萩原輝美|時を甦らせて──マーク・ジェイコブスのラストコレクション
萩原輝美のファッション・デイズ vol.93
時を甦らせてルイ・ヴィトン、マーク・ジェイコブスのラストコレクション
ロンドンで見せたJ.W.アンダーソンのモードな服
マーク・ジェイコブスが16年続けたルイ・ヴィトンを引退、集大成のファイナルコレクションを発表しました。パリのラグジュアリーブランドのデザイナー交替が続きます。
Text by HAGIWARA Terumi
過去のコレクションの集大成
パリコレクション最終日、10:00からスタートするルイ・ヴィトンはマーク・ジェイコブスがデザインする最後のコレクションとなりました。いつもの会場テントの入口は、ホテルをテーマに発表した2年前と同じメイドの掃除する姿が。同じ演出を2度やるなんてこと絶対になかったマークが、どうしてと訝りながら会場に入ると……。
噴水に回転木馬、エレベーターにエスカレーター、ホテルのドア……と、今までのテーマがずらり。なんと過去のコレクションの集大成的プレゼンテーションです。噂に聞いていたマークの引退話はやっぱり本当だったんだ。
登場したのは、黒のレースにビーズ刺しゅう、クチュール技を思わせるレースのトップスにダメージデニムの組み合わせ。頭にはクジャクの羽根を付けています。レースは思い切り繊細に、刺しゅうはゴージャスに、そしてデニムはリアルです。
ショー開始時10時きっかりを指していた舞台正面の大時計はフィナーレ、15分のショーを終えマークが出てきた時には針は逆戻りして9時45分を指していました。しみじみと過去を甦らせてくれたファイナルコレクション。16年間、毎シーズンわくわくさせてくれたマーク。ありがとう。
次シーズンからはこれまでバレンシアガをデザインしてきたニコラ・ゲスキオールです。
ロンドンで今一番注目のJ.W.アンダーソンが、来シーズンからロエベのデザイナーに抜擢されました。リアルなモダン服で定評がありましたが、14SSはぐっとモードなコレクションになりました。シャーリングにプリーツなどしなやかな素材をボディにフィットさせます。これからが楽しみなデザイナーです。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/