河野太郎氏が提言! 発送電分離と包括原価方式撤廃
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2015年2月10日

河野太郎氏が提言! 発送電分離と包括原価方式撤廃

日本のエネルギー政策

河野太郎氏が提言! 発送電分離と包括原価方式撤廃

10月11日、フランスの電機メーカー シュナイダーエレクトリックが、エネルギーの最大有効活用をテーマにフォーラムを開催。自民党の河野太郎氏が登壇し、エネルギー政策転換の必要性を訴えた。

文=OPENERS
写真=齋藤誠一

原子力から、自然エネルギーと省エネへ

河野氏はかつて原子力政策を推し進めてきた自民党では珍しく、「脱原発派」として知られる。国会ではもちろんのこと、こうした民間の講演でもたびたびこれまでの原子力政策を批判する発言を繰り返している。



今回まず切りだしたのは、原子力発電という仕組みの非効率性だ。
「ひとつは、当初は1980年代に開発できるといわれていた高速増殖炉が、結局はもんじゅの事故で2050年まで先延ばしになったこと。もうひとつは増えつづける高レベル放射性廃棄物の処理場所。地下数百メートルに厳重に埋めたうえで、放射線の監視を100年~200年つづけなければなりません。火山や地震、地下水の影響を受けづらい場所を20年ほどかけてボーリング調査する必要があり、さらにその前には少なくとも5年間、文献調査が必要です。政府は2028年に廃棄場所を決めると言っていますが、そのためには2003年には調査を開始していなければならなかったんです」




ではこの問題をどう解決するか。河野氏の考えは、最終的には省エネと自然エネルギーで日本の電力を100パーセント賄う、というものだ。そのために必要なのは、発送電分離と包括原価方式撤廃だと主張する。



「これまで特定の電力会社が独占していた送電網に、発電企業が公平にアクセスできるようにし、消費者に電気を選択させることができるようにすること。そもそも日本で電力需要がピークになるのは真夏である8月の午後の数時間。その時間帯の電気代を上げれば工場が止まって節電にもなるし、自家発電ができる企業は電力を売ることさえできます」。そうした市場メカニズムを活性化させるためにも、発送電分離は重要だと語る。



もうひとつ問題なのは、包括原価方式というもの。
「北海道の地方誌が北海道企業の平均給与を調査したところ、北海道ガスが600万円台だったのに対し、北海道電力が800万円台だということがわかりました。北海道電力は電力会社のなかでも小さいほうだと言われているので、全国の電力会社はかなりの高給といえます。その人件費がすべて消費者が払う電気代で賄われているんです。でんこちゃんが出てくる莫大な広告宣伝費もそうです。




また、大雑把に言って固定資産の3パーセントを利益としてそのコストに上乗せしていいことになっているのも問題です。たとえば、100万kWの発電をするために、原子力発電所だと5000億円、ガス発電所だと500億円かかりますが、包括原価方式のもとでは固定資産の3パーセントが利益になるため、5000億円の発電所のほうを電力会社は選んできた。包括原価方式を採用していない韓国や台湾にくらべ、電気代が倍以上なのはそのせいでもあるんです」



発送電を分離しこの包括原価方式をやめることで、市場原理で電力という商品の競争が起こる。その状況を作っていくことが重要だというのが河野氏の考えだ。



「過去のエネルギー政策の責任を負っている自民党ですら白紙からエネルギー政策の議論をはじめました。国民のみなさんにもぜひ関心をもってもらい、みなさんのためになるエネルギー政策を実現していかなければいけないと思っています」


           
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