萩原輝美|ディオールの、クチュール技忍ばせた至極のエレガンス
萩原輝美のファッション・デイズ vol.97
ディオールの、クチュール技忍ばせた至極のエレガンス
2014年春夏オートクチュールはディオールで幕明けました。60年代のクチュールサロンを模した白い空間に登場したのは繊細なクチュール技で作られた真白いドレスです。
Text by HAGIWARA Terumi
揺りめくる花のドレス
2014年春夏オートクチュールコレクション。ディオールの繊細な白いコレクションで始まりました。60年代のクチュールサロンをイメージした会場はいつもより小さく、白いキューブをつないだインテリア。どの席からも目の前で作品が見られるように設えています。何枚も重ねたシルクオーガンザのドレスはフレアーたっぷりのアシンメトリーヘムが歩くたびに揺れます。背中を覆うトレーンは風をはらんで優しく膨らみます。
大空に飛び立ちそうな軽やかなドレスには、クチュール技が奥深く潜んでいます。重なるオーガンザをカットワークし、花びらのように揺りめくりながらビーズをのせる。開いた花びらの中にパールを忍ばせる。自分だけの贅沢感を満たしてくれます。「クチュールから得られるエモーショナルな体験をテーマにしたかった」と、アーティスティックディレクターのラフ・シモンズさん。合わせた靴はシルバーレザーのアンクレットがひざ下まで伸びるスタッズのついた3Dデザインです。
テクニックを内に秘め、三次元のスタイルで見せたコレクション。ラフ・シモンズならではのモダンクチュールの世界にうっとりの20分でした。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/