萩原輝美 連載 vol.148|業(わざ)と質で見せる成熟時代のファッションづくり
業(わざ)と質で見せる成熟時代のファッションづくり
ガリアーノ(メゾン マルジェラ)、
高橋盾(アンダーカバー)、kei ninomiya
ジョン・ガリアーノがファッションの最盛時、80年代を蘇らせました。noir kei ninomiya(ノワール ケイ ニノミヤ)も縫わずに作るという野心作に挑戦。10年後を見据えたデザイナーたちの活躍が目立ちます。
Text by Terumi Hagiwara
10年後を見据えたデザイナーたちの活躍
「ファッショントレンド&トレンドビジネスの行方」をテーマにワークショップが開かれました。(主催:CARATO71PROJECT WORKSHOP)
最近はスタイリング中心のリアルコレクションやクチュールの手業を盛り込むプレタポルテコレクションが目立ちます。人口が減少、成長から成熟へ向かう中、10年後はどうなるのでしょうか?
メゾン マルジェラのクリエイティブ・ディレクター、ジョン・ガリアーノは「今の若い人たちにもっとファッションの楽しさを知ってほしい。70年代、80年代にはファッションの勢いと楽しさがあった。」と振り返っています。2016-17秋冬コレクションではその時代とファッショテイストを織り交ぜたコレクションを発表しました。今シーズンの大きなトレンド、コラージュに時代を盛り込みます。別ブランド、エムエム6(シックス) メゾン マルジェラではベーシックなクオリティの高いアイテムを並べました。
アンダーカバーがぐっと大人になりました。白髪のモデルを起用した、しっとりしたクオリティのある作品です。プリントのトップスにゆったりとしたベルベッドのパンツ、量感あるロングコートを重ねます。ロングマフラーや大きなアウトポケットなど遊びのディテールも健在です。余韻が残るコレクションでした。
コム デ ギャルソンのブランド、noir kei ninomiyaはパリコレクション期間中、ヴァンドーム広場にあるショールームで小さなショーを行いました。布やレザーを編んだり、ひねったりと、縫う以外の方法で服を作るという野心的なアプローチです。noirは黒だけのコレクション。スタッズを手で1個1個つけたフェイクファーコートは逸品です。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/