松浦俊夫|半世紀のときを超え、再び蘇る感動の名作
松浦俊夫|from TOKYO MOON 6月2日 オンエア
半世紀のときを超え、再び蘇る感動の名作
DJ松浦俊夫による、大人のための音楽番組『TOKYO MOON』。日曜の夜23:30から、InterFM 76.1MHzにてオンエア中です。世界中から選りすぐった“フレッシュ”な音楽や、大人の知的好奇心を刺激するトピックスをご紹介。ここではオンエアされたばかりの内容を振り返ります。アーティストについて深く掘り下げたり、関連した楽曲を紹介したり、さらにはその曲が購入できたりと、『TOKYO MOON』を目と耳で楽しむ連載です。今週は国内屈指の作曲家、ギタリスト、伊藤ゴローさんプロデュースによるカバー・アルバム『Getz/Gilberto+50』にスポットを当ててお届けします。
Text by MATSUURA Toshio
日本の“ベック”の異名を持つ伊藤ゴロー
1963年に録音され、ボサ・ノヴァが世界中に広がるきっかけになったとも言われる『Getz/Gilberto』。クール・ジャズを代表するアメリカのサックス奏者、スタン・ゲッツが、ブラジルのジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンらとともに作り上げたアルバムです。
あまりにも有名なこの作品を、録音から半世紀を経て、国内屈指のボサ・ノヴァ・デュオnaomi&goroやMoose Hillなどの活動で知られる作曲家/ギタリスト/プロデューサーの伊藤ゴローがカバー。相方の布施直美や山下洋輔、細野晴臣、坂本龍一、ジャキス・モレレンバウム、原田知世、みどりん、秋田ゴールドマンといった、この作品のシンパである世代やジャンルを超えて集結したミュージシャンらと、フルカバー・アルバム『Getz/Gilberto+50』を作り上げました。
原曲への尊敬の念に満ちたアレンジメントながらも楽曲ごとにボーカル、そしてバンド・メンバーがシャッフルされるという“起伏”が施されていて、オリジルと聴き比べるという楽しみ方も出来る作品だとおもいます。日本の“ベック”ことゴローさんのプロデュース力がいかんなく発揮された作品。音楽への愛情が満ちた作品は私たちの人生を豊かにしてくれます。ぜひ。
10年ほど前、ゴローさんがあるプロジェクトへ声をかけてくださったことがありました。お会いした際、それぞれが“いまの気分”を象徴する1枚を挙げたのですが、ゴローさんがピック・アップした作品は『ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』(1969)。そのことが、いまでもとても印象に残っています(ちなみにわたしは、イザベル・コイシェ監督作品「死ぬまでにしたい10のこと」のサウンド・トラックでした)。こちらも10年のときを経て、動き出してほしいものです。
REVIEW|TRACK LIST★マークのついた楽曲をクリックすると、試聴・購入することができます。あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。
01. Horace Silver / Self Portrait No. 1 (Blue Note)
02. Sahib Shihab / Harvey's Tune (Oktav)★
03. Jazz-Hip Trio / Green Street Way (Rue Du Chemin Vert) (Major Minor)
04. Sexteto do Beco / Flutuando (Fundação Cultural Do Estado Da Bahia)
05. 竹村延和 Nobukazu Takemura / Elm (Brownswood)
06. Yana Purim / Bebe (Sonet)
07. Victor Feldman / Summer Island (Pacific Jazz)
08. Nico Gomez & His Orchestra / Rio (Omega / P-Vine)★
09. Bruce Lewis / Espontaneo (Shout! Productions)
10. Barry Miles / Latina (Mainstream)★
11. 向井滋春 Shigeharu Mukai / Nimuoro Neina (Better Days)
12. Getz/Gilberto+50 / Para Machuchar Meu Coracao (Universal)
13. Getz/Gilberto+50 / Doralice (Universal)
14. 萩本欽一 Kinichi Hagimoto / あ~ねむいなあ~ (Toshiba)
今週の「TOKYO MOON on iTunes」
これまでに紹介した楽曲のなかから、選りすぐったものをここで購入できます。気になった楽曲がすぐ入手できる喜びを味わってください。今回は紹介した『Getz/Gilberto+50』のプロデュースを手がけた、伊藤ゴローさんの過去の作品から3曲をピック・アップ。ソロ、デュオ、そしてほかのアーティストと、それぞれちがうテイストの作品ながらも、彼らしさが感じ取ってもらえるとおもいます。
原田知世 / Giving Tree 2010.1.10 ON AIR
Goro Ito / Obsession 2012.6.24 ON AIR
Naomi & Goro / Strength Of Your Nature 2013.3.17 ON AIR
毎週日曜日23:30~24:30 ON AIR
Inter FM 76.1MHz
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