和醸和楽|第16回 瑞穂の国の最高の日本酒「磯自慢」
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2015年5月27日

和醸和楽|第16回 瑞穂の国の最高の日本酒「磯自慢」

瑞穂の国の最高の日本酒

良い水、良い米、良い造りの「磯自慢」

青葉にそよぐ風に心地よさを感じる、春風駘蕩の好季節となりました。静岡県の中部政令指定都市・静岡市の西隣、焼津市の蔵元『磯自慢酒造』です。

文=和醸和楽Photo by JAMANDFIX(TOP)

質の良い軟水が湧くところ

焼津市は昨年、隣町・大井川町と合併しました。いままで静岡県で一番面積が狭い市(ゆえに人口密度は静岡県一)でしたが、志太平野の広大な敷地と清流大井川を擁する町との合併により、狭い土地の汚名返上(狭いことによる利点もありましたが……)をして現在にいたっています。

第8回  パンクの女王の倫理的な活動

もともと焼津はご存知の通り、漁業の盛んな町で水揚げ量はつねに全国1位2位を争っています。港は遠洋漁業の焼津港、近海漁業の小川港、そして元大井川町にあった漁業と貿易港の大井川港と大きく3つの港を擁する一大港町です。ゆえに魚にかんする企業は多く存在し、焼津ブランドをはじめ、大手の食品メーカーの製品もかなり製造しています。そして食品製造になくてはならないのが、質の良い大量の水です。

江戸時代より「越すに越されぬ大井川」と呼ばれた大河で、源泉は日本で降水量が一番多い南アルプス連峰のひとつ、標高日本第4位の間ノ岳(あいのたけ・日本百名山)に源を発します。この間ノ岳を源泉とする大井川は、約170kmの道程を経て当地に湧き出ます。非常に質の良い軟水です。一昔前は清水港から輸出もされていました。大井川の流域には多くのボトリング工場、食品会社がこのすばらしい水の恵みをいただいています。当然我われの蔵の仕込み水、そして市販する酒を瓶詰めするさいに割水する水にも使用しています。またこの水は焼津市では地下からの伏流水として湧いていて、上水道としても確保されています。

農家の方々がよりよい米づくりに専念できるように

酒造りというと、良質な酒造りに適した水が非常に大事なわけですが、もう一方で原料米もとても大切です。残念ながら静岡県は消費県で、米の収穫量は多くはありません。また酒米として好適米の作付けも少なく、どうしても他県に頼らざるをえません。

我われは好適米として最高の「山田錦」を手に入れるべく、15年以上前から兵庫県特A地区東条町に通い、当時兵庫県小野市から移入していた山田錦に取って代われるよう田植え、稲刈り、田回りなど毎年何回か訪ねていました。そして約十数年前より熱意が伝わり、特A東条産の山田錦が少しずつ移入することができるようになりました。現在は全量特A地区産特上、特等の山田錦となり約2200俵ほど使っています。

この日本酒の醸造に適した好適米をつくっていただいている農家の皆さんをはじめ、全国の米農家だけに限らず、生産農家の方々の高齢化、また後継者の不足、そして海外での酒米の栽培など、今後の問題となっています。このように年を追う毎に問題は顕在化、深刻化していて、我われ酒造家も真剣に農家の方々がよりよい米づくりに専念できるようにお手伝いをしなければなりません。瑞穂の国にあって、この美しい田園が広がり、輝くばかりの稲穂が揺れる大地に感謝し、弛まぬ努力をつづける農家の方々に敬意を表し、そしてこの最高の「山田錦」で最高の日本酒を一生懸命造り、皆さまに楽しんでいただけたら最高のよろこびです。

完璧に空調管理された、
ステンレス張りの仕込み室

まだ現役の木製の甑(こしき)

急速加熱・急速冷却が可能な
火入れ装置

「ここでもうひと手間かけてあげよう」という気持ち

おいしく安心してお飲みいただける高級な日本酒は、世界の酒のなかでもっとも造ることが大変だと考えます。すなわち複雑な麹造りと発酵技術を必要とし、手づくりにて醸造する技術にかかるウェイトも大きく左右されます。当蔵では、好適米を大切に精米し、ストップウオッチを片手に大量の水を(10kgの米に対し、約500リットルの水を使用)使っての限定したパーセントの吸水をおこない、椹(さわら)でできた甑(こしき)でサバケの良い蒸し米を得ることが大切だと考えています。これが酒造りの初段階となります。

その後は約半月かけて酒母(酵母菌培養・自在保存酵母利用)を造り、寝る間も惜しみ、約70時間かけ吟醸麹(室温約37度、湿度約27パーセントの部屋にて)を造り、5度に保たれたオールステンレスの冷蔵仕込み蔵で大切にゆっくり低温で約1ヵ月間発酵します。そしてきれいに洗った酒袋で上槽します。

このように安心してお飲みいただけるよう、「ここでもうひと手間かけてあげよう」という気持ちを持ちつづけて醸された日本酒は身体に優しく、また安心してお召し上がりいただけます。

皆さまご自身に合ったお好きな日本酒で、心地よい“ひととき”を感じていただけたらこんなに光栄なことはありません。また日本酒を召し上がらない方も、ぜひおいしい日本酒で“0杯から1杯”お試しください。

<h1>第8回  パンクの女王の倫理的な活動</h1>
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「磯自慢」プレゼント

ウェブマガジン オウプナーズでの「和醸和楽 SAKEアカデミー」の連載で毎回紹介する日本酒(720mL)を3名さまにプレゼント。

ご希望の方は下記の応募フォームよりご応募ください。
当選された方には追ってご連絡させていただきます。

また、「日本酒についての質問」もお寄せください。採用された方には「和醸和楽」より人気の日本酒を進呈いたします。知りたい用語、素朴な疑問などどしどしお寄せください。

応募期間|2010年4月1日(木)~4月30日(金/午後12時)まで

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たくさんのご応募ありがとうございました。

           
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