松浦俊夫|“Run for Children Tohoku”東北の子どもたちの未来のために(後編)
松浦俊夫|from TOKYO MOON 1月27日 ON AIR
“Run for Children Tohoku” 東北の子どもたちの未来のために(後編)
日曜の夜、上質な音楽とともにゆったりと流れる自分だけの時間は、おとなたちの至福のとき。そんな時間をさらに豊かにするのが、DJ松浦俊夫によるラジオプログラム『TOKYO MOON』──。彼が世界中から選りすぐったすばらしい音楽や知的好奇心を刺激するおとなのためのトピックスを、毎週日曜日Inter FM 76.1MHzにて19時からオンエア。ここでは、毎週放送されたばかりのプログラムをふり返ります。今週は本格的にスタートしたチャリティ・プロジェクト“Run for Children Tohoku”について皆さんにより理解してもらうために、先週に引きつづき「ハタチ基金」代表幹事の今村久美さんにお話を伺いました。
Text by MATSUURA Toshio
才人たちのアイデア溢れる楽曲をオンエア
今週は、まもなく新作がリリースされるRobert Glasper Experiment(ロバート・グラスパー・エクスペリメント)のベーシスト Derrick Hodge(デリック・ホッジ)が、MCにCommon(コモン)を迎えた楽曲からスタート。
Derrick Hodge
Quantic & Alice Russell
『Look Around The Corner』
Shawn Lee's Incredible Tabla Band『Tabla Rock』
Feist『How Come You Never Go There-Beck Remix』
注目は、おもしろいアイデアでいつも我われリスナーを楽しませくれるマルチ奏者 Shawn Lee(ショーン・リー)が、DJ界において“永遠のクラシック”と呼ばれるIncredible Bongo Band(インクレディブル・ボンゴ・バンド)1973年発表のアルバム『Bongo Rock』を、ボンゴをタブラに置き換え、まるごとカバー。この大胆な作品のリード曲ともいえる「Apachie」を、この番組ではおなじみのQuantic(クアンティック)がヴォーカリストのAlice Russell(アリス・ラッセル)と組んでカバーしたラテン・ソウル。そのほかBeck(べック)をはじめ、才能豊かなアーティストたちの作品が夜を彩りました。
REVIEW|TRACK LIST
01. Derrick Hodge ft. Common / We Live Today (test)
02. Quantic & Alice Russell With The Combo Bárbaro / Travelling Song
(Tru Thougts/Beat)
03. Shawn Lee's Incredible Tabla Band / Apache (Ubiquity)
04. Feist / How Come You Never Go There - Beck Remix (test)
05. Kuniyuki Takahashi / River (Mule Musiq)
06. Frank Ocean / Thinking About You (test)
0歳から20歳まで、被災地の子どもたちの成長をサポート
東京マラソンまで1カ月を切り、いよいよトレーニングも仕上げの段階を迎えようとしています。このチャリティ・プロジェクトでは、皆さんから寄せられた大事なお金を、「ハタチ基金」に寄付させていただきます。今週も前回につづき、被災地で子どもたちの教育環境支援活動をおこなっている「ハタチ基金」代表幹事の今村久美さんにお話を伺いました。
──いま現地での活動に不足しているものはありますか?
物理的な不足としては、場所が足りない、ということでしょうか。普段は公民館を使って放課後学校をおこなってますが、なにぶん住居倒壊率が高いため、少ない場所を町の方々と共有しながら活動しなくてはなりません。公民館が使用できない場合は、15~20畳程度のお寺の部屋に50名ほどが集まって勉強するようなこともあります。
──対応策は?
まだ被災地での建築の法律が整っていないため、建築物を建てることは難しいのですが、仮設扱いの校舎やコンテナ、トレーラー・ハウスなどを借りることは可能です。資金力があればそれもできますが、そこまで辿り着けていないのが現状です。私たちが滞在している大槌町では、町長さんをはじめ、役場の方々が大勢亡くなりました。そのため、復旧作業に従事する方々は必死で頑張っているのですが、街灯の普及さえままならない状況です。
200平方キロメートルほどの町のいたるところから子どもたちが集まっているわけですが、なかには20キロ離れた場所から自転車で片道40分かけて来る子もいます。夜、真っ暗になった穴だらけの道を帰っていく子どもたちのことを思うと、まだまだだと思います。
──スタッフの人数が足りないという話を聞きますが?
