松浦俊夫|貴重なジェーン・バーキン単独インタビュー、そして2012年あらたなる挑戦
松浦俊夫|from TOKYO MOON 1月1日 オンエア!
2012年あらたなる挑戦
日曜の夜、上質な音楽とともにゆったりと流れる自分だけの時間は、おとなたちの至福のとき。そんな時間をさらに豊かにするのが、DJ松浦俊夫によるラジオプログラム『TOKYO MOON』──。彼が世界中から選りすぐったすばらしい音楽や知的好奇心を刺激するおとなのためのトピックスを、毎週日曜日Inter FM 76.1MHzにて19時からオンエア。ここでは、毎週放送されたばかりのプログラムをふり返ります。今週は、昨年末に来日したジェーン・バーキンの貴重なインタビュー、そして私、松浦俊夫のあらたな挑戦について決意を語りました。
Text by MATSUURA Toshio
東京マラソン2012にチャレンジします!
元旦という特別な日に新年最初のオンエアとなった『TOKYO MOON』も、放送開始から3年目を迎えました。今回は昨年末に来日公演をおこなったJane Birkin(ジェーン・バーキン)の貴重な単独インタビューを紹介するとともに、ある決意をここで表明しました。
私、松浦は来たる2月26日に開催される「東京マラソン2012」にエントリーし、フルマラソンに初チャレンジします。そして2001年にイギリスで生まれた、インターネットを利用して個人が寄付を集めることができるファンドレイジング・ツール「JustGivingJapan」を通じて、2011年3月の東日本大震災による被災孤児及び被災地の子どもたちの心のケア、生活や学習支援を継続的におこなっているハタチ基金(日本財団)に寄付を募ります。
今回のチャレンジに賛同してくれたイギリス・ロンドン在住のDJ、Gilles Peterson(ジャイルス・ピーターソン)とミュージシャン・MCであるEarl Zinger(アール・ジンガー)ことRobert Gallagher(ロバート・ギャラガー)もこのために来日し、一緒に走ってくれることになりました。まもなく地震発生から10ヵ月を迎え、徐々に薄れつつある東北への関心を高めるとともに、未来を担う子どもたちの未来を考え、行動をしてほしいと願っています。チャレンジまでの過程は『TOKYO MOON』番組内と、このOPENERSで詳しくレポートしていきます。皆さんのご協力をよろしくお願いします。
東京マラソン2012
http://www.tokyo42195.org/2012
REVIEW|TRACK LIST
01. A Taste Of Honey / Sukiyaki (Capitol)
02. Kouyaté-Neerman / Kalo Dié (No Format)
03. Finn Peters / Angklung (Ism Recordings)
04. Anthony Joseph / Dalston Bossa (Heavenly Sweetness)
05. Gotan Project / Checkmate / Jaque Mate (Ya!Basta)
06. Skream / Phatty Drummer (Deep Medi)
07. Jane Birkin / Yesterday Yes A Day (Philips)
08. Serge Gainsbourg / Ballade De Melody Nelson (Philips)
09. Jane Birkin / Fuir Le Bonheur De Peur Qu'il Ne Se Sauve (Philips)
10. Jane Birkin / Le Couteau dans le Play -Live
11. Jane Birkin / Baby Alone In Babylone (Philips)
12. Jane Birkin / Ballade De Johny-Jane (Fontana)
13. Jane Birkin / Ces Petits Rien - Live
14. Di doo dah Jane Birkin _ Live
15. 小澤征爾 & ボストン交響楽団 / 交響曲 第1番 ニ長調 《巨人》
(〈花の章〉付き)~第2楽章:花の章 (Decca)
16. Charlotte Gainsbourg / Anna (Warner Music Japan)
17. Caetano Veloso & Maria Gadú / Odara (Universal)
Finn Peters / Synesthesia EP
Anthony Joseph & The Spam Band
/ Rubber Orchestras
Gotan Project /BEST OF
Serge Gainsbourg / Madame Claude
Jane Birkin / Baby Alone In Babylone
Jane Birkin / Ballade De Johnny Jane
Serge Gainsbourg /
Histoire De Melody Nelson
Charlotte Gainsbourg / Stage Whisper
Caetano e Maria Gadu / Multishow Ao Vivo
松浦俊夫|from TOKYO MOON 1月1日 オンエア!
日本人ミュージシャンと世界をまわるジェーン・バーキン
彼女にとっての音楽、そして愛
2011年11月末、全米ツアーをおこなう直前にたった一夜限りのコンサートを催したジェーン。震災直後にもいち早く来日し、チャリティ活動をおこなうなど、日本のことを心配し、そして勇気ある行動を起こした彼女。多忙なスケジュールの合間を縫っておこなわれた単独インタビューを、OPENERSにて独占掲載します。
テーマは、“日本の方々からみたセルジュ”
──今年4月に来日されたときと今回と、ちがいを感じましたか?
