ピーター・ソウルとエリック・パーカーによる2人展が渋谷・NANZUKAで開催|ART
LOUNGE ART
ART|アメリカのポップカルチャーとサブカルチャーの要素をベースに描かれる世界
名画をサンプリングするピーター・ソウル、
ビビッドな色彩で描くエリック・パーカーによる2人展
渋谷・NANZUKAギャラリーにて『ピーター・ソウル and エリック・パーカー』展が、2019年6月1日(土)~7月6日(土)に開催される。テキサス大学で教鞭を取っていたピーター・ソウルと、その教え子であるエリック・パーカーの初となる師弟展だ。
Text by OZAKI Sayaka
コミックのスタイルに影響を受けた、ふたりの作品を展示
ピーター・ソウルは、1934年にシカゴに生まれ、カリフォルニア美術学校とワシントン大学で学んだ後、’64年までフランスに在住。帰国後はサンフランシスコで過ごした後、’80年代から’90年代にかけてテキサスに移り、テキサス大学で教鞭を執った。ピーター・ソウルは、政治風刺やパロディを掲載するコミック誌『MAD(マッド)』のスタイルに着想を得て、’58年にドナルドダックやミッキーマウスを引用した漫画的なスタイルの作品を制作。これらの作品は近年に再び評価を得て、最初期のポップアート運動に関係したアーティストとして認識されている。
エリック・パーカーは、’68年ドイツのシュトゥットガルトで生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動する作家であり、ソウルの教え子でもある。エリック・パーカーは、自身の作品のルーツとして『MAD』などのアンダーグラウンドコミック、風刺イラスト、グラフィティへの関心とともに、最も重要な影響はテキサス大学で教えを受けていたピーター・ソウルの存在にあると語る。本展は、エリック・パーカーによって企画され実現した、初の師弟展でもあるのだ。エリック・パーカー作品にある、計算された鮮やかな色彩と多様なモチーフの混沌とした組み合わせからなる独特で幻想的な肖像画や風景画が生み出された背景には、ルールや潮流に縛られることなく、自身の内面を鋭く深く考察することで生まれる創造性に忠実であろうとするピーター・ソウルの教えが読み取れる。
一方、ピーター・ソウルは個人的な関心と強迫観念に忠実であることに基づき、歴史的な名画のサンプリングや政治家の肖像、美術史にまつわる逸話などを題材として、カラフルかつ独自の作品を半世紀に渡り生み出してきた。その作品の多くは、ピーター・ソウル自身のアイロニカルなユーモア、グロテスクとされて卑下されているものへの愛情から生まれた産物である。
ピーター・ソウルは、本展のために完成させた新作のペインティング『Van Gogh Cuts Off His Ear』について、「ついに、ゴッホの耳が私の作品の主題として降臨したことを、私はとても嬉しく思っている。モナリザに次いで美術史で最も有名な出来事であるにも関わらず、85歳になるまでそれは起こらなかった。もし運が良ければ、もう何度かこの主題について取り組むことができるかもしれない、と考えている。なぜなら彼は、私の想像の中で“再生”したばかりだから」とユーモアを込めて語った。
『ピーター・ソウル and エリック・パーカー』
会期|2019年6月1日(土)~7月6日(土)
会場|NANZUKA
住所|東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビルB2F
時間|11:00~19:00(月曜日、日曜日、祝祭日は定休)