more trees|美酒と美食と美談──more trees night vol.3 開催レポート
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2015年4月23日

more trees|美酒と美食と美談──more trees night vol.3 開催レポート

more trees|美酒と美食と美談──都会で楽しむ森の宴

more trees night vol.3 開催レポート(1)

プラットフォームという言葉が、「発着の場」という物理的な意味を超えて、「イノベーションの場」という社会的な意味を内包するようになってから、もう久しい。人が集まり、知恵、知識、能力が融合(到着)し、社会に広がって(発車)いく場のことである。今回more trees nightのゲストとして登場していただいた後藤繁雄氏は、プラットフォームとしての都市のあり方を模索し、また場づくりに取り組んできた先駆者である。more trees night Vol.3。今宵も、ゲストのトークが美酒と美食に大いなるエスプリを加えてくれた。

Text by OPENERS

森と都市、プラットフォームとしての価値

後藤氏は、日本でもっとも著名な編集者のひとりだろう。YMO再生プロジェクト、銀座資生堂文化サロン、キリンプラザ大阪など、仕事を挙げればキリがない。現在は、京都造形芸術大学教授を務める一方、「独特編集者/クリエイティブディレクター」という肩書きのもと活動している。今、後藤氏が注力しているのは、千代田区にできた話題の施設『3331 Arts Chiyoda』を中心に、アートと都市をつなぐプラットフォームを作るための取り組みだ。これだけモノや情報が溢れている世の中においては、「編集」という技術が、個性を磨く手段として、また、ひとや物事をとらえるうえで大変有効であると後藤氏は語る。

「私たちは膨大な量の情報に日々触れており、そこから必要な情報を取捨選択しています。このことも立派に編集しているといっていい。私たちがいかにして“なりたい自分”になるか。そのために、編集という手法が大きく役立つのです」

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さらに後藤氏は、現代のプラットフォームのあり方についてもこう語る。「今、東京という大都市はその魅力を失い、Webの世界に無数のひとが流れています。もちろん、Webの進化はすばらしい。しかし、リアルな世界もまた大きなポテンシャルを抱えています。都市は最強のプラットフォームのひとつ。そこで、デザイン、ファッション、アートといった「コンテンツ」が、これからの都市のなかでどうあるべきかを模索しながら、大都市というプラットフォームの価値を再認識し、あたらしい魅力を構築していきたいと考えています」

こうした後藤氏の考え方が、more treesにも通ずると語ったのが、トークのファシリテーターを務めたmore trees事務局長の水谷伸吉氏だ。「more treesは、都市と森のプラットフォームになりたいと考えてきました。日本の森は一時期魅力を失い、ひとの手が入らなくなってしまった。そこに私たちがかかわることで、さまざまなコンテンツを提供し、再び森の魅力を伝えていきたい。そのためには、後藤さんがおっしゃったようなコンテンツの存在が重要だと考えています」と語り、森と都市がおなじ問題を内包していることに触れ、どちらにもあたらしいコンセプトとビジョンが必要であると訴えた。

more trees|美酒と美食と美談──都会で楽しむ森の宴

more trees night vol.3 開催レポート(2)

和RE箸そのものが、ひとつのプラットフォーム

この日は、more trees副代表である池田正昭氏が飛び入り参加し、現在池田氏が取り組んでいる間伐材利用を促進するための「和RE箸」について語った。「和RE箸」とは、間伐材を活用した無漂白の割り箸のことで、使用後は回収されオガクズになり家畜のベッドとして利用される。さらにその後は堆肥として畑にまかれ、野菜などを育む仕掛けだ。池田氏は、「和RE箸は、本当に穴のない持続可能な環境活動。ぜひ協力してほしい」と語った。和RE箸そのものが、ひとつのプラットフォームとなり、ひとの生活と牧畜、そして飲食産業を、環境という輪でつなぐことになる。

トーク終了後には、会場にいた人びとが、それぞれの思いを熱く語りあった。都市も森も「プラットフォーム」として考えることで、あたらしいかかわり方が模索できる。
参加者からは「考え方をあらためさせられた」「都市と森の可能性に思いを馳せた」といったポジティブな感想を聞くことができた。回を重ねるごとに、トークが充実し、来場者の満足度が高まるmore trees night。

次回のmore trees nightは、話題の木製ケータイ「TOUCH WOOD SH-08C」の開発者たち

〜美酒と美食と美談〜 都会で楽しむ森の宴「more trees night」

11/29(月) more trees night Vol.4 開催が決定した。各界著名人が名を連ねるmore trees賛同人のなかから、毎回、1名がゲストとして会場を訪れ、more trees事務局長の水谷伸吉氏とトークを繰り広げるmore trees night。次回のゲストは賛同人ではなく、11/8にNTTドコモから発表されたばかりで話題の「TOUCH WOOD SH-08C」の開発者2名だ。このケータイの開発には、NTTドコモ、シャープ、オリンパス、more treesがかかわっている。

当日ゲストとしてトークに参加するのは、製品の企画を担当したNTTドコモの開発担当者、そしてもう1人は、ケータイ背面に使用された木材パネルの加工を担当したオリンパスの開発担当者である。木材を活用したケータイは国内初。デザイン性も高く、早くもネット上では評価も高い。今回のmore trees nightは、「TOUCH WOOD SH-08C」の最新情報と開発秘話に触れることのできる、大変貴重な機会になるはず。参加定員は35名。場所は、原宿Restaurant-I。誰でも参加できるが、応募多数となった場合は抽選となる。最新機器である携帯と、森の繋がりはなんなのか。美酒と美食と酔いしれながら、未来のことを考えたい。

11/29(月) more trees night Vol.4
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