萩原輝美 連載 vol.131|若手デザイナーがクチュールで実力発揮
FASHION / WOMEN
2015年9月3日

萩原輝美 連載 vol.131|若手デザイナーがクチュールで実力発揮

「ブシュラ・ジャラール」「ディーチェ・カイヤック」

若手デザイナーがクチュールで実力発揮

ゴルチエ、ヴィクター&ロルフにサンローラン、ビッグブランドが相次いでクチュールに参入しています。ベテランばかりではありません。若いデザイナーが続々オートクチュールに名乗りをあげています。若いデザイナーを続々と排出した80年代プレタポルテを思わせる熱意が今、オートクチュールから伝わってきます。

Text by Terumi Hagiwara

誰にも真似のできない服、それがクチュール

オートクチュールに関心を寄せる若いデザイナーが増えています。ディーチェ・カイヤックのデザイナー、エチ・エゲさんは20年続けていたプレタポルテでのショー発表を打ち切り、昨年からクチュールで作品を発表し始めました。理由は「マネできない私だけの服を作りたいから」。プレタポルテで発表した服が半年後にはファストファッションのウインドーに並んでいる。「誰でも作れる普通の服を作っていたのでは、ファストファッションに呑まれてしまう」そこで思い立ったのが「手技を入れた自分にしかできない服」それがオートクチュールコレクションにつながった。「コレクションを発表するって本当にエネルギーがいること」2015-16秋冬のコレクションはサテンをふんだんに使い、タックで形作ったアシンメトリードレスやフレアーを入れたタキシードのパンツスーツなどを披露しました。

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リアル・クチュールの時代がやってくる

4年前にデビューしたブシュラ・ジャラールが目指すのはリアル・クチュールです。バレンシアガでニコラのアシスタント時代にアーカイブ作品に触れ、目からウロコだったとか。「こんな技術がパリにはある。それを絶やさずに、自分の作品にとり入れたい」。レザーのライダースジャケットに流れるようなシルクのパンツやドレスを合わせます。リアルスタイルなのにとってもエレガント。糸から選び織り上げる生地に、繊細なカッティング。ふた手間かけて作るしなやかさ。この秋はぐっとモダンになってリアル・クチュールの世界を広げました。

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萩原輝美

萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/

           
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