ART|宿泊できるインスタレーション『HOTEL HORIZONTAL』などを公開
ART│温泉街を舞台にしたアートフェスティバル『道後オンセナート 2014』
宿泊できるインスタレーション『HOTEL HORIZONTAL』などを公開
愛媛県松山市で今年4月に開幕するアートフェスティバル『道後オンセナート 2014』の今年4月の本開催に先立ち、一部の作品が12月24日(火)から公開された。著名アーティストがホテルや旅館の1室をインスタレーション作品として生み出した『HOTEL HORIZONTAL』などが披露され、グランドオープンを前にさっそく盛り上がりを見せそうだ。
Text by YANAKA Tomomi
荒木経惟、草間彌生、谷川俊太郎ら豪華アーティストが集結
由緒ある道後温泉本館改築120周年を記念し、松山市の温泉街、道後を舞台にして開催されるアートフェスティバル『道後オンセナート2014』。市民や子どもたちが参加できるアートイベントや作品の展示・公開などが繰り広げられる。
なかでも温泉街ならではの企画といえるのが、周辺の10のホテルが参加する宿泊対応可能なアート作品『ホテル ホリゾンタル』。各ホテルの1室をそれぞれのアーティストが、今回のテーマである「最も深い夢The deepest dream」に合わせてインスタレーションを施すというもの。もちろん宿泊可能だ。
12月24日(火)からは10軒のホテルのうち、5軒のホテルでプレオープン。「ホテル古湧園」では写真家の荒木経惟が写真作品などを配置した『楽園』を発表するほか、前衛芸術家の草間彌生は「宝荘ホテル」で『わが魂の記憶。そしてさまざまな幸福を求めて』と題した部屋をつくりあげる。
さらに、日本を代表する詩人の谷川俊太郎は、彼が道後温泉を訪れ、仕事をする部屋というコンセプトで演出。ファッションブランド「ミナ ペルホネン」のデザイナー皆川明は、壁も床もすべての面を真四角な琉球畳で覆い、シンプルな空間にミナペルホネンの代表的なテキスタイル『choucho』のファブリックやリネンがアクセントとなった愛らしい部屋を出現させる。
また地元愛媛県砥部町出身であり、長年ファブリックブランド「マリメッコ」でテキスタイルデザイナーを務め、現在はフィンランドの国民的陶製所「アラビア」のアート部門の一員として陶芸制作に取り組む石本藤雄は、自身がデザインしたファブリックをもちいてつくられたリネンなどで和洋を軽やかに融合させたオリジナルルームを披露。これらの部屋はすべて宿泊が可能であると同時に、一般公開の時間も設けられている。
このほかにも『道後オンセナート 2014』のプレオープンを記念し、アーティスト平野治朗による、市民が光る風船をもって参加し巨大な光の河をつくりだすアートインスタレーション『GINGA』や作品発表など多彩なイベントが並ぶ。
体験型のアートをとおして道後のあらたな魅力を発信する道後温泉。120周年の大還暦を迎える由緒ある道後温泉本館が、地域がさまざまなアーティストの手によりアート作品へと変貌する瞬間を見てほしい。