時間軸をさかのぼってたどる作風は、ストーリーテラーのアーヴィングの真骨頂。途中、飽きてくるかもしれませんがそれを乗り越えたあとの圧倒的な感動は、読み終えたひとだけのとっておきの「お年玉」です!
MOVIE
『長州ファイブ』
監督|五十嵐匠
リベロ
幕末のもうひとつの青春ドラマ。のちに初代内閣総理大臣となる伊藤博文など5人の若者が日本の未来を託されてイギリスに密航した史実を再現。思想だけではない純粋な日本への忠誠心、日本人としての誇りに胸が打たれます。キャスティングも秀逸。こころざしをあらたにする新年にぜひ。