坂本龍一|第19回 「テクノ」について言いきる
第19回 「テクノ」について言いきる
教授みずからの回答ですべて解決!する「上から」言いきる。
今回のお題は、テクノミュージックとシンセサイザーについて。
回答=坂本龍一Photo by JAMANDFIX
かつてYMOで一世を風靡なされた坂本大先生へ。
昨今のテクノやハウスなどのダンスミュージックについてどのような印象をおもちですか?
また、ご自身(またはYMO)の遺伝子を正統に継承していると認識されているアーティストはいらっしゃいますか?
やっぱTOWA TEIさんとか?
「アンチ・インディヴィジュアリズム」
この質問の“昨今”はいつごろを指すのか……(笑)。
90年代のテクノの流行はつまらなかったですね、単純で、忘我の境地……なんていうと日本くさいかな。
ベルリンのラブパレードをテレビで観ていたら、「アンチ・インディヴィジュアリズム」っていうポスターを掲げた男の子がいて、これかと思った。個人の意識のないユング的な忘我のなかに入りたいと。
いわゆる無我の境地、ドラッグとか、禅もそうだけど、音楽でも変化のない、よくいえば瞑想的な状態を得ようという、それはそれでおもしろいと思いましたね。
坂本さんのいちばん気に入っているシンセサイザーはなんですか?
また、昔使っていたpolymoogはまだ所有していますか?
ポリムーグは持ってません
いちばん気に入っているか……。いまだに「プロフェット5」かな。
いまは最近のキーボードを使ってますけど、あれはいわゆるシンセサイザーとはちがっている気がして、最近のはプリセットでたくさんの音が入っていて、一から音をつくっていくもんじゃないんです。シンセサイザーは音をつくっていくものなので、そのなかではプロフェット5がいちばん使いやすい。
ポリムーグはYMOのころによく使っていました。とてもいい楽器だった記憶があって、去年の夏のワールドハピネスのリハーサルで使ってみたんだけど、弾いてみたらよくなかった(笑)。ちょっと使えない音だった。いい記憶のまましまっておけばよかった(笑)。使い方を忘れちゃったのかな。ちょっとつらかったですね。フェスでは、アープのオディッセイとヴォコーダーは使ったけど。
そのときのポリムーグ?
YMOのファンで、僕の当時のシンセのセットを大人になって全部買って、演奏を再現するバンドをやっているひとがいるんですよ。それをUstreamで見つけて、連絡して、リハーサルに持ってきてもらったんです。