和醸和楽|第1回 「田酒」を生み出す蔵・西田酒造店
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2015年5月29日

和醸和楽|第1回 「田酒」を生み出す蔵・西田酒造店

日本酒の原点をみつめ、新たなSAKEにも挑戦

「田酒」を生み出す蔵・西田酒造店

創業明治11年。本州最北端のみちのく青森。江戸時代には津軽藩の港として栄え、青森発祥の地でもあるという青森県青森市油川の大浜は、津軽半島の付け根、陸奥湾(むつわん)に面して位置する山海の幸に恵まれた土地です。
この大浜に青森市唯一の酒蔵、「田酒」「喜久泉」「善知鳥」の醸造元である西田酒造店があります。

文=和醸和楽Photo by Jamandfix(TOP)

純米の「田酒」、吟醸酒の「喜久泉」と「善知鳥」

「田酒」と書いて、“でんしゅ”と読みます。“田”とはもちろん、酒のもととなる米が穫れる田んぼのことです。
名前のとおり、日本の田以外の生産物である醸造アルコールを一切使っていないことを力強く主張した、米の旨みが生きる旨口の純米酒です。

「日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい」という一念で、昭和45年に昔ながらの完全な手造りによる純米酒の醸造に着手しました。その後商品化までに3ヵ年を費やし、発売は清酒醸造者の全国組織である日本酒造組合中央会が「10月1日は日本酒の日」と定めるのに先立つこと6年、昭和49年の10月1日でした。

当蔵では、「田酒」以外に創業以来造りつづけてきた酒に「喜久泉(きくいずみ)」があります。田酒が純米なのに対して、喜久泉は醸造アルコールを必要最低限に抑えた吟醸酒です。昔ながらの伝統を守りつづけた、おいしさ・旨みを出した飲み飽きしないすっきりした淡麗にして軽快な味です。

東北清酒鑑評会及び、全国新酒鑑評会にはこの「喜久泉」が出品され、業界最高の名誉である金賞を幾度となく受賞しています。「善知鳥(うとう)」もこの「喜久泉」と同様に醸造アルコールを添加した吟醸酒です。

西田酒造店 酵母

西田酒造店 麹

西田酒造店の6つの特徴

造り手、商品管理を問わず女性が多い
酒造時期になると全従業員30名中約半分が女性スタッフです。現場作業はとかく男性視点で作業が進められますが、女性スタッフが多いと目のつけどころが男性と違うため作業の守備範囲が広がります。

蔵がきれい
ひとつの作業が終了するごとにつねに清掃を行います。1日に何度も床の清掃、1日の最後はモップによる床の水拭き。

吟醸酒以上の商品(平均精米歩合53%)
西田酒造店の商品はすべて特定名称酒です。そして、アル添酒はすべて吟醸酒です。米もすべて酒造好適米で、平均精米歩合は53%です。

活性炭不使用
西田酒造店の酒造りにおいての大きな特徴は、活性炭をまったく使用していないことです。
本来活性炭とは、酒の味の変な癖や雑味といったもの、また長期の貯蔵によりついた色や老香(ひねか)を除去するために使用するものです。つまり、西田酒造店はこの活性炭を“悪いところを治す薬”と考えています。薬とは病気を治すためのものです。だとすれば、酒も病気にならなければ薬を使う必要がありません。本来健康なものに薬を処方しますと、かえって健康のバランスが崩れ、体調を害してしまいます。健康な状態に酒を保っていければ、薬の使用は必要ないのです。さらに、この活性炭は必ずしもこのネガティブな要素だけを取り去るわけではありません。薬だから、たしかに傷ついた部分の治療はします。しかし、それだけではなく、先にも述べましたように健全である部分をおかしくしてしまうのです。つまり酒本来の旨みや味も、取り去ってしまうのです。
では健康な酒にしていく、保っていくにはどのようにしたらよいか、それは、できあがった酒の味をつねにチェックし、温度の管理をすることです。
西田酒造店はきめ細かい利酒と、温度管理を徹底することで活性炭「0(ゼロ)」を実現しました。

