松浦俊夫|2010年代のフュージョン・ミュージック、サンダーキャット
松浦俊夫|from TOKYO MOON 5月12日 オンエア
2010年代のフュージョン・ミュージック、サンダーキャット
DJ松浦俊夫による、大人のための音楽番組『TOKYO MOON』。日曜の夜23:30から、InterFM 76.1MHzにてオンエア中です。世界中から選りすぐった“フレッシュ”な音楽や、大人の知的好奇心を刺激するトピックスをご紹介。ここではオンエアされたばかりの内容を振り返ります。アーティストについて深く掘り下げたり、関連した楽曲を紹介したり、さらにはその曲が購入できたりと、『TOKYO MOON』を目と耳で楽しむ連載です。今週は2011年にソロ・デビューを果たした才能溢れるベーシスト、サンダーキャットにスポットを当ててお届けします。
Text by MATSUURA Toshio
6月には来日公演も決定!
現在、世界の先鋭的音楽シーンの中心地となっている街、ロサンゼルス。それを代表するレーベルのひとつが、ニュー・ビート・シーンの旗手としてシーンをリードするフライング・ロータス主宰のブレインフィーダー。ロータスのアルバムでもその才能をいかんなく発揮し、2011年にそこからソロ・デビューを果たしたのが今回紹介するベーシスト、サンダーキャットです。
1980年代、アメリカで人気を博したSFアニメからその名をつけたというサンダーキャット、本名ステファン・ブルーナーは、全盛期のモータウンを支えたドラマーを父に、名だたるフュージョン・ミュージシャンと活動をともにしてきたドラマーを兄に持つ音楽一家で育ち、10代半ばにしてアーティストのサポートとして来日したという、やり手のミュージシャンでした。
その類いまれなセンスの良さとスキルに裏打ちされたベース・プレイとボーカル、サウンド・プロダクションでジャズ~ソウル~ロックまでをクロスオーバーさせ、注目を集めたファースト・アルバム『The Golden Age of Apocalypse』から2年。
さらに幅と深みを感じさせる最新作『Apocalypse』では、ロータス総指揮のもと、錚々たる実力派ミュージシャンとともに彼は、この2年の成長と進化を見せつけるように現代のフュージョン音絵巻と呼べる大作を作り上げることに成功しました。6月のアルバム・リリースに合わせ、東京と金沢での来日公演が決定しているので、作品とともに実際にそのサウンドを“体験”してこの言葉の意味を実感してほしいとおもいます。
来日公演の詳細:http://www.beatink.com/Events/Brainfeeder3/
REVIEW|TRACK LIST
★マークのついた楽曲をクリックすると、試聴・購入することができます。あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。
01. Prommer and Barck / The Machine (Derwin)
02. DJ Cam / Love - Alex Tassel remix (ritmo calentito / Because)★
03. Emika / Searching (Ninja Tune)★
04. wild bill rickets / riki (Wonderful Noize)
05. Femi Kuti / The World Is Changing (P-Vine)
06. Scrimshire / Blister (Wah Wah 45)
07. Thundercat / Heartbreaks + Setbacks (Brainfeeder /Beat)
08. Inga Copeland & Martyn / A&E (World Music)★
09. The Lounge Lizards / Bob The Bob (MIlan)★
10. The Velvet Underground & Nico / I'll Be Your Mirror (Verve)★
11. Tokimonsta / Foolish (Ultra)★
12. Om'Mas Keith / Pulse of The City (Om'Mas Keith)
13. Thundercat / Oh Sheit It's X (Brainfeeder /Beat)★
14. Les Sins / Grind (Jiaolong)★
15. Kirk Dgiorgio / Borel - NX1 Remix (Far Out)
今週の「TOKYO MOON on iTunes」
これまでに紹介した楽曲のなかから、選りすぐったものをここで購入できます。気になった楽曲がすぐ入手できる喜びを味わってください。今回はサンダーキャットの前作、そして他のアーティストの作品にフィーチャーされたものを選んでみました。最後の楽曲はベーシストとしてではなくボーカルとして参加しています。
あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。
Thundercat / For Love (I Come Your Friend) 2011.7.31ON AIR
Flying Lotus / MmmHmm 2010.6.13 ON AIR
Rocket Juice & The Moon / Hey, Shooter 2012.4.15 ON AIR
松浦俊夫|from TOKYO MOON 5月12日 オンエア
クリエイティブ・マインドを刺激するドキュメンタリー作品
彼こそが真のアーティスト!
齢84にして、毎日ニューヨークの街に出て、ストリート&ファッション・スナップを撮りつづけるフォトグラファー、ビル・カニンガム。スナップは、いまや数多くの雑誌やインターネット・サイトがあり、人びとに広く認知されていますが、半世紀以上に渡ってやりつづけている彼こそが、このジャンルのオリジネイターなのです。
トレード・マークであるフランスの清掃業の青いユニフォームを着て愛用の自転車で街を移動し、有名人やセレブリティよりもスタイルを持った洒落者たちを被写体に選ぶこだわり。家族やプライベートを持たず、熱に浮かされたようにひたすらシャッターを切りつづけるビル。現代では変わり者扱いされてしまうその姿を見て、彼こそが真のアーティストだとおもわされました。
ジャンルはちがえども、いままさに自身の音楽作品を作り出そうとする直前、この作品に出会ったことを感謝するとともに、クリエイティブに携わるすべての人に、このドキュメンタリーをお薦めしたいとおもいます。
ニューヨーク・タイムズ紙の人気ファッション・コラム「ON THE STREET」と、社交コラム「EVENING HOURS」を長年担当するニューヨークの名物フォトグラファー、ビル・カニンガム。ニューヨークの街角で50年以上にもわたりファッショントレンドを撮影してきたニューヨークを代表するファッション・フォトグラファーであり、ストリートファッション・スナップの元祖的存在だ。
しかし、彼自身については謎につつまれており、親しい業界人でさえ彼のプライベートを知る者はほとんどいない。そんなカニンガムにリチャード・プレス監督が8年がかりで撮影交渉し、撮影と編集に2年、通年10年の制作期間を経て完成した本作で、カニンガムの知られざる私生活や仕事ぶりがはじめて明かされた。
『ビル・カニンガム&ニューヨーク』
監督|リチャード・プレス
プロデューサー|フィリップ・ゲフター
編集|ライアン・デンマーク
撮影|トニー・セニコラ
5月18日(土)より、新宿バルト9、横浜ブルク13ほか全国ロードショー
松浦俊夫『TOKYO MOON』
毎週日曜日23:30~24:30 ON AIR
Inter FM 76.1MHz
『TOKYO MOON』へのメッセージはこちらまで
moon@interfm.jp
Inter FM 76.1MHz
www.interfm.co.jp