萩原輝美|ラフ・シモンズが見せた最後のジル・サンダー、圧巻のコム デ ギャルソン
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.51
ラフ・シモンズが見せた最後のジル・サンダー、圧巻のコム デ ギャルソン
季節は巡り、モード界では2012-13年秋冬コレクションが続々と発表に。ファッションディレクター萩原輝美さんが向かったミラノ、パリ、それぞれで注目したブランドは? 心動かされたショーを、ここでいち早くリポート。
Text by HAGIWARA Terumi
ミラノとパリ、それぞれから出揃った注目ブランド
2012-13年秋冬プレタ・ポルテコレクションがはじまりました。ミラノでは、ショーの直前にジル・サンダーのデザイナー、ラフ・シモンズの辞職が発表されました。クチュール的なこだわりのカッティング服を発表して存在をアピールしてきただけに、とても残念。ショーステージにディスプレイされた生花。その合間を縫ってモデルが歩きます。ゆったりとしたカシミアダブルフェイスのコートを纏う優雅なスタイルです。中には、カシミアのレースやリブニットをパッチワークしたドレスを合わせています。シャープな黒のスーツにコートスタイル。溜め息を誘う美しい服が並びました。フィナーレは涙と鳴り止まぬ拍手のスタンディングオベーション。忘れられぬショーとなりました。
パリではコム デ ギャルソンが圧巻のコレクションを発表しました。テーマはディメンション。立体を捨てた平面の服です。ペタンコに縫われた服は身体が入ると、微妙な傾斜と厚みで立体化されます。身体に合わせて服を作るのでなく、服に身体を合わせるのです。身体と服のかかわり合いを逆転させてしまったまったくあたらしい服の登場です。デザイナー川久保玲さんの挑戦は止むところがありません。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/