経済とアートの感覚をシームレスに(Vol.1)| Art Technologies
LOUNGE / ART
2020年1月10日

経済とアートの感覚をシームレスに(Vol.1)| Art Technologies

Art Technologies|アートテクノロジーズ

アート作品との距離感

アナタは、絵画の前にいる。彫刻でもいい。その作品を好きだと思ったとしよう。そんな時に、ふと作家の名前に目が止まる。それからどんな人が、この作品を創り出したのだろうかと思いを巡らせる。その場に作家がいれば、おそらくアナタは作家の話を面白がりながら聞くことができるだろう。作品を通して繋がった感性に共感が生まれるのか、驚きが生まれるかは、作家の言葉や考えを知ることで大きく変化すると思う。しかし、その作品が好きだという気持ちは増幅していくはずだ。作家自身を知ることで作品との距離が縮まる心の化学反応。さて、アナタはそのような出会いをどれくらい経験したことがあるだろうか?

Photography by WAGA Eiryo|Text&Direction by MOROOKA Yusuke

アートとの関係性

日本のアートシーンは、美術品市場規模が約2,460億円*と世界の市場規模の約7兆5,000億円*からみれば、シェアが約3%。国内のアート市場規模の広がりが期待される中で、アートとテクノロジーを掛け合わせた事業を展開する『Art Technologies(アートテクノロジーズ)』が東京馬喰町にギャラリーをオープンした。

アートテクノロジーズは、主にアートを販売するギャラリー機能とアートを月額でリースするサブスクリプションサービスを主軸とした企業。スマートフォンAR技術を利用したアート専門ECアプリ『Art Technologies Online』と馬喰町のギャラリーを運用している。オンラインで取り扱う作家は、法人に限りサブスクリプションサービスでも作品をリースすることが可能で、アートに興味はあるけれど、購入までは踏み出せないという個人や企業に間口を広げている。

“アートを購入しようと考えた時、市場で評価を得ている作品の良さを知るには知識が必要です。そして、マーケットの流れを知った上でないと価値の良し悪しへの判断が難しい。アートの購入に踏み出せない人や企業の一歩目を「好き」というものから始めるにはどうしたらいいか。そういうことを考えながら、アートの入り口の垣根を外しているのがアートテクロジーズの特徴です”
と語るのは社長の居松篤彦氏。では具体的にどのようにして垣根を外しているのだろうか。

どのように入り口の垣根を取り払うのか

キュレーターの細野晃太朗氏は「服を選ぶような感覚でアートを選んでほしい」という。現代アートは、誰もやったことのない作品を発明することが評価に繋がる。そのため、作品が何を表現したいのかを、一見した限りでは理解することは難しい。現代アートを主に取り扱うアートテクノロジーズでは、作品との間にある障壁を取り除くための取り組みを積極的に行なっている。
その1つが、作品だけでなく作家自身にもフォーカスした取り組み。

“アートの良さは、作品と対面した時に感じられるものなので、デジタルでできることは限られるとは思っています。その中で弊社ができるのは、作家本人にもフォーカスしていくこと。例えばアトリエに行き、生の作家自身を映像で撮ることで、その時点での作家の思考をアーカイブし続けています”
作家が持つ空気は、言葉だけでは届かない。映像にすることで作家自身のメリットも大きいのだと細野氏は続ける。

“作家をアーカイブすることで作品の文脈も追えるし、背景もわかりやすくなる。さらにその情報を利用して、縦横無尽に発信していける。例えば、日本の作家はこんな環境や思考で作品を作っているという情報を海外にも発信できる。枠に捉われず、タッチポイントを増やすことで作家が勝負できる機会を広くしていける。というのがビジネス的な理由で、単純に人間的に魅力がある作家を僕たちももっと応援していきたい。そこに作品だけでなく、アーティストにもフォーカスし続けるギャラリーとしての理念があります”
映像は、アートテクロジーズの公式Vimeoページで閲覧できるのでお薦めしたい。この映像だけでも作家の不器用だけれど飾らない言葉に誘われて、彼らが生み出す作品に興味が湧いてくる。このアプローチは、冒頭にも描いた経験を擬似的に生んでいる。

