サンタ・マリア・ノヴェッラと美しく生きる(1)
Lounge
2015年4月9日

サンタ・マリア・ノヴェッラと美しく生きる(1)

山野エミール×中野香織
サンタ・マリア・ノヴェッラと美しく生きる(1)

photo by Jamandfixspecial thanks:YAMANO&ASSOCIATES

サンタ・マリア・ノヴェッラ銀座にて

──サンタ・マリア・ノヴェッラ銀座(ギンザ・コマツ1階)にて

中野香織 はじめまして。前からぜひ一度お会いしたいと思っていました。山野さんと「サンタ・マリア・ノヴェッラ」がつながっているなんて夢にも思いませんでした。不勉強ですみません。

山野エミール こちらこそお会いできて光栄です。銀座の店はご存知でしたか?

中野 オープン当初から、よく利用させていただいています。

山野 それはありがとうございます。

中野 「サンタ・マリア・ノヴェッラ」は、私の記憶では3~4年前のメンズ雑誌から人気に火がついたと思います。ファッション・フレグランスには抵抗があるけれどフレグランスは使いたい、という男性が使い始めて、周りに勧めて。男性は歴史が好きですから、こういう「語れるモノ」を待っていたんでしょうね。

山野 私はマーケティング会社を興して32年目になります。欧州総合食品メーカーの日本のマーケット拡大のお手伝いなどを主な業務としています。そして洋服好きなんですが、ブランドが付いているものには抵抗感があって、ずっと今で言うセレクトショップで買っていました。一番足繁く通ったのが「タイ・ユア・タイ」なんですね。中野さんはご存知ですか?

中野 フィレンツェのフランコ・ミヌッチさんのお店ですね。

山野 そうです! 11年前に初めてフィレンツェの本店を訪れたとき、店内がいい香りなんですよ。その香りは“お香”のように感じたので、ミヌッチに「この香りは何?」と尋ねたら、「サンタ・マリア・ノヴェッラ」だと言うのですが、僕は知らなかったんですよ。それで興味があったので、「会社に連れていってほしい」と頼みました。

サンタ・マリア・ノヴェッラと美しく生きる(1)

店内のポプリ

中野 その時に漂っていた香りは何でしたか?

山野 ポプリですよ。今で言う「癒し」の香りですね。あのメディチ家も使っていたというものです。

中野 メディスン(medicine)の語源になったメディチ家ですね。

山野 そう。とても高貴な香りでした。

中野 私も昨年のクリスマスに知り合いの編集者からプレゼントしていただきました。愛用しています。このポプリの香りがあるだけで、お部屋のイメージがランクアップするんですよね。すごい威力です。飽きのこない品のよさが、すばらしいと思います。

山野 それでミヌッチに連れて行かれたんですが、わがまま勝手な社長でね、1時間半も待たされて、けんもほろろだったんですよ。とりつく島もない感じでしたが、ミヌッチが「山野は仕事もするけど、クラシックカーも大好き」と言ったら、社長の顔色が変わった(笑)。帰りには「ビジネスしよう」とまとまりました。

中野 サンタ・マリア・ノヴェッラを日本に連れてきたのは、クラシックカーだった!(笑)なんだか<名香にまつわる秘話>を聞きだしたようで、わくわくしてきました。そういえば、サンタ・マリア・ノヴェッラは高級車に似合う香りでもありますね。車にポプリをおく、というのも男の人のフレグランスの付き合い方としてはポピュラーなように思います。それで、日本上陸第一号のサンタ・マリア・ノヴェッラはどちらに?

山野 最初は大阪の心斎橋にあった「タイ・ユア・タイ」のラウンジのコーナーに置いて、それが拡大して、少しずつお客様の支持をいただくようになりました。

サンタ・マリア・ノヴェッラ銀座にて

中野 山野さんはサンタ・マリア・ノヴェッラのどのような点をとくに高く評価していらっしゃるのですか?

山野 簡潔に言うと「歴史と文化」ですね。お客様に商品を喜んでいただくだけでなく、その背景には800年余の歴史があって、その歴史は数多くのファンによって支えられている。そこにはウソのないロマンを感じます。「歴史と文化」は決して覆すことはできませんからね。

中野 そのストーリーこそ男性を惹きつける最大の魅力なんでしょうね。

山野 一度、顧客リストを見せてもらったことがあって、ルキノという名前がある。「ヴィスコンティか?」と聞くとうなずくんです。先代の社長が友人で、彼の監督作品の主演男優と女優には自分が好きな香りを贈っていたそうです。

サンタ・マリア・ノヴェッラと美しく生きる(1)

WEEK-END SOAP

中野 ヴィスコンティらしい逸話ですね。

山野 名前の多くは公表できませんが、女優ではアヌーク・エーメやカトリーヌ・ドヌーヴは毎年買いに来ていますね。次期アメリカ大統領女性候補もそうです。そういう支援者が世界中にいるというのは心強い。

中野 カスタマーというよりむしろパトロンという呼び方がぴったりくる方々ですよね。芸術の保護者、みたいな。それにしても、こうしてサンタ・マリア・ノヴェッラのパトロンの名をどんどん聞いていくだけで、ひとつのソサエティというかクラスのようなものが見えてくるのもおもしろい。サンタ・マリア・ノヴェッラの価値を共有する人の、高貴なる秘密結社というか(笑)。そこにクラシックカーがからんでくるというのもまた、サンタ・マリア・ノヴェッラのファンにはぐっとくる話だと思います。

山野 まったく、何でつながるかわかりませんね。

(2)に続く

サンタ・マリア・ノヴェッラと美しく生きる(1)

店内

サンタ・マリア・ノヴェッラ銀座(ギンザ・コマツ1階)
中央区銀座6-9-5 ギンザ・コマツ1階
Tel.03-3572-2694
11:00~20:00 不定休

           
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