連載・和醸和楽|第33回 広島の旨し酒を求めて 大和屋酒舗
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2015年5月27日

連載・和醸和楽|第33回 広島の旨し酒を求めて 大和屋酒舗

百回試して、千回改める

広島の旨し酒を求めて 「大和屋酒舗」

こんにちは、広島の大和屋酒舗です。当店は広島の繁華街である薬研堀に所在しています。1869年に東広島市志和町で清酒酒造業(当時の銘柄・大和花)として創業しましたが、戦時企業整備令により酒造りを一時中断し、昭和26年に酒小売業としてあらたに生まれ変わりました。現在の大和屋という屋号は創業銘柄の大和花に由来します。

文・写真=和醸和楽

広島、そして身近にいてくれるたくさんの良い造り手たち

さて、自店の紹介はこのくらいにして、わが地元 広島でもぞくぞくと新酒ができあがってきました。先日、お酒の出来を見に飲食店さまとともに呉の宝剣酒造さんと安芸津の今田酒造さんへお邪魔してきました。

「富久長」で知られる今田酒造さんがある安芸津町は古くより杜氏の郷として知られ、“酒都”と呼ばれる西条の酒蔵をはじめ、全国へたくさんの杜氏や蔵人を輩出しています。

広島県の酒造りが近代のような発展を遂げたのは広島杜氏の里である安芸津町の醸造家 三浦仙三郎氏(1847~1908年)によって軟水醸造法が確立されたことによります。仙三郎氏は第1回全国清酒品評会の審査員を務め、杜氏の育成に力を注ぎました。その結果、広島の酒が上位を独占。吟醸酒が広島で生まれたとされる理由はここにあります。

和醸和楽|大和屋酒舗 02

和醸和楽|大和屋酒舗 03

広島の酒を創りあげてきた三浦仙三郎翁の座右の銘は「百試千改」。
百回試して、千回改める……いい言葉です!

写真はいつも明るい女性醸造家の今田美穂さんです。
美穂さんとは日本酒以外にも広島のおいしい果汁を使用した温州みかん酒など地産の素材を使用したお酒造りなども一緒に取り組ませていただいております。

さて、つぎは専務であり杜氏の土井鉄也氏(通称ドイテツ)が待つ呉の宝剣酒造さんです。宝剣酒造さんが所在する仁方町は、瀬戸内海国立公園「野呂山」の山裾に位置し、120年前に野呂山に降った雨雪が伏流水となって製造場内に湧出しています。その湧き水は「宝剣名水」と名づけられ、この水は宝剣の酒造りにとって欠かせないものとなっています。

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写真の土井哲也氏はつねに初心忘れずの気持ちで毎年、頭を丸めて蔵入りします。春から夏にかけての氏と、冬から初春にかけての氏はまるで別人。製造時期の土井鉄は気合入りまくりで蔵にうかがうと緊張感がビシビシと伝わってきます。今年の新酒も当店に届きましたが抜群のできばえでした……旨し!

私がこうして思いをもち日本酒を扱うようになったのも、広島、そして身近にいてくれるたくさんの良い造り手がいるからです。そんな人びととの出会いに感謝し、旨し酒をお客さまにお届けしていきたいと思っております。

(大和屋酒舗 大山晴彦)
和醸和楽|大和屋酒舗 06

こちらはオマケ! 土井鉄が○○族だったころの仲間との酒宴の模様です!

大和屋酒舗
広島県広島市中区胡町4番3号
Tel. 082-241-5660
Fax. 082-241-5661
http://www.e-yamatoya.jp/dm/

           
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