NEWS|2016年、「小田原文化財団 江之浦コンプレックス」誕生へ
NEWS|“杉本芸術”の集積地が小田原に
2016年、「小田原文化財団 江之浦コンプレックス」誕生へ
芸術家の杉本博司氏が設立した小田原文化財団が、演劇や芸術などを擁する芸術文化施設「江之浦コンプレックス」の建設に着工。2016年に完成が予定されており、能舞台やギャラリー、茶室など、“杉本芸術”を一堂に堪能する場ができることになる。
Text by YANAKA Tomomi
ギャラリー棟や能舞台、安土桃山時代の茶室の再興も
写真家であり、演劇や古美術、建築にまで造詣が深いことで知られる杉本博司氏。小田原文化財団は、彼が古典演劇から現代演劇までの伝承・普及を図り、古美術から現代美術に至る美術品などを保存・公開し、世界に発信しようと2009年に設立した。
そんな杉本氏の審美眼によって選ばれた美術品を鑑賞することができ、“杉本芸術”の真髄を体感できる場として「江之浦コンプレックス」が誕生。近世より、高度な技法を有した職人集団が発達、その伝統が連綿と受け継がれた神奈川県小田原市の江之浦地区に建設される。
箱根外輪山を背に相模湾を臨み、小田原市街から房総半島、大島までが一望できる場所に建てられる「江之浦コンプレックス」。施設のなかには美術鑑賞のためのギャラリー棟、かやぶきの能舞台などを擁するという。さらに、1590年、安土桃山時代に豊臣秀吉が小田原攻めの際、千利休に命じてつくらせたという茶室「天正庵」を再興し、室町時代の遺構である明月門の移築、回遊式庭園なども設け、現在では継承が困難になりつつある伝統的な工法や技法が再現される予定だ。
幼いころから小田原に魅了されていたという杉本氏は「縄文時代より受け継がれてきた、人と自然が調和のうちに生きる日本文化がいま、世界に求められている。日本文化発信の首都として、小田原は将来位置づけられることとなる」と語る。
“杉本芸術”の集大成ともいえる「江之浦コンプレックス」。2016年の完成をいまから心待ちにしたい。
問い合わせ
公益財団法人小田原文化財団
Tel. 03-3473-5235
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