FASHION /
WOMEN
2015年4月7日
萩原輝美|クチュールの世界を広げたヴィクター&ロルフ
萩原輝美のファッション・デイズ vol.84
クチュールの世界を広げたヴィクター&ロルフ
オートクチュールが元気です。7月第1週目におこなわれたパリ2013-14秋冬オートクチュールコレクションは参加ブランドも増え、見応えあるコレクションが並びました。
Text by HAGIWARA Terumi<M/span>
観客をひき込んだ静寂の舞台
ヴィクター&ロルフは13年ぶりにクチュ-ルコレクションを発表しました。98年のクチュールコレクションではアトミック ボンブをテーマにした作品を発表しました。オーガンジで膨らんだ大きなキノコ衿はしぼむと美しいドレープの服になるというコンセプチュアルなショーでした。
今シーズンは、会場いっぱいに龍安寺の石庭を思わせる砂紋柄のカーペットが敷かれました。黒衣姿のヴィクター&ロルフが登場すると、禅僧さながら背中合わせに座禅を組み始めます。
会場は静まり返って荘厳な空気が流れます。ゆっくりとモデルがひとりずつ登場。ネオプレンのような光沢と張りのある黒い服は、接ぎ合わせのふくらみが交差し、複雑なシルエットを浮き立たせます。
歩き終えたモデルたちは、そのまま会場に座り込んで石庭の石に変身です。
デザイナーが服のシルエットを整え、20体のボディが静の空間を作ります。ストイックなV&R流ジャポニズム。「クチュールは純粋な創造のラボ」とヴィクター&ロルフは言います。これからはクチュール、プレタの両ラインで発表をしていく計画です。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/