スーパーセブンに似合う赤(その3)
スーパーセブンに似合う赤(その3)
鈴木正文×近藤かねよし(L&KONDO)
photo by UZAWA kay
素材は素直だから、難しい
鈴木正文:いい原皮が手に入りにくいというお話を聞いて思ったんですが、近藤さんが畜産農家と直接契約すれば解決するんじゃないですか?
近藤かねよし:僕もそう思って北海道へ行ったことがあるんですよ。若いご夫婦が牧草地で羊を飼っているんですが、飼い方が乱暴なんですよ。羊は張りめぐらされたばらせんで皮が切れて出血している。それを指摘すると「でも肉には関係ないから」って言うんです。彼らは皮には興味がない。
鈴木:畜産業者の意識革命から必要なわけですか。
近藤:でもそんなことに気を遣っていたら、すごい値段の原皮になっちゃいますね。
鈴木:近藤さんはやはりいつでも良い素材を求めている?
近藤:山登りに行くと、自然の中に牛や羊がいて、「おっ、良い皮だな」って思っちゃう(笑)。今、コレクションで使用しているメインはシープですね。
鈴木:は虫類はいかがですか?
近藤:エキゾチックレザーも好きですね。
鈴木:どんな部分が好きですか。
近藤:そうですね~。もう五感で好きなんでしょうね。今年のコレクションではどうしてもファーがやりたいんですよ。ヒョウとか中国の山猫とか、見れば見るほどファーを使いたい。
鈴木:それはまた楽しみですね。コートですか?
近藤:そうですね。コートに熱心になれそうですね(笑)。
毎日の暮らしの中にもっとレザーを
鈴木:皮がもつ平滑さやなめらかさは大好きで、レザーウェアは長く着られるからこそ、デザインがしっかりしてくれないと‥‥と思います。
近藤:そうですね。僕もデニムのように着倒してくれないとイヤなんです。レザーは脂が入っていますから、着ていると自然にホコリを吸ったりしてしっとりしてきます。皮革は手間がかかるじゃじゃ馬だから好きなんでしょうね。
鈴木:さっき拝見しましたが、あのハイバックチェアとオットマンも素晴らしい出来映えですね。
近藤:あれはスウェーデンのデザインの巨匠であるブルーノ・マットソンによる「Pernilla(ペニーラ)」に、うちのエンボス加工のレザーを纏わせて、天童木工PLYさんとのコラボレーションから生まれた「モダンフォーク」というカテゴリーの一つです。
鈴木:近藤さんの仕事が見事に生かされています。
近藤:生活の中でレザーアイテムを使う場所がもっと広がってほしいんですね。床材を皮革でヘリンボーン模様に敷いたり、壁紙をレザーにしたり、僕自身もいろいろチャレンジしています。
鈴木:思いつきですが、畳に皮革を張るというのはどうでしょうね。夏、気持ちいいですよ。
近藤:それはいいですね。
鈴木:いいことを考えついたな(笑)。
近藤:では、ケータハムに乗るときにはぜひ着てくださいね。
鈴木:「赤い革ジャンを着た男」でいきますよ。
近藤:お見かけしたらクラクションでも鳴らしましょう。
鈴木:今日はありがとうございました。
「Pernilla×L&KONDO」
hi-back chair&ottoman
¥819,000
問い合わせ:天童木工PLY
Tel.03-5758-7111
www.tendo.ne.jp