萩原輝美|若返ったルイ・ヴィトン、エルメスのほっと幸せなクチュール服
萩原輝美のファッション・デイズ vol.100
リアル&シンプル 若返ったルイ・ヴィトン
ニコラ・ジェスキエールのデビューコレクション
ほっと幸せなクチュール服
クリストフ・ルメールのエルメス
2014-15秋冬コレクションが出揃いました。色、フォルムにこだわったスタイリングが気になるシーズンです。
Text by HAGIWARA Terumi
リアリティと技へのこだわり
その両方が交差して作り上げるモダンクチュール服
2014-15秋冬コレクションサーキットも終盤です。今シーズンはリアル&シンプル。すっきりシンプルなドレスやコートのコーディネイトがたくさん登場しています。もちろんクオリティと技にこだわる、ただのシンプル服ではないのですが……。
パリ最終日のルイ・ヴィトン。ニコラ・ジェスキエールのデビューコレクションに胸躍らせてコレクション会場へ。ルーブルの中の特設テントです。グレイの巨大な建物。くねくねと曲がったキャットウォークステージを客席が囲みます。ほどなく、四方のブラインドが上がり光が射し込むと、さあショーのはじまりです。
シンプルでガーリー! ファーストルックはミニマルなミニドレスにレザーコート。黒、ベージュ、白を中心にオレンジのアクセントカラーを射し入れています。ウエストをきゅっと絞った台形シルエットにジェスキエールらしい複雑なカッティングが光ります。象眼細工や刺しゅうを盛り込んでリアルに若返りました。
もうひとつの出色コレクション、エルメスは広い会場にベルベットのカーテン、ソファーを設えました。淡いグレイ、ベージュ、エクリュの量感あるコートにシンプルなパンツスーツ、フレアースカートを合わせています。衿のボリューム、ボトムスの揺れが優雅です。
手刺しゅうの生地を裏返して淡く仕上げたドレス。ホースヘアーのコートの下に鹿革のパンツを合わせるなど、素材と技にクチュール感たっぷりのコレクションでした。奇をてらうデザインはどこにもないのに、とても新鮮! ほっと幸せな気分にしてくれるコレクションでした。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/