吟醸酒以上は全量瓶貯蔵
50%以下の吟醸酒、純米吟醸酒に関しては全量瓶貯蔵酒です。つまり瓶貯蔵酒については全量1回火入れとなります。またタンク貯蔵の商品も一部はサーマルタンク、残りはすべて冷房当による温度管理をしています。

麹が全量手造り
製造数量2500石程度の蔵なのに、麹は全量手造りです。

西田酒造店 蒸し米

西田酒造店 洗米

夏場に日本酒をおいしく飲める「氷清(ひょうせい)」発売

夏場はどうしてもビールにお客さまを奪われてしまいます。そして現在は焼酎のロックにもお客さまを奪われてしまいます。「なんとか夏でも日本酒を飲んでもらえないものか?」。
それにはただ冷やして提供するだけではだめ。すぐにぬるくなってしまいます。そこで「清酒のロック」はどんなもんだろうかと。
しかし、清酒のロックは時間経過とともに酒が薄くなりすぎて酒が水っぽくなってしまうといった欠点がありました。
そこでその欠点を以下の点でカバーすることにしました。

2009年の新作

(1)小さなグラスで飲む。氷はせいぜい1個か2個程度しか入らないくらいの小さなロックグラス。(50~80cc程度の内容量がベスト)

(2)小さなグラスなので、一口か二口で飲み切ってしまうため、酒が薄くなりすぎない。

(3)酒は絶対「原酒」規格のもの。最低でもアルコール度数が17%以上の酒。

(4)つまり、原酒でそれほど薄まらずに飲みきれるため、せいぜい氷が解けてもアルコールが16%程度にまでしか落ちない。

(5)容量を小さめにする。最高でも300ml以下。180ml以下がベスト。酒販店でリーチインに入れてもらえるのはもちろん、家庭の冷蔵庫にも簡単に入る。

業務店においては、飲みきりサイズとなるため、つねに開栓したてをお客さまに提供できる。

そして、平成16年8月から「氷清(ひょうせい)」の販売を開始しました。

日本酒ハイボール「SAKEサワー」発売

氷清につづき、夏場の商材としてさらにもう一歩進めて、あえて水っぽくても抵抗なく飲める酒を目指して考案しました。
アルコール度数を、ビールにできるだけ近づけながら(アルコール度数を10%以下)水っぽく感じさせないようにするため、炭酸水と割る。日本酒ハイボールのような感じです。日本酒1に対して炭酸水1の割合。
酒の旨みをじっくり堪能するというのではなく、喉越しを楽しむ酒。そんな飲み方をしてもらう酒。
この酒もやはり、水で割るということもあり原酒規格のものとしました。
昨年の平成20年から発売を開始しました。

2009年の新作

地元の米と地元の酵母で全国新酒鑑評会に挑戦

地元の米とは、青森県酒造好適米の4代目「華想い」。
「華想い」は1988年青森県農業試験場で「山田錦」を母に「華吹雪」を父として人工交配、日照時間をコントロールするなどの手法で開発に着手。
何年もの期間を経て1998年に「青系酒140号」と名づけられ、2002年に青森県奨励品種に指定され「華想い」と命名されました。
そして地元の酵母とは、近年開発された青森県の香気高生産性酵母である「イ号酵母」。
この、米と酵母はとても相性がよく、非常に高い香りと軽い味わいの酒に仕上がります。
この組み合わせで、平成21年春に「全国新酒鑑評会」で金賞を受賞しました。

西田酒造店
http://www.densyu.co.jp/

2009年の新作

新連載記念「田酒」プレゼント

ウェブマガジン オウプナーズでの「和醸和楽 SAKEアカデミー」の新連載を記念して、毎回紹介する日本酒(720ml)を3名さまにプレゼント。

ご希望の方は下記の応募フォームよりご応募ください。
当選された方には追ってご連絡させていただきます。

また、「日本酒についての質問」もお寄せください。採用された方には「和醸和楽」より人気の日本酒を進呈いたします。知りたい用語、素朴な疑問などどしどしお寄せください。

応募期間|2009年8月3日(月)~8月31日(月/午後12時)まで


応募は終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

           
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