人とアートを繋げる

サブスクリプション事業で人と作品との出会いを創出し、作家自身をアーカイブし続けることで作家と作品を繋げていくアートテクロジーズが生む循環。そこには作家への期待と想いが込められている。

“アートとの関わり方は十人十色。最終的にどれだけアートに還元されるかということが重要です。それは、作家自身が評価されるほど、彼らの豊かさにも繋がっていくべきだと考えています”

細野氏はその話しを受けて続ける。
“アートというのは作家だけのものでなくて、作品を所有する買い手の理解がないと成立しません。買い手は、作品を購入することで作家を押し上げ、作家は作品を精力的に発表することで評価を受ける。評価があがるほど、買い手が所有する作品は資産として価値が高まっていく。その循環が、芸術という文化を醸成させていくと思います”
その道筋を作るのがギャラリーの役割で、事業活動そのものが広い意味でアートへと還元される循環を生む。次回はアートテクノロジーズが繋げる人とアートの関係を作家視点と実際にサブスクリプションサービスを導入している企業視点から見てみよう。
*The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2019 UBS & Art Basel 調べ
*日本のアート産業に関する市場調査 2018 一般社団法人アート東京調べ

居松篤彦(すえまつ あつひこ)

1978年生。 関⻄大学社会学部社会心理学科を卒業後、有限会社弥栄画廊に勤務。2005年、株式会社サイズを設立。2015年、SHUMOKU GALLERYを設立。 現代美術専門ギャラリーとして国内外のアートフェアなどにも参加する。2019年アートテクノロジーズ株式会社を設立。現在に至る。

細野晃太朗(ほその こうたろう)

1986年生。東京都出身。
2013年、東京都千代田区の半蔵門にオルタナティブスペースANAGRAを創立し国内外のアーティストの展覧会を週に一回のペースで企画。発表した作家の数は100を超える。ANAGRAは2019年で7年目を迎え、今もまだ見ぬエッジの効いたアーティストや音楽を紹介し続けている。社会と作家の接点を作ることをモットーに現在フリーのアートディレクターとしても活躍し、自身もクリエイターとして内装や什器なども制作している。2019年アートテクノロジーズ株式会社に参画し、ART START UP100の総合ディレクターとして活躍。現在に至る。


ギャラリー情報
INFO
東京で活躍する⼥性アーティスト3名による展覧会 “NEWEN “


会期|2020年1月25日(土)~2月7日(金)
時間|13:00~20:00
※金・土は13:00~22:00
※日・月は休廊
作家:山崎由紀子 / wimp / 添田奈那
・オープニングレセプション:1月25日(土)17:00~22:00

-ABOUT NEWEN-
2020年より⽇本橋⾺喰町にオープンしたギャラリースタジオBAF(バフ)で初の企画展を開催します。

NEWEN(ニューン)と題したこの企画展では、今までで交わることの無かった3名の作家をキュレーションし、新作を含めた彼⼥たちの代表作を展⽰します。不可思議な画⾯構成のペインティングが特徴の『Yukiko Yamasaki/⼭崎由紀⼦』。ペインティング、プリント作品、映像、3Dプリンターによる彫刻など様々な⼿法で構成されたインスタレーション作品を中⼼に発表する『wimp/ウィンプ』。そして展⽰の経験は少ないながらも昨年9⽉に代官⼭のヒルサイドフォーラムで開催された”ART STARTUP 100”に選出され、彼⼥独⾃のキャラクターのペインティングで⼈気を博し、アニメーション作品も秀逸な『Nana Soeda/添⽥奈那』。

また、会場には制作のプロセスで出た廃材や、⽣活の中で発⽣したゴミを展⽰。アイディアから作品になるまでの消費を可視化することで普段⾒ることのできない”作品の⾎⾁”を鑑賞することができます。

現代を⽣き抜く作家のエネルギーの消費と循環を是⾮ご⾼覧くださいませ。
BAF STUDIO by Art Technologies
現在、1月中旬の企画展に向けて準備中。情報は下記の公式サイト随時更新しています。
> Google map

https://www.art-technologies.co.jp

Vimeo
https://vimeo.com/bafstudiofilms

Instagram
https://www.instagram.com/baf.tokyo/
                                      
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