戸田恵子|「B・G ブランド」からニューアイテム! 戸田恵子×植木 豪 対談
戸田恵子|K-CO×GOコンビが語る新作の魅力!
「B・G ブランド」からニューアイテム
戸田恵子×植木 豪 対談(1)
K-CO×GOコンビ、あらため、女優 戸田恵子さんとダンサー 植木 豪さんによる「B・G ブランド」から、先日おこなわれた戸田さんのライブに合わせ、春夏アイテムが登場した。東日本大震災後よりスタートした新作アイテム制作、そしてライブの準備。実際に被災地に足を運び、活動をおこなう戸田さんは、どんな想いで挑んだのだろう。植木さんとともに作り上げたふたつのプロジェクトについて聞いた。
Text by OPENERSPhoto by TABLE ROCK
1日も早い復興、平和への祈りを表現
──新作Tシャツはこれまでと雰囲気が異なりますね。
戸田 ライブが6月にあり、それに向けてTシャツのデザインを考え出したのが震災後だったため、プランナーとして私からは当初より“ピースなイメージで”と伝えていました。なおかつ「B・G ブランド」のテイストもプラスして、ハートウォーミングな印象に仕上がるようお願いしました。こんな漠然としたイメージだけ伝えて、デザインは豪にまる投げだったんですけど(笑)、できあがってきたTシャツを見て、ワンチェックで即OK。いつもは多少手なおしをするんですけど、今回は文句なし!
植木 最近はスムーズに(笑)。姉さんのイメージがすんなり伝わるようになってきたんだと思います。姉さんの話を聞いて、まず浮かんだのがピースマークでした。たとえば首もとにネックレスのモチーフをプリントして、ネックレスをつけているように見せるような“だまし絵”的なアレンジはこれまでもしてきたのですが、ピースマークもただのピースマークではおもしろみがないので、なにかひと工夫できないかと考えました。東日本大震災では、多くの方々が被害に遭われたのはもちろんですが、自然にも大きな被害が見られました。
しっかりとした作りは「B・G ブランド」のこだわり
そこで人間だけでなく、自然にもはやく復活してほしい、という意味を込め、フラワーモチーフでピースマークを作ることに。そこにさりげなく「B・G ブランド」のアイコンを盛り込み、ロックなニュアンスをプラスしました。そして“PRAY FOR”の言葉をレイアウトし、1日も早い復興、平和への祈りを表現しました。
戸田 震災直後でなくてもいつでも着られるものを、とは思っていたものの、意識をそういったことに向けたものを作りたいとリクエストしていたので、今作の仕上がりについては優しい感じであり、また「B・G ブランド」のテイストも盛り込まれていて、すごく気に入っています。シャツをボディから作る、というのは最初から変わらずつづけていて、出来合いのもので作るのとはちがう、このしっかりとした作りは私たちのこだわりです。
戸田恵子|K-CO×GOコンビが語る新作の魅力!
「B・G ブランド」からニューアイテム
戸田恵子×植木 豪 対談(2)
初登場の“I♡BG”マーク
──バックプリントのモチーフはどういったイメージで?
戸田 この“I♡BG”マークはお芝居のときのスタッフTシャツとかジャンパーのデザインに何回か使ってはいるのですが、こうして登場するのははじめてかな? ハートの中にダイスを入れたのははじめてですね。スタッフアイテムではそのときの演目によってハートに蝶をプラスしたりとアレンジしていました。 “I♡~”というのは一般的に浸透しているモチーフですし、受け入れられやすいんじゃないでしょうか。
植木 そうだね、はじめてかも。今回Tシャツがモノトーンなので、このハートをピンクにすることでアクセントにしています。写真プリントを使いつつ、全体をモノトーンに仕上げる手法は以前からやってみたいと思っていたんです。こんなに写真加工をした記憶は今までにないので、これも今回はじめてになりますね。
これまでよりもっと多くのことを応援していきたい
──お薦めのスタイリングは?
戸田 女性のなかにはアンダーウェアが透けてしまうので、白は苦手だと思われる方もいると思うのですが、そういう方にはベストとの重ね着をお薦めしたいですね。それから、オーバーオールのストラップを片方はずして、Tシャツを見せるのもいいかも。ひとによってはだらしないと言われちゃうかもしれないけど(笑)、私はそういうカジュアルなスタイル好きなんですよね! 白と黒は定番カラーなので、たとえば秋はボーダーのロンTと重ねたりしてもいいんじゃないかな。
──今回の震災は、クリエイティブ活動になにか影響を与えましたか?
