坂本龍一 第6回 「進路」について言いきる
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2015年4月16日

坂本龍一 第6回 「進路」について言いきる

第6回 「進路」について言いきる

韓国の学生さんからの相談。
日本に行って勉強をつづけたい。
だけどこのまま留学していいものか……。

まとめ=オウプナーズPhoto by JAMANDFIX

私は24歳で、日本への留学を準備している韓国の学生です。
日本には旅行でたびたび行ったことがあり、
ワーキングホリデイで1年間働きながら旅したこともあります。
そのとき貴重な経験ができて満足したので、
今度日本に行くときは日本語を本格的に勉強したいと思っていますが、
それについて悩んでいます。

いま韓国で大学を休学中。
来年あるいは再来年、試験に合格したらまた大学に入学することになります。
わが家には経済的余裕もないので「奨学金をもらいバイトしながら通学」
ということになります。
誰かに、語学ではなかなか就業しにくいって言われました。

それに4、5年後に卒業するときにはもう30歳。
「ただ語学が好き。翻訳がしたい。もっと勉強したい」という気持だけで、
4年間の留学生活が、時間とおカネを投資する価値があるのかどうか。
教授、私はこのまま進んでもいいのでしょうか。


不安になるわけ

うーん。そんなにやりたいなら、やるしかないよ。
このひとは不安になっているようだけど、不安になるということは、本格的にやっていないということ。もっとやれば、不安なんかなくなるはず。

「このまま進むべきか」という質問に、ぼくが「やめたほうがいい」と答えたら、あなたはやめますか?

お前はもう知っている!
ということじゃないですか?
好きなことを夢中でやればいいんです。

みんな情けない!

じつは最近、日本で学生と会う機会が多かったのですが、ホント、みんな情けない!

ぼくの若いころは、大人なんて「ケッ」と思っていたし、実際「ケッ」という大人も多かったわけです(笑)。いまの学生には、上の世代に対する反抗とか、自分で何かを変えてやろうというエネルギーがない。

ある大学で開かれたシンポジウムでは、学生のひとりが「私たちの背中を押してください……」なんて言ってきたものだから、思いきりブチ切れてやりました。
18、9のいちばん反抗的なときに、甘ったれるな!上から何かしてもらおうなんて思うな!と。

近視眼的な人間

ちなみにぼく自身の若いころは……毎日が楽しくて、明日のことなんか考えたことなかったですね。近視眼的な人間なんです(笑)。最近はちょっと視野が広がりましたが。

あのころは、音楽家になろうなんて思っていなかった。音楽家という自覚は、想定外にYMOで有名になってしまって、道を歩いても「あ、坂本だ」と言われるようになったから。しょうがないなあ、と納得せざるをえなかったんです。


スタイリング|櫻井賢之
グルーミング|ふじた まゆみ(ビタミンズ)
衣装協力|ランバン ジャパン(Tel.03-3289-2782) ニットジャケット21万5250円、ポロシャツ12万8100円、ネクタイ4万5150円、トラウザーズ21万7350円
撮影協力|TIME & STYLE EXISTENCE(Tel.03-5464-3205) VALLEハイチェア3万9000円

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