飛行機がいっぱいだったこと、また東京のひとたちの笑顔が変わっていなかったこと。それから、私はやりたいことをやっているにすぎないのに、日本で出会ったひとたちから感謝のメッセージをいただきました。
──(夫であった)セルジュ・ゲンスブール没後20年となる今年、彼がつくった楽曲だけでコンサートを構成しましたね。
セルジュが亡くなってから20年、そして私がボーカルとして参加した彼のアルバム『メロディ・ネルソンの物語』から40年。なにかやりたいとは思っていたけれど、具体的に思いつかなくて。そんなときに震災があり、日本を訪れ、歌いました。フランスにもどったあと、また日本の音楽家たちと一緒に、と思ったんです。
今回のツアーの音楽監督をしてくれている中島ノブユキ氏、彼はとてもすばらしい才能をもっています。音楽家として、ピアニストとして、そして編曲家として。彼とセルジュのアルバムを全部聴き直して、トロンボーンとトランペットが入っている楽曲を選びました。『メロディ・ネルソンの物語』も意識しています。日本の方々からみたセルジュ、というのが今回のテーマです。彼らと一緒に作り上げたライブはすばらしかった! だから日本公演だけにとどまらず、世界各地をこのメンバーでまわりたいと思いました。
彼らと一緒にツアーをまわることで、世界中のひとたちが日本で起きた悲惨なできごと──震災のことをいつまでも覚えていてくれるだろうとも思ったんです。このツアーは2012年の夏までつづきます。もしかするとフランスまで。はじまりは偶然だったけど、いまではこんなに大きな動きに発展しました。
恋が冷めてしまったあと友情がつづく。本当に特別な愛だった
──セルジュとの出会いによって変化したことをひとつ挙げるとしたら?
17歳でイギリス人(ジョン・バリー)と結婚し、後に別れ、気持ち的にとても辛かったあの頃。ミュージカルやコメディに挑戦していた時に、セルジュと出会いました。彼はこれまで自分が欠点だと思っていたこと、胸がないことや少年のようだということを、欠点ではないと言い、褒めてくれた。それで私は自信を回復することができたんです。そして彼は私の娘・ケイトを養子に迎え、私たちはフランスでの生活をはじめました。
──ひとを愛することによって得たものとは?
ひと目惚れというのは運命的だけど、あまり長くつづかないように思うんです。セルジュと最初に会ったとき、彼はブリジット・バルドーと別れた直後で、精神的にとても苦しんでいました。私もジョン・バリーとの別れで、おなじように苦しんでいた。そんなふたりが出会い、少しずつ親密になっていき、結果的には互いの存在が不可欠になるほどの大恋愛に発展した。
彼は本当に私を愛してくれていたと思う。25年間、私に対する誠実な愛情を持ちつづけてくれた。これがひと目惚れなら、恋が冷めてしまったあとに友情は残らないと思うけど、彼とはそのあとも友情がつづきました。亡くなる少し前、私にダイヤモンドをプレゼントしてくれたの。本当に特別な愛だった。
とはいえ私はそれほど多くの恋愛を経験してきたわけではありません。生涯で出会った男性は4人だけ。ジョン、セルジュ、映画監督のジャック・ドワイヨン、そして作家のオリヴィエ・ロラン。でも、この10年出会いはありません。だからといってくすぶっていてもしかたないから、いろいろなところへ出かけて、ひとに会ったり、景色を見たり。そして誰かの役に立ちたいと思う。だからこうして仕事もつづけているのです。
音楽をとおして意味が浮かびあがってくるもの
──では最後に、あなたにとって音楽とは?
わかりません。でも、なにかをシェアすることでしょうか。たとえばベルリンでおこなったコンサートのときのように、ノブ(中島ノブユキ)がピアノを弾いて、お客さんが感動して立ち上がったように、音楽をとおして意味が浮かびあがってくる。最近はクラシック音楽が以前にも増して好きになっている。私がいま一番美しい顔をしていると思うのは、小沢征爾さんです。パリで彼の指揮を見たけど、音楽を取り去ったとしても、その姿だけで彼の情熱や寛容さが伝わってきます。
──ありがとうございました。
松浦俊夫『TOKYO MOON』
毎週日曜日24:00~24:30 ON AIR
Inter FM 76.1MHz
『TOKYO MOON』へのメッセージはこちらまで
moon@interfm.jp
Inter FM 76.1MHz
www.interfm.co.jp