オペラシネマ 『魔笛』 がやってくる!(3)山中陽子さんに聞く
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2015年3月19日

オペラシネマ 『魔笛』 がやってくる!(3)山中陽子さんに聞く

オペラシネマ 『魔笛』 がやってくる! (3)

“人の生き方にプラスになる映画を”
セテラ・インターナショナル社長 山中陽子さん

映画 『魔笛』 の宣伝に関わっている映画配給会社セテラ・インターナショナル社長の山中陽子さん。セテラはこれまで欧米から数々の映画を配給してきたが、芸術性とクオリティーの高さで定評があり、山中さんのセンスと鑑識眼が広く評価されている。
『ベルリンフィルと子供たち』 では、セテラは厚生労働大臣賞を受賞した。

text by TAKEDA Nanakophoto by Jamandfix

山中陽子さん (東京にて)

いちばん最初に買い付けたのはハリウッド映画

──セテラは来年で20周年を迎えます。いつもクオリティの高い映画を配給していらっしゃるんですが、そもそもどういう経緯でセテラを設立されたのですか?

山中陽子 「もともと私は映像輸入の会社にいました。そこで海外の映像を日本に輸入する仕事があることを知ったんです。そうしているうちに “もっと自分で映画を選びたい” と思いはじめました。ジェラール・フィリップというフランスの往年の名優が大好きで、彼の映画をもっと入れたいと、リスクをしょっても独立しようと思いました。

いちばん最初に買い付けたのはハリウッド映画でした。始めた頃は、アメリカ映画やイギリス映画が多かったですね。劇場配給をはじめて最初に手掛けたのはジュリー・アンドリュースとマルチェロ・マストロヤンニの 『アフタヌーン・ティーはベッドで』 で、その後、アラン・ドロンの 『カサノヴァ、最後の恋』 を配給して映画業界で認められるようになったんです。いまは亡きレスリー・チャンの 『君さえいれば』 などもやりました。それからベルイマン作品、ケネス・ブラナー作品……。」

映画 『ベルリンフィルと子どもたち』 より © 2004 BOOMTOWNMEDIA

──ブラナー監督とのおつき合いは長いのですね。

山中 「映画 『から騒ぎ』 と 『ピーターズ・フレンズ』 で、ブラナーは日本で知名度が上がりましたね。この頃は、ラブ・コメディなどが多かったので 『ラブ・コメのセテラ』 と呼ばれたり(笑)。その後、ジェラール・フィリップ映画祭をやりました。

その頃からパリによく行くようになって、『パリのレストラン』 を日本にもってきて、これがすごくヒットしたんです。『ボーマルシェ フィガロの誕生』、『女優マルキーズ』 などをやって、その後、コメディー・フランセーズのドキュメンタリー映画や 『パリ・ルーブル美術館の秘密』 など、大観衆ではないけれども、確実に興味のある人に向けた映画を扱いはじめました。」

ジェラール・フィリップ主演映画 『モンパルナスの灯』 より

──セテラは、ジェラール・フィリップの映画の上映権をたくさん持っているんでしたね。根強いファンがいますよね。

山中 「私が会社をつくったきっかけが、ジェラール・フィリップの映画祭をやりたいからだったんです。それから、彼の映画をこつこつと買い集めて……。」

自分でも観たいし、みんなに観せたい

──映画を選ぶために年に何本くらいご覧になるのですか?

山中 「マーケットにいくと30、40本は観ます。それから、パリに行ったときに観たり。ですから70、80本でしょうか。そんなに数は観ないんです。」

──どういう観点から映画を選ぶのですか?

山中 「いま、業界の流れとして、映画を観ないで買っている会社が多くなっていると思うんです。競争が激しいので、先物買いをしてしまう。監督と俳優の名前だけで買うんですね。私はひとつひとつ観て選んでいます。
映画を選ぶ基準は、“自分でも観たいし、みんなに観せたい” と思うもの。それを観たことでその人の意識が変わったり、生きる希望をもてたり、美しいものに感動したり…… “人の生き方のプラスになるものを” といつも思っています。」

──ありがとうございました。

information

映画 『ランジェ公爵夫人』 より

*来年のセテラ20周年記念作品は、岩波ホールで上映するジャック・リベットの新作 『ランジェ公爵夫人』。バルザック原作の究極の美しい映画で、セテラ20周年にふさわしい 「これぞ!」 という作品だそうです。もうひとつセテラ20周年記念の目玉はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団創立125周年記念作品のドキュメンタリー 『トリップ・トゥ・アジア』 〈仮題〉 です。

セテラHP http://www.cetera.co.jp/

映画 『TRIP TO ASIA』 (原題) より

           
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