戸田 もともと私たちは「B・G ブランド」のグッズの収益を、ダウン症の子どもたちを応援するための資金として寄付することを目的にやっていて、そもそもピースを求める活動なので、そのコンセプトは変わらないんですけど、もっと多くのことを応援していきたい、という気持ちの変化はありました。このTシャツはこれまでどおり子どもたちを応援するアイテムになるのですが、じつはライブ会場限定展開ということでキャップを作り、本当に微々たるものですが、こちらの収益は東日本大震災の義援金とさせていただきました。
こちらのキャップも草花のモチーフを使い、Tシャツとリンクするようデザインしました。じつはこれ、ひとつひとつ手づくりなんです。
植木 そう、じつは僕の友達がひとつひとつプリントしてくれて(笑)。キャップは普段からかぶりますが、ツバにモチーフがあるタイプのものが好きなんですよね。よくツバの裏面にプリントがされているものはあるのですが、僕はツバを上に折るのが似合わないので(笑)、表面にプリントしました。黒×黒のプリントは姉さんのアイデアです。僕は派手なほうが好きなので、黒であればシルバーとかゴールドを選びがちですが、きっとこれくらいシックなほうが広く受け入れやすいんでしょうね。
戸田 幅広い層の方が楽しめるようにと思って。おかげさまで評判も上々でした! 義援金のことは、これからもまだまだつづけていかないと。本当に果てしのないことですから。今度は色味を変えてみてもいいかもしれませんね!
戸田恵子|K-CO×GOコンビが語る新作の魅力!
「B・G ブランド」からニューアイテム
戸田恵子×植木 豪 対談(3)
「B・G ブランド」もライブも、“エール性”をもったモノなんだ
──前回はディナーショー形式でしたが、今回はどんなライブになりましたか?
戸田 今回は“エール”をテーマに構成しました。美空ひばりさんの『東京キッド』や、SMAPの『夜空ノムコウ』など、私なりにチョイスした“エールソング”を歌い、トークコーナーでは被災地に行ったときの話もさせていただきました。それから、「アンパンマン」の作者のやなせたかし先生が、やはり子どもたちのことをすごく気にかけられていて、メッセージをたくさん残しているのでそれを朗読したり。
また震災直後、『アンパンマンのマーチ』が被災地の子どもたちを励ますエールソングのひとつになっていたようで、これまでも歌ってきた曲だけど、より一層歌うべきときが来たというか、メッセージ性が増したというか。今回ばかりはちょっと意味がちがいました。いつも歌っているオリジナルソングもそうですが、私が選ぶ曲って、“エール”の意味をもった歌が多いんですよね。自分へのエールだったり、女性へのエールだったり、お母さんへのエールだったり。「B・G ブランド」のコンセプトも、ライブも、わりと“エール性”をもったモノなんだということに、あらためて気づきました。
植木 姉さんのライブは本当に“オンリーワン”。通販もやるんですから(笑)! いろんなジャンルの曲があって、表情も一曲、一曲変わっていく。いろんな世代の歌があるからバラエティ豊かなんです。僕らPaniCrewで言うと、ヒップホップやロックミュージックが多いのですが、姉さんはそれ以外にもバラードもあったり、ミュージカルの音楽、アニメソングと、いろんな要素があるから、ジャンルが幅広いぶんだけお客さんも広く、誰もが楽しめるんだと思います。
“カラ元気も元気のうち”ということで、KARAの曲も一曲(笑)
戸田 「はじめていらっしゃった方?」という質問を、必ず最初に聞くようにしているんですけど、けっこういらっしゃるんですよ。毎回歌っている曲もあるから、“もういいよ!”って思ってるひともいるとは思うのですが(笑)、はじめての方もいるんだってことをいつも忘れず、説明する勇気をもつ。ライブはフリートークができる場所なので、せっかくならちゃんとメッセージを届けたい、だからついつい長くなってしまうのですが……(笑)。
植木 あと年齢も聞くよね。
戸田 そうそう、年齢も聞くようにしているんですけど、今回80代が2組いたんです! 20代から80代、時には90代の方がいたりする。そんな幅広い年齢層の方々みんなに楽しんでいただくというのはとてもむずかしいことで、万人にウケることは無理だと思うんです。でもどこか一ヵ所、それぞれ“よかった”と思えるところがないとね。また、そういったものを越えて“よかった”と思ってもらえれば。たとえば朗読というのは、いくつのひとにも届くものだし……
植木 通販もね(笑)!
