和醸和楽|第14回 五凛(GoRIN) ~新しい挑戦「車多酒造」
山廃仕込といえば天狗舞
五凛(GoRIN) ~新しい挑戦 「車多酒造」
「天狗舞」を醸す車多酒造の蔵の歴史と、あたらしく取り組んでいる「五凛(GoRIN)」という新銘柄についてお話しします。
文=和醸和楽Photo by JAMANDFIX(TOP)
加賀百万石の酒造り
蔵の創業は1823年。江戸時代の後期にあたります。蔵のある石川県白山市は当時、加賀前田家百万石の一部でした。
創業者の車多太右衛門が、各地で飲んだ酒の旨さが忘れられず、自分でも作ってみたいと前田のお殿様のお許しを得て酒を醸した──と文章で残っています。現在もそのDNAは受け継がれているみたいです(笑)。
石川県には、古くは前田家に付き従って尾張から来た酒蔵さんもありますので、江戸時代後期といっても後発です。この地区は酒造りをする家が多かったらしく、ひとつの集落に一軒という多数の酒蔵があったといいます。そんななかで、地元で飲まれるお酒を中心に醸して現蔵元で7代の時を数えました。
挑戦! ~山廃仕込と大吟醸にかけた想い
酒造りをつづけているなか、昭和30年代に蔵にもどってきたのが現社長の7代目です。あたらしい味わい、自分が好むお酒を造りたい! との想いから、当時、省力化の影響でほとんど作られなくなっていた“山廃(やまはい)仕込”という手法に着目しました。
ここで、問題。山廃仕込みとは何でしょう???
多分、酒に詳しいひとでも正しく答えられる方は少ないのでは? というくらい難しい内容なのですが……。
ざっくりとした答えは、以下の通りです。
既製の乳酸を添加せず、自然の乳酸菌を育てて雑菌の増殖を抑制し、低温でじっくりと育てる酒母製造方法。現在一般的となっている速醸酒母と比べて、煩雑な加温操作と倍の日数の仕込期間(約30日)がかかります。
ということですが、これは技術的なものなので、一般的に、酒の味わいが濃醇でふくらみのあるお酒になる!と覚えてもらったらいいと思います。
そんな味わいが好きだったんですね、現社長は。酒造りの総責任者である杜氏の中三郎を招聘し、山廃仕込と当時最先端だった大吟醸造りを率先して取り組みました。
山廃仕込は昔からの復興ですし、大吟醸造りは最先端だったので、大変だったと思います。その甲斐あってか、いまでは「山廃仕込は天狗舞」という評価をいただいています。
杜氏と蔵人の感性を引き出した酒造り
手づくりという言葉に置き換えてもいいかもしれません。車多酒造では、造るというより醸す、という感じで酒を造っています。
しかしながら、機械が悪い、というわけではありません。実際、うちの蔵でも精米機、洗米機、瓶詰め機は機械の力を大きく借りています。ただし、酒造りの根幹たる麹造り、酒母造り、もろみにおいてはひとの手と感性で醸すことを変えるつもりはありません。
大手の蔵では、オートメーション化されており、ボタンひとつでピッとお酒ができます。効率的には良いですが、酒造りの面白さが半減してしまう感じがします。
五凛(GoRIN) ~新しい挑戦
「五凛(GoRIN)」は、2006年にスタートした新銘柄です。五者(米の生産者・蔵元杜氏・酒販店・飲食店・お客さま)がつねに凛(りん)とした関係であり、凛として酒を楽しんでいただけるようにという思いを込めて「五凛(GoRIN)」と名づけました。多くの方に『日本酒は美味しい』 ということを感じてもらいたい。
そんな想いから醸したお酒です。
お食事に最高にあうお酒として、おいしいお料理との出合いを演出します。いまはまだまだ知名度もありませんが、これからさらに品質を上げていきたいと思っています。
今年も旨い酒がつぎつぎと搾り上がっています。ぜひ、日本酒、そして五凛・天狗舞を一度飲んでみてください! その一杯からお客さまの日本酒の世界が広がってくれたら蔵元として最高の悦びです。
車多酒造
http://www.tengumai.co.jp/
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応募期間|2010年3月1日(月)~3月26日(金/午後12時)まで
応募は終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。