和醸和楽|第7回 「醸し人九平次」久野九平治のフランス訪問記
刮目せよ! 世界を席巻する日本酒
「醸し人九平次」 久野九平治のフランス訪問記
「世界的な和食ブーム」「世界で飲まれる日本酒」
こんなフレーズは海外への旅も多い、オウプナーズ読者諸氏ならば常識だろう。
しかし、「海外の日本酒はうまくないんだよな。値段だけ高かったりするし……」こんな思いを抱く方も多いのではないだろうか。
文=和醸和楽Photo by Jamandfix(TOP)
パリにて、食前から食後まで付き合ってくれる日本酒の懐の深さが花開く
たしかに一理ある。品質や管理に対する知識がどうしても行き渡らない。そのため値段設定がメチャクチャだったり、保存の仕方が悪くひどく劣化していたり……。
しかし、しかしである。最近の事情は少し違うのである。ここでは弊社が見てきたフランスの様子をご紹介したい。深い理解とそれに基づく管理。その上に培われたヨーロッパの経験が重なったサービスは、新たな日本酒の地平を開いてくれる。
ソムリエによるサービスが深く根づくフランス。日本酒の新たな魅力の発見も彼らによるところが多い。
まずはグラス。日本から持ち込んだ様々な酒器でテイスティングを繰り返したが、彼らが選択したのはやはりワイングラス。各レストランでもっとも適した形のグラスによりサービスされる。
日本酒はもともと料理とともに楽しむもの。
どんな料理やシチュエーションにでもそつなく合わすのが大きな魅力。
パリのエスプリを一手間くわえれば、食前から食後まで付き合ってくれる日本酒の懐の深さが花開く。
もちろん保存状態だって完璧。
パリのパレスホテルでは“ジャパンイベント”が開かれるのも珍しくない。
本格的な鮨をつまみながら日本酒を楽しむ光景は見慣れたものとなった。
彼らのあくなき探究心はとどまることを知らない。年々そのレベルはアップし、
銀座の老舗の暖簾をくぐったと勘違いすることもしばしば。
さらには日本酒をデキャンタージュをするソムリエもいる。
邪魔な香りが消え、本来もっていた香りが浮き上がってくる。
タッチもまろやかになり、気づかなかったミネラルが生き生きとしてくる。
これも彼らの探究心から生まれた新たな発見だ。
そんな彼らだから当然日本にもやって来る。
最上を追い求める彼らが醸造の現場を訪れないはずがない。
弊社も含め多くの醸造所をまわり、日本酒への理解を深めている。
彼らからの質問は鋭い。たじろぐことも多いが、気づかせてくれることもまたしかり。
愛国心の強い彼らだが「いいものはいい」と認めて受け容れる精神、どこまでも深く理解しそれを生かすプロフェッショナル精神には学ぶことが多い。
旅先の楽しみのひとつはその土地のものをいただくこと。
しかし滞在が長くなれば、ふと襲う郷愁の念が耐え難いのもまた事実。
次回の旅は日本酒を頼んでみてはいかがか。
きっと異国の地で、新しい日本に出会えるのでは。
長谷川酒店
http://www.hasegawasaketen.com
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ご希望の方は下記の応募フォームよりご応募ください。
当選された方には追ってご連絡させていただきます。
また、「日本酒についての質問」もお寄せください。採用された方には「和醸和楽」より人気の日本酒を進呈いたします。知りたい用語、素朴な疑問などどしどしお寄せください。
応募期間|2009年11月2日(月)~11月30日(月/午後12時)まで
応募は終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。