萩原輝美|デザイナーが変わりながらもブランドのスタイルは続きます
萩原輝美のファッションデイズ vol.114
「シャネル」、「ジャンポール・ゴルチエ」、「エルメス」、「メゾン マルタン・マルジェラ」
デザイナーが変わりながらもブランドのスタイルは続きます
去る人、来る人。今シーズンも騒がしいコレクションとなりました。ゴルチエがプレタポルテ最後のショーを発表。クリストフ・ルメールもエルメス最後のコレクションとなりました。マルタン・マルジェラは来シーズンから休業中だったジョン・ガリアーノを迎えてコレクションを一新します。人は変わっても極上のクオリティーと究極のエレガンスを競う舞台に変わりはありません。今シーズンもそれも存分に堪能しました。
Text by HAGIWARA Terumi
街に寄り添う、取って置きのラグジュアリーシャネル
2015年春夏コレクションのシャネルは先シーズンのスーパーマーケットに続き、グランパレの会場をパリの路地に変えました。アベニューシャネル(シャネル大通り)をモデルたちは思い思いに闊歩します。マスキュリンとフェミニンを交差させジャケットにワイドパンツやプリーツスカートを合わせます。フィナーレは「FREEDOM(自由を)」と大書したプラカードを持ってのデモ行進です。マニフェスタシオン。パリでは日常化している街頭風景です。スーパーマーケットにデモ行進。カールはパリにありふれた日常を舞台にすることでシャネルという「ラグジュアリー」を「リアル」に繋げました。
アデュ!ミスター・ゴルチエ、お別れコレクション。今後はクチュール一筋です
ジャンポール・ゴルチエは今シーズンがプレタポルテ最後のコレクションです。これからはオートクチュールだけを発表することになりました。大きな劇場をステージにテーマは“ミス・ゴルチエ”。ショーはブラック&ホワイトのスーツに始まります。「ありがとうミス・ジャーナリスト」と謳ったシーンでは名物記者スージー・メンケスやイタリアンヴォーグ編集長フランカ・ソッザラーニに似せたモデルが登場しました。フィナーレはスモークを焚いたビデオをバックに現れた「ミス・スモーキング」です。70年代に話題を呼んだサンローランのスモーキングジャケット、ドレスのバリエーションです。パリモードをパロディーに変えたユーモアたっぷりの演出!最後まで茶目っ気いっぱいのゴルチエさんでした。
クリストフ・ルメールもエルメス最後のコレション
エルメスはリュクサンブルグ公園の温室を褐色の砂漠に変えてしまいました。ベージュ、グレイのゆるいパンツスーツやドレスは、太陽に映える何ともピュアなエルメススタイルです。アフリカの先住民マスクをカットワークしたドレス、馬プリントドレスが印象的です。今シーズンがクリストフ・ルメール最後のコレクションとなりました。
メゾン マルタン マルジェラの過去を未来に継ぐ。次はガリアーノ
マルジェラが退任してからもブランドらしさを守り続けているメゾン マルタン マルジェラは、解体した服を未来の服に作り変えます。来シーズンからは元ディオールのデザイナー、ジョン・ガリアーノがデザインします。お楽しみに!
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/