連載・和醸和楽|第27回 野菜と日本酒を販売する『小倉屋酒店』
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2015年3月18日

連載・和醸和楽|第27回 野菜と日本酒を販売する『小倉屋酒店』

農家と蔵元の皆さんが手塩にかけたもの

野菜と日本酒を販売する 『小倉屋酒店』

東京都八王子市は、都心より西へ約40キロ、電車で約1時間の緑豊かな多摩丘陵にあります。面積186キロ平方メートルの広大な土地に人口55万人、市内には大学が21校あり、市民と学生が行き交う街です。また、来年には圏央道が開通し交通アクセスがよくなるため、ベッドタウンとしていまも宅地造成が進んでいます。

文=和醸和楽

野菜と日本酒の共通点とは

歴史をさかのぼると、江戸時代は市内各所で蚕を飼い絹織物の街として栄えました。しかし、大正末期から昭和初期にかけ服装が着物から洋服へと変わり絹織物産業が衰退していくなか、日本国内でいち早くネクタイ製造へと切り替え、現在は日本有数のネクタイ産地として国内外有名ブランドメーカーと契約しライセンス製造をしています。

そしてもうひとつ江戸時代には、甲州街道の宿場町(八王子宿)として栄え、芸者さんが行き交う花街としても有名でした。第二次大戦の空襲により戦後は一旦途絶えたのですが、昭和30年代に復活し現在も置屋に芸者さんが十数名います。この歴史を残そうと市内の一部を黒壁と石畳のある風情豊な街並みにしました。

さて、当店の説明をいたしますと、「和醸和楽」の会員店の皆さんとはちょっとだけちがうものを販売しています。それは、野菜です。

和醸和楽02

当店は、東京オリッピックの翌年に現在の地より3キロほど離れた場所にて父親が八百屋を開業したのが創業となり、その後、昭和50年に現在のめじろ台へ引越し現在にいたっています。

引越しをした当時は、ミニスーパーとして青果・肉・魚を販売しながら同店舗内で日本酒を取り扱いはじめました。しかし、平成に入り郊外型大型店舗の進出により生鮮食品の売り上げが落ち、生鮮食品(肉・魚)の販売を止め、青果と日本酒に特化した店舗へと改装しました。

なぜ、青果のみ残したかといいますと、八王子は緑豊かな土地柄農業も盛んで、地元に新鮮な野菜が豊富にあり、地元の市場にこの新鮮な野菜が入荷しますので、鮮度のよい野菜を仕入れ販売できる利点を活すべきだと考えたからです。

和醸和楽03

私が思うに、野菜の販売と日本酒の販売は共通点があると思います。野菜は、農家の皆さんが丹精込めて育てたものを鮮度の高いまま消費者の皆さまへ販売し、日本酒は、農家の皆さんが半年かけつくりあげたお米を蔵元が日本酒として醸しだし当店が販売する。両者とも、基本は農家の皆さんが丹精込めてつくりあげた産物(野菜・米)がもととなり、そこに日本酒の場合は、蔵人の熱き情熱がくわわり当店の商売に繋がっていると思うからです。

このように、農家の皆さん・蔵元の皆さんが手塩にかけつくりあげた商品を最良の状態で消費者の皆さまに販売することが当店の役目だと思い商売を営んでいます。

小倉屋酒店
東京都八王子市めじろ台2-19-1
Tel. 042-664-6644
Fax. 042-665-4877

           
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