植物と真摯に向き合う展示「叢 - 器を纏う」|ART
LOUNGE / ART
2016年9月10日

植物と真摯に向き合う展示「叢 - 器を纏う」|ART

ART|独自の美しさを提案する

植物と真摯に向き合う展示「叢 - 器を纏う」

多肉植物を集めた「叢 - 器を纏う」がCIBONE Aoyama(シボネ青山)で開催中だ。印象的な形をした植物が、陶芸家である寒川義雄が仕立てた器を纏う。

Text by WASEDA Kosaku(OPENERS)

コンセプトは“いい顔してる植物”

“いい顔してる植物”をコンセプトに、独自の美しさを提案する植物屋「叢 Qusamura」。店主の小田康平氏が自ら国内外を旅して集めた個性あふれる植物を、その個体の特徴を引き出す器と合わせて提案する。

店名は、彼が植物を見つける場所を「くさむら」と呼んでいたことから。普通の人にとってはただの草の群がりに見える場所に、個性ある美しさが眠っていることがある。『Qusamura』の“Q”は、「Question」からとったもの。個性的な叢の植物たちに出合った時「これ、なに ?」と、はじめに不思議を感じ、「?」から叢の世界観に入って欲しいという願いを込めている。

厳選された多肉植物は、画一的に”育てられた”ものではない。幾多の歳を重ね、不恰好かもしれないが生き抜いてきた背景を持ち合わせているものや、ある種の生命の極みにある、内面の艶かしさを兼ね備えている。彼は、それらを「いい顔してる植物」と呼んでいる。

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今回、叢の植物は陶芸家の寒川義雄が仕立てた器を纏う。植物と共に存在感のある器を、1年以上の歳月をかけて試行錯誤してきたという。植物たちと真に向き合い、仕立てられた器は100点以上にものぼる。

さらに、ツアーイベントやトークイベントなど、植物をより理解することができる催しも予定されている。ぜひ、器を身に纏った一つ一つのいい「顔」をじっくりと鑑賞してみてほしい。

小田康平|Kohei Oda
叢 店主。1976年広島生まれ。20代の頃、旅先のパリで偶然目にした花と植物による空間演出に感動し、帰国後、修行を経て広島に生花店をオープンした。植物の可能性を模索するなかで「色や形の美しさではなく、ひとつひとつの個性や物語を重視し、時を重ねることが魅力になる植物を扱いたい」との思いが募り、2012年1月、“いい顔してる”植物をコンセプトにした植物屋「 叢 ‒ Qusamura 」を立ち上げた。サボテン・多肉植物を中心に、個性豊かな植物をその特徴を引き出す器とあわせ提案している。

寒川義雄|Yoshio Kangawa
1963年山口県生まれ。広島市にて作陶。暮らしのなかで繰り返し手に包まれる器を制作。薪窯焼成の引き締まった表情の土もの、白磁や堅手と呼ばれる半磁器の器など、多彩な表現の器に定評がある。地元・広島の土を使った粉引は李朝の器を思わせる佇まいのほか、古いやきものに対する憧憬から生まれた作風には多くの人に人気がある。

叢 - 器を纏う
開催期間|2016年8月26日(金)~9月20日(火)
時間|11:00~21:00
会場|CIBONE Aoyama
東京都港区南青山2-27-25 オリックス南青山ビル 2F
http://www.cibone.com/

           
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