連載・和醸和楽|「がんばろう! 東北」 第5回 宮城の大沼酒造店より東日本大震災のご報告
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2015年5月25日

連載・和醸和楽|「がんばろう! 東北」 第5回 宮城の大沼酒造店より東日本大震災のご報告

「がんばろう! 東北」 第5回

宮城の大沼酒造店より東日本大震災のご報告

「乾坤一」を造っている、宮城県の大沼酒造店です。東日本大震災より3ヵ月がたちました。私の町は、国道4号線より少し山手に入ったところにありますので、震災のときは震度6強の地震だけでした。

文=大沼酒造店 大沼 充

今年の冬、なんとかお酒造りが再開できるように努力していきます

津波の被害はありませんでした。町内の場所で亡くなった方はおられませんでしたが、沿岸部で仕事をしていた方が数名お亡くなりになりました。おなじ宮城県でも沿岸部の方々のことを思うと、申し訳ないというか、残念でなりません。

私の町、蔵の町村田、小京都村田。歴史は古く、江戸末期、明治、大正と古い蔵がたくさん建ちならんでいます。今回の地震ではたくさんの蔵が被害を受け、ほとんどが倒壊を示す赤紙を貼られました。立ち入り禁止です。

和醸和楽|大沼酒造 02

和醸和楽|大沼酒造 04

弊社の蔵も赤紙を貼られました。取り壊しをふくめての選択です──3月末に沿岸部のお得意さまのお見舞いに行きましたが、何もありませんでした。お得意さまは無事でしたが、何もありませんでした。受け継いできたもの、築き上げてきたもの、すべてなくなってしまったと──弊社は仕込蔵が甚大な被害を受け、プレハブの冷蔵蔵でもしょうがないかとも考えましたが、受け継いだもの、ことの重さをいまさらながらに考えさせられ、なんとか一部でも江戸末期の蔵を残せないかと思っているところです。

まだ毎日のように余震がつづきますが、それでもやっと落ち着きをとりもどしました。内陸部でも全国の皆さまにたくさんご支援していただきました。感謝いたしております。(村田町の給水車は熊本から来ていただきました)。前を向いて進むしかありません。

今年の冬、なんとかお酒造りが再開できるように努力していきます。皆さまとともに頑張っていきたいと思います。

大沼酒造店
宮城県柴田郡村田町字町56-1
Tel. 0224-83-2025

           
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