連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.30
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.30
ボッテガ・ヴェネタとエルメスの最新コレクションから紐解く
クチュールテクニックを駆使したウールコートが旬
秋冬シーズンの注目アイテムは、肩のマグネットラインやコクーンシルエットなど、クチュールを彷彿とさせるフォルムのウールコート。今回はボッテガ・ヴェネタとエルメスの最新コレクションより、トレンドをピックアップ。
Text by HAGIWARA Terumi
クラシックだがリアルな、アウターの着こなし
2011-12秋冬は、あたたかく包み込んでくれるウールコートが注目アイテムだ。コレクションも雪を降らせる演出が多かった。60年代と言えば、クチュールテクニックを駆使したフォルムのコートやドレスがモダンスタイルとして登場した時代。磁石の丸みのような肩線のマグネットライン、裾が内側に入ったコクーンシルエットなどカッティングでラインを作るコートだ。
特徴は大きなボタンやポケット、トリミングなどフォルムを強調するディテールが目立っていること。ダブルフェイスのカシミア、アルパカ、フラノなどベーシックな素材ほどフォルムが生きてくる。
鮮やかなオレンジのコートではじまったボッテガ・ヴェネタはレディライクなコートとスカートのアンサンブルを披露した。ロングチュニックやカーディガンジャケットにプリーツスカートの組み合わせはクラシックだがリアル。ぺたんこシューズが新鮮だ。
エルメスのデザイナーに就任したクリストフ・ルメールのデビューコレクションは、左岸にオープンしたばかりのブティックでおこなわれた。ホテルの地下プールだった店内は、タイルと木で構成された気持ちのいい空間だ。
ロングコートを羽織った全身エクリュのコーディネイトにキャメルのロングブーツが映える。ニットやファーの帽子は冬を楽しむ大切な小物になりそう。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップ「デザインワークス」のレディスのディレクションも担当。オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/