戸田 そう、通販も(笑)。そういったことを考える時間も、私にとってはすごい勉強なんです。今回“カラ元気も元気のうち”ということで、KARAの曲も一曲歌ったんです(笑)。そういう“お楽しみ”も盛り込んだりしてね。
植木 サンプリングの部分もひとりで歌ってたんですよ! DJがスクラッチで鳴らす“1,2,3,4”ってカウントのところも勢いでいってましたね(笑)。
戸田恵子|K-CO×GOコンビが語る新作の魅力!
「B・G ブランド」からニューアイテム
戸田恵子×植木 豪 対談(4)
“頑張れるかも”って気にさせる力がある、歌ってそういうことなんだ
戸田 たとえ短時間でも、ライブをひとつのエンターテイメントにしたいんです。なので豪のダンスがあることで、視覚的に伝えるものがあるというのはありがたいことです。歌と私のおしゃべりだけでなく、豪のダンスがあり、デュエットがあり、盛りだくさんのコンテンツをきゅっと凝縮したようなライブになっていると思います。
植木 アンパンマンの歌はそれ一曲聴くだけでも価値があると思いますし、『夜空ノムコウ』は原曲もカバーもすごく好きな曲で、学生のときによく聴いていた、そのころのことがふと思い出されました。
戸田 私もSMAPのなかでは『世界にひとつだけの花』より『ライオンハート』よりも『夜空ノムコウ』が好きです。震災直後、なにかのコマーシャルで彼らが『夜空ノムコウ』を歌うのを見て、歌の力の大きさを感じたんです。何度か被災地に行きましたけど、言葉が虚しくて。「みなさん頑張ってください」「心を痛めております」「お見舞い申し上げます」……もちろん心からの言葉なんだけど、空々しく聞こえてるんじゃないかと思ったり。
そんなことを思っている時期に、『夜空ノムコウ』を聴いて、歌のもつひとを励ます力をすごく感じて。“頑張れるかも”って気にさせる力がある、歌ってそういうことだなって思いました。
“ライブは今日の生き様を出すもの”
植木 姉さんは歌の世界観を、歌に込められた気持ちを大事にして歌うんです。だからあまりメドレーはやらないし、一曲が終わったら、つぎの曲に対する気持ちを話す。本人も言うように、一曲一曲演じているというかね。おなじ並びではなく、一曲終わったらつぎはこの気持ちでマックスで、今度はダンスソングでマックスで、と、それぞれちがう感情を出していくので、自分でも新鮮にできているんじゃないかなって思います。だから終わるとすごく疲れるんだと思います(笑)。
戸田 いつももっと“楽に、楽に”ってアドバイスをもらいつつ……でもそれは一理あって、“楽に”って手を抜くことではないんですよね。私、やらないことに対してすごく罪悪感を感じてしまうんです。
夏木マリさんもそういうところがあるそうで、先日結婚した斉藤ノヴさんと一緒にやっているバンドで、彼女もノヴさんに「なんでそんな一生懸命やるの?」「ライブは今日の生き様を出すものだから」って言われ、目からウロコが落ちたとか(笑)。
“ライブ観”というものが少しわかった
植木 ライブがはじまってからも隙があればトイレで発声しているんですけど、リハーサルの時点ですでに100点満点なんだから、そのあともすることないんじゃないかなって僕は思うんです(笑)。でも今回は前よりも愉しみながらできているように感じました。前はバックステージに入ったら“足つった!”って大騒ぎ(笑)。今回はそれがなかった。
戸田 もちろん、足がつったり、トイレで死ぬほど発声したり(笑)、という今までがあっての今回だと思いますけど、私もリラックスしてできたなと思いました! “今日の生き様”、歌のライブってそういうことでいいんだって、腑に落ちたというか。まちがえたとか、うまくできなかったとか、前はものすごく嫌で、落ち込んでいたんですけど、今回は失敗しても全然嫌じゃないというか、すんなり受け止められた。よりよいものを目指すことは変わりませんが、“ライブ観”というものが少しわかった気がします。
せっかく日にちを決めて、お金を払ってチケットを買って、ライブに来てくださる、そんな贅たくな時間のなかで、お客さまにはあったかい気持ちで帰ってほしい。でもそればかり考えていると煮詰まってしまうから、それこそ楽に、いろんなことをしていければいいなと思います。
──ありがとうございました。