藤原ヒロシのシングルジャケットを手掛けたsoh souenの個展が原宿で開催|ART

soh souen, untitled の一部。2019(130.3×162cm) © soh souen

LOUNGE / ART
2020年11月24日

藤原ヒロシのシングルジャケットを手掛けたsoh souenの個展が原宿で開催|ART

ART|アイデンティティーを軸に独創的な表現手法で編み出された作品

アイデンティティーと身体性を表現する画家soh souen(ソー・ソウエン)の個展『ささやかな叫び A Modest Scream』が開催

東京・神宮前のアートギャラリー、The Massにて、soh souen(ソー・ソウエン)の個展『ささやかな叫び A Modest Scream』が、2020年11月21日(土)から12月27日(日)まで開催される。

Text by OZAKI Sayaka|Edit by TSUCHIDA Takashi

ポートレート作品に加えて、パステル作品とインスタレーション作品も展示

soh souen(ソー・ソウエン)は1995年福岡生まれの画家。大学在学中から一貫して身体、自己、他者などアイデンティティーを軸に、身体を有する存在として現代における絵画制作の探究を続け、証明写真を元に描いた初期作品「body to body」を経て、ポートレート作品「tie」、抽象表現によるパステル作品「etude」「caress and hug」へと自身の表現領域を広げ、2020年10月にリリースされた藤原ヒロシの『slumbers 2』のジャケットも手掛けた。

この度、The Massにて開催される個展『ささやかな叫び A Modest Scream』は、桑園 創(くわぞの はじめ)の名義から一新したsoh souenによる最初の展覧会となる。
「tie」は知人の証明写真を元にピクセルに起こし、それらをオイルペインティングによって、ドット状の集合体として表現した作品。1辺6ミリの正方形ドット一つひとつからなるマチエールの繊細さとグリッド化した構図の緻密さは、画家自身の存在意義や他者との関係性から紡ぎ出される言葉や思いを、独自のアプローチでキャンバスへと落とし込んだものだ。柔らかな色調と余白のコントラストが鑑賞者の目によって像を結び、作品そのものが有する脆さと強さの在り様を表している。
抽象表現による作品「etude」、「caress and hug」は、顔料や土を混ぜ自作のパステルを作り、自身の手で直接紙に描いたもの。紙をなぞり絵肌と対話を重ねて作り上げられた色面から、鑑賞者は静かに湧き上がる内なるエネルギーを感じ取ることができるだろう。通常、パステル絵画などは経年劣化を考慮し最終的に定着材などを用いるが、souenはあえて顔料を紙面に定着させず、永遠に触れられる媒体としている。これは、より身体性を画面に求めるプロセスから導き出された、独創的な表現方法である。本展ではパステル作品と合わせ、身体をイメージし、治癒や浄化を元に採取された25種類のハーブと香木を配したインスタレーション作品「my body, your smell, and ours」の新作も発表される。

ソー・ソウエンは本展に際して、
「私 他者 痛み(限りなく快楽に近い)身体 治癒
本展示が決まった際にノートに記したもの。
これらの言葉が作品の見方を一方的なものに追いやって欲しくはないが
治癒という言葉にもある通り、希望の念をもとに思考を重ねた。
そして身体の回復を実感しながら、治癒という営みがいつも秘めている強烈さを感じながら
1枚1枚の絵を描いていく毎に、傷つきやすい襞やくぼみだらけの存在を大事に包んでいる何かに
触れた様な気がする。
か弱くて繊細な光、絶えずこぼれ落ちるもの
生きているという事実による輝きや肌触り
描くことの、身体の祝福。
最後まで決して手離してはいけないもの」とステートメントを発信した。

絵画制作を通して、自己、身体、他者の存在といったアイデンティティーを表現する本展に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろう。

『ささやかな叫び A Modest Scream』

  • 会場|The Mass
  • 住所|東京都渋谷区神宮前5-11-1
  • 会期|2020年11月21日(土)~2020年12月27日(日)
問い合わせ先

The Mass
Tel.03-3406-0188
http://themass.jp/