Giuseppe Zanotti Design|ブランド20周年記念コレクションを発表したザノッティ氏にインタビュー
Giuseppe Zanotti Design|ジュゼッペ・ザノッティ・デザインブランド
20周年を記念し来日を果たしたザノッティ氏にインタビュー
4つのテーマのアニバーサリーコレクション(1)
今年20周年を迎えるジュゼッペ・ザノッティ・デザインは、アニバーサリーコレクションを限定発表。ブランドのアイデンティティを象徴する4つのキーワードに基づく、4つのコレクションの全貌は今後一年にわたり順次ローンチされる。このビッグプロジェクトの始動にあたり、6月発売の第一弾コレクション「JEWEL(ジュエル)」とともにデザイナーのザノッティ氏が来日した。
Photographs by ASAKURA KeisukeText by HAGIWARA Terumi
セクシーはユニバース(すべて)――ジョゼッペ・ザノッティ
「女性の足が必要とするものすべてを満足させるのが私の仕事」と言うのは、セクシーでエッジの効いたパンプスで人気の靴ブランド「ジュゼッペ・ザノッティ・デザイン」のデザイナー、ジュゼッペ・ザノッティさん。ブランド20周年を記念して来日したザノッティさんにブランドの今と、これからを聞きました。
――ブランド20周年おめでとうございます。
アニバーサリーを記念した4つのカプセルコレクションをこれから1年かけて発表されるそうですね。
そう、私の仕事20年の集大成として、“シューズファミリー”を発表します。本や映画を作るように20周年の記念として“ファミリー”を作りたかったんだ。6月の第一弾が“ジュエル・コレクション”。ゴールドソールのフラットなサンダルです。次回9月のテーマは“ロック&ロール”、11月“ブラック・スチレット”。来年2月には“ディスコ”を発表する予定です。
――開放的なサンダルですね。ゴールドを選んだ理由は?
女性の素足を入れると、夏に一番美しい色だから。11月に発表する“ブラック・スチレット”はオールブラックです。
――ディスコと言えば、靴を作る前はDJをしていらしたとか。
音楽は私の一部です。どの時代もディスコはタイムレス! だから最後のコレクションのテーマにしたんだ。
――20周年を機にメンズコレクションにも力を入れてゆくとか。最初のコレクションが2年前とは意外に遅かったような気がしますが。
じつは、メンズシューズには興味がなかったんです。3年前、カニエ・ウエストからメンズスニーカーのデザインを依頼されたけれど断ったんだ。するとカニエが私に「ジーンズは好きか?」と聞いたので、私は「好きだ」と答えた。すると彼は「ジーンズは男のもの? 女のもの? 音楽は? 車は?」と続けました。こうして私は、ユニセックスという視点からメンズシューズを作ってみることにしたんだ。もちろんヒールは女性のものかもしれないけれど、ウィメンズからメンズに変身させることもできると気づいたんだ。
――コレクションテーマは毎シーズン変わりますが、
どのようなことからインスピレーションを受ける?
どんなことにでもインスピレーションは湧きます。でもストーリーが大切なんだ。以前ケニアのインド洋で見たライオンフィッシュという魚。その色調が美しくて、私は危険とも思わず近づいてみたんだ。するとその魚が私の身体を何カ所も刺し、病院に運ばれて3日間痛くて夜も眠れなかった。この魚は女性のように、美しくて危険だ、というストーリーでデザインしたのがこの魚の靴です。この靴は魚にかんするストーリーだけど、他の靴にはまた別のストーリーがあるよ。
Giuseppe Zanotti Design|ジュゼッペ・ザノッティ・デザイン
3年ぶりの来日を果たしたザノッティ氏にインタビュー
4つのテーマのアニバーサリーコレクション(2)
ブラックデニムに合う靴はラグジュアリーブランドのドレスにも合う
――ケニアにはプライベートで? 休日はいつもなにをしている?
毎年まとまった休みを取るようにしていて、海でボート遊びをするのが好きかな。それ以外の時間はベニスとニューヨーク、ロンドンにある別荘を飛び回って仕事してるんだ。
――久しぶりの日本はいかがですか?
前回、東京に来たときからそんなに違いはないと思うけど、日本のエネルギーは好きだよ。とくに80年代、山本耀司、三宅一生、川久保玲はファッションに大きな影響を与えたことで印象に残ってるかな。いまの時代、インスタグラムやツイッターといったSNSがあるから、ファッションはどの都市も差がないというか、同じエネルギーが流れているように感じます。
――デビューコレクションはニューヨークでしたよね。なぜニューヨークで?
ニューヨークは大好きな街。イタリアで展示会をしても受け容れられなかった。そこでニューヨークのプラザホテルでプレゼンテーションしたんだ。すぐにプレス、バイヤーの反響があり、バーニーズ、バーグドルフ・グッドマン、サックスなどが買い付けてくれた。今も海外の方が人気が高い。
――新たに発表したRTWの広告ビジュアルには男女ふたりが並んでいます。レザーブルゾンもデザインしたとか。今後はプレタポルテも始めるのですか?
レザーが好きだからその延長線上としてジョギングウエアのようなブルゾンやパンツを作ったんだ。あくまでも私は革職人なんです。この洋服も“Ready to Wear”ではなく、“Leather to Wear”と呼んでいるんだ。
――自身のブランドを始める前はフリーランスシューズデザイナーとして、他のデザイナーのプレタポルテに合わせたデザインをしていました。今デザインするときイメージする服は?
ジーンズが多いです。ブラックデニムの足元に合う靴は、ランバンやヴァレンティノなど一流メゾンのドレスにも合うはず。ジュゼッペ・ザノッティ・デザインの靴はファッションブランドのためではなく、私のためのデザインです。
20年前、ブランドをはじめたときは30型のみの展開だった。いまはウィメンズだけで1000型、メンズは300型ぐらい生産している。それからバッグとジュエリーもある。私のDNAがアイテムのなかで生きることが喜びなんだ。
――ザノッティの靴はセクシーさが魅力ですね。ザノッティさんにとってセクシーとは?
セクシーは夢を与えてくれるもの。ホットとクールが同居している。セクシーはユニバース!
靴のデザインストーリーを話すときは、もう人生そのものと楽しそうに話してくれました。ニューヨークの刺激とクラブが大好き! これからもジェッセッターの靴職人として、女性だけではなく男性の足もともセクシーに飾ってください。
Giuseppe Zanotti|ジュゼッペ・ザノッティ
1980年代、レザーが大好きで靴作りをはじめる。フリーランスのデザイナーとしてティエリー・ミュグレー、ヴァレンティノなど数多くのファッションブランドの靴をデザインする。90年代もっと自由にデザインを手掛けたいと、ヴィチーニの靴工場を買収。クリエーションと製造の基地を作り自身のブランド、ジョゼッペ・ザノッティのコレクションをスタートする。
ブルーベル・ジャパン
Tel. 03-5413-1050