「シュルレアリスムと絵画 ―ダリ、エルンストと日本の『シュール』」展、約100点の作品集結|ART

左/古賀春江《白い貝殻》1932年(昭和7) 油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵。右/三岸好太郎《海と斜光》1934年(昭和9) 油彩/カンヴァス 名古屋市美術館蔵。

LOUNGE / ART
2019年10月27日

「シュルレアリスムと絵画 ―ダリ、エルンストと日本の『シュール』」展、約100点の作品集結|ART

ART|実験的技法による絵画から現代美術家の映像作品まで網羅

箱根・ポーラ美術館にて、シュルレアリスムの誕生から日本での変遷までを紐解く

2019年は、シュルレアリスム誕生から100年という節目に当たる。この100年で変遷を遂げたシュルレアリスムの展開と、フランスから日本、そしてアメリカ、アジアにいたるまでのシュルレアリスムの広がりを、約100点の絵画、版画、映像作品などでたどる「シュルレアリスムと絵画 ―ダリ、エルンストと日本の『シュール』」展が、箱根のポーラ美術館にて、2019年12月15日(日)~2020年4月5日(日)まで開催される。

Text by OZAKI Sayaka

フランスからアメリカ、日本、アジアにいたるまで、シュルレアリスムの誕生と変遷を辿る展覧会

フランスの詩人、アンドレ・ブルトンが中心となって推し進めた「シュルレアリスム」は、20世紀において最も大きな影響を及ぼした芸術運動のひとつだ。彼らは理性を中心とする近代的な考え方を批判し精神分析学の影響を受けて、無意識の世界に「超現実」という新たなリアリティを追い求め、1924年には「シュルレアリスム宣言」を発表し、グループとして活動を開始した。
やがてシュルレアリスムは詩や思想だけではなく絵画の分野にも拡大し、ドイツ出身の画家マックス・エルンスト(1891~1971年)による実験的な作品が生み出され、また時を同じくしてスペインからこの運動に加わったサルバドール・ダリ(1904~1989年)は、「偏執狂的=批判的」方法という独自の理論にもとづいて絵画を制作し、美術だけではなくファッション界をも巻き込む大きな流行を作り出した。
こうした動向は同時代の日本にも伝えられ、1928年にブルトンが発表した『シュルレアリスムと絵画』は、瀧口修造(1903~1979年)によって早くも1930年に日本語に翻訳・刊行され、「超現実主義」という訳語のもと、1930年代を通して最新の前衛美術のスタイルとして、一大旋風を巻き起こした。しかし、日本では「無意識の探究」という元来の目的を離れて、第二次世界大戦へと向かう時代の閉塞感と響き合いながら、現実離れした幻想的な芸術として受容されていった。そして、次第に東洋的な思想と混ざり合いながら、独自の絵画表現や日本独特の「シュール」という感覚が生まれるに至った。
この「シュルレアリスムと絵画 ―ダリ、エルンストと日本の『シュール』」展では、西洋におけるシュルレアリスム運動からどのようにシュルレアリスム絵画が生まれたのか、さらに日本の前衛的な画壇における超現実主義への展開を経て、やがてこの「シュール」な感覚が、映画や漫画の世界に与えた影響に焦点を当てる、世界で初めての展覧会である。
シュルレアリスムと絵画 ―ダリ、エルンストと日本の「シュール」

会期|2019年12月15日(日)~2020年4月5日(日)
会場|ポーラ美術館
住所|神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
時間|9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日|無休(展示替えのための臨時休館あり)
問い合わせ先

ポーラ美術館
Tel.0460-84-2111
https://www.polamuseum.or.jp/

                                  
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