宮城県の女川(向学館)では、震災後に避難所をまわり、学習塾の先生や学習指導できる方を探し、12名雇用することができました。さらに東京から職員4名とボランティアの方々が参加し、現在は小学生から中学生までの生徒約250名をサポートしています。しかし大槌町では学習指導できる方が少なく、頭を悩ませています。引きつづき募集はしていますが、人手が足りないため私もクラス単位ですが担当しています。また、積極的に雇用しようにも、当然ながら財源には限りがあります。なのでボランティアさんはとても重要なサポーターなんです。
昨年11月以降、寄付もボランティアもなかなか集まりづらい状況になっています。大槌町には中学生以下の児童が900人おり、その子たちにアンケートしたところ、そのうちの480人がこの放課後学校に通うことを望んでいる、という結果が得られました。しかし場所もひとも足りないいまは、受験を控える中学3年生80人に限り受け入れている状況です。学習という目的だけでなく、親を亡くした子どもたちからすると、“定期的に行く場所がある”というだけで価値があるんですね。
──今後の目標は?
子どもたちのなかに“動機”や“情熱”といった、最近の若者に足りないと言われるているエモーショナルなものを、いかに立ち上げていくかということに、私は震災前から取り組んできました。今回の震災で家も家族も失ってしまった子どもたちはいま、火がつきやすい状態にあるように思うんです。町をイチから作り直していこうとする大人たちを見ているのも、教育環境としてはすばらしいといえるかもしれません。大人になったとき、“イノベーター”になれる可能性を彼らのなかに感じています。だから、いまは学びと未来を創造する機会を長期的に与えつづけていきたいと思っています。そして子どもたちが自分たちのチカラを高め、最終的に社会でしっかり活躍できるようになるまで、活動をつづけていきたいと思っています。
──ありがとうございました。
今週のDJ! ドレスコードは“スポーツウェア”
東京マラソン公式音楽レーベル「TOKYO MARATHON MUSIC」からリリースされた、沖野修也さん選曲のコンピレイション「TOKYO NIGHT RUN selected by Shuya Okino(Kyoto Jazz Massive)」のリリースパーティに参加します。当日は本番3週間前、トレーニングの仕上げの段階とあり、朝から30キロランにチャレンジしてから参加しますので、テンションもかなり上がっていると思います。ドレスコードは“スポーツウェア”。普段のトレーニングで着ているウェアを身につけてプレイしようと思います。ラン好きもそうでない方も、少し興味あるという方も、皆さんふるってご参加ください。
Sound Sanctuary "TOKYO NIGHT RUN"
Release Party at The Room
日程|2月4日(土)
ゲストDJ|松浦俊夫
DJ|沖野修也
オープン/スタート|22:00~
料金|1500円(23:00まで) 2500円(23:00以降)
会場|The Room
東京都渋谷区桜丘町15-19 第八東都ビルB1
http://www.theroom.jp
走ることで東北の子どもたちを応援します!私、松浦俊夫はこのたびJustGivingJapanをつうじて、東日本大震災による被災孤児および被災地の子どもたちが苦難を乗り越え、これからの社会に羽ばたくために心のケア、生活や学習支援を継続的におこなっている『ハタチ基金(日本財団)』への寄付を集めるために、“Run For Children Tohoku" と題し、去る2月26日(日)に開催された「東京マラソン2012」でフルマラソンに初チャレンジしました。 おかげさまで4時間25分というタイムで完走することができました。ご声援ありがとうございました。皆さんからお預かりした大切なお金は、東北の子どもたちの未来のために役立つよう、きちんと届けます。また、東京マラソンは終了しましたが、プロジェクトはこれからも継続していきます。 これからも応援よろしくお願いします。 松浦俊夫
|
松浦俊夫『TOKYO MOON』
毎週日曜日24:00~24:30 ON AIR
Inter FM 76.1MHz
『TOKYO MOON』へのメッセージはこちらまで
moon@interfm.jp
Inter FM 76.1MHz
www.interfm.co.jp