東京国立博物館にて特別展「桃山―天下人の100年」開催|ART
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2020年10月26日

東京国立博物館にて特別展「桃山―天下人の100年」開催|ART

ART|室町時代末期から江戸時代初期にかけての名品約230件を通覧

時代の意識と美術表現の変遷を豪華絢爛な作品で検証

東京・上野の東京国立博物館にて、日本の美術史上で特筆される豪華絢爛な文化が隆盛した「桃山時代」を中心に、時代の変遷が美の表現にどのような影響を与えたかを探る特別展「桃山―天下人の100年」が、2020年10月6日(火)~11月29日(日)まで開催される。

Text by OZAKI Sayaka|Edit by TSUCHIDA Takashi

国宝と重要文化財を含む逸品が揃う展覧会

政治史における安土桃山時代は、1573年の室町幕府の滅亡から1603年の江戸幕府開府までの30年間を指す。この30年間に花開いた日本美術史上もっとも豪壮で華麗な「桃山美術」を中心に、室町時代末期から江戸時代初期にかけての約100年間に生まれた美術品を通して、移り変わる日本の美意識を数々の名品によって紹介する特別展「桃山―天下人の100年」が開催される。
戦国の幕開けを象徴する鉄砲伝来が1543年、島原の乱鎮圧の翌年にポルトガル船の入国が禁止され、鎖国が行なわれたのが1639年。豊臣秀吉が北条氏を滅ぼし天下統一を果たした1590年が、その100年間のほぼ中間地点といえるだろう。本展では、戦国武将が争う下剋上の時代から江戸幕府による治世へと移り変わる、室町時代末期から江戸時代初期にかけての約100年間に生まれた美術作品を概観し、美術史上「桃山時代」として位置づけられるその特質を、歴史上の武人や茶人、文化人ゆかりの約230件の優品を通して、どのように文化が形作られていったのか、その変化を通覧できる。
本展は、「桃山の精髄―天下人の造形」、「変革期の100年―室町から江戸へ」「桃山前夜―戦国の美」、「茶の湯の大成―利休から織部へ」、「桃山の成熟―豪壮から瀟洒へ」、「武将の装い―刀剣と甲冑」、「泰平の世へ―再編される権力の美」の7章で構成される。
絵画では、室町時代末期から江戸時代初期にかけての京の移り変わる姿を描いた「洛中洛外図屛風」をプロローグとして、狩野元信(かのう もとのぶ)から孫の永徳(えいとく)、その孫の探幽(たんゆう)、長谷川等伯(はせがわ とうはく)や海北友松(かいほう ゆうしょう)、雲谷等顔(うんこく とうがん)による障屛画や、江戸時代初期の風俗を写した風俗画など、国宝や重要文化財を含む名品が展示される。
そして、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康など武将らが天下の覇権を争った時代の武具甲冑や、大名たちが励んだ茶の湯にまつわる道具、やきもの、書なども通覧できる。桃山文化が花開く前夜ともいえる室町時代に、儀礼と格式を重んじ展開されていた文化活動が、応仁の乱を転機として各地の戦国大名へと広がり、彼らの志向を加味した威圧的な表現へと、そして彼らの後継者たちが力を誇示する豪放さから離れ、優美で自然な調和を重んじた美の世界を作り出していく変遷を追うことができる。

特別展「桃山―天下人の100年」

  • 会期|2020年10月6日(火)~11月29日(日)
  • 会場|東京国立博物館 平成館
  • 住所|東京都台東区上野公園13-9
  • ※混雑緩和のため事前予約制。入場はオンラインで日時指定券の購入が必要
  • 主催|東京国立博物館、読売新聞社、文化庁
  • 特別協賛|キヤノン、JR東日本、日本たばこ産業、三井不動産、三菱地所、明治ホールディングス
  • 協賛|清水建設、髙島屋、竹中工務店、三井住友銀行、三菱商事
問い合わせ先

東京国立博物館
Tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/momoyama2020/