萩原輝美|2012年秋冬オートクチュール・コレクションからリポート第2弾
萩原輝美のファッション・デイズ vol.60
クチュリエたちの手仕事による、繊細で構築的なクリエイション
2012年秋冬オートクチュール・コレクションからリポート第2弾。今回はアトリエ ヴェルサーチとジバンシィ オートクチュールバイ リカルド ティッシから、クチュリエたちの手仕事が紡ぐ夢のようなラインナップを紹介。
Text by HAGIWARA Terumi
ドナテラ・ヴェルサーチが描く、神秘の世界
先シーズンの2012年春夏コレクションからオートクチュール・コレクションに復帰したアトリエ ヴェルサーチは、タロットカードのシンボルである太陽、月、星をイメージした作品を発表しました。プリントされたレザーが細くカットされ、丹念に繋ぎ留められながら構築的なボディを作ります。エナメルテープでできたコルセットトップから描くのは、流れるようなマーメイドライン。クモの巣のようなピンクゴールドのビーズドレスはグラマラスでエレガント。今回はファインジュエリーがランウェイで初披露されましたが、すべてオーダーメイドの1点ものです。
リカルド・ティッシ、1960年代と華美なジプシーの融合
ヴァンドーム広場に面した部屋でのプレゼンテーションが恒例のジバンシィ オートクチュールバイ リカルド ティッシは、1960年代モードにジプシーテイストをくわえました。ミンク、レザーで繊細なフリンジやタッセルを作り、ドレスやケープにつなげます。背中を大胆にカットしたベストからドレスがのぞくルックなどは、コントラストが美しく、シルエットも流麗。裏地にほどこした装飾、ベーシックカラーのドレスにほどこされた赤のビジューが大胆です。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/