Calvin Klein Collection|特別対談 イタロ・ズッケーリ×島津由行
Calvin Klein Collection|カルバン・クライン コレクション
特別対談 イタロ・ズッケーリ×島津由行
ドーバー ストリート マーケット ギンザでの期間限定カプセルコレクションにて、日本初上陸を果たした「Calvin Klein Collection(カルバン・クライン コレクション)」。これを記念して、スタイリスト/ファッションディレクターの島津由行氏と同ブランドのメンズ・クリエイティブ・ディレクターを務めるイタロ・ズッケーリ氏との対談が実現。同ブランドを1980年代から見つづけてきた島津氏が、その歴史とともに、クリエイションを読み解く。
Photographs by JAMANDFIXText by IWANAGA Morito(OPENERS)
島津由行が語る、カルバン・クラインの過去と現在
島津由行(以下、島津) カルバン・クラインのコレクションは、Made in USAのころからチェックさせていただいています。今季のコレクションでも登場したMA-1のブルゾンですが、いまだに当時のモデルを持っているんですよ。
デザイナー自身がミリタリーやワークから入ってきている方だったとおもうのですが、クラシカルなアイテムを使っているなかで、あたらしさとともに、ブランドのイメージを作り、表現されてきましたよね。
そのころは、ミリタリーテイストを用いたファッションをとてもモダンに感じた時代でした。それにくわえて、サイジングなどの点においても、新鮮で都会的なものを感じていました。ブランドの動向を長いあいだ見てきましたが、これまで、日本にファーストラインが入ってきたことがなかったというのは意外でした。
イタロ・ズッケーリ(以下、イタロ) はい。ライセンスやセカンドラインでの提供はおこなっていたのですが、「カルバン・クライン コレクション」としては、本当に長いあいだ、日本の皆さんにお届けすることができていませんでした。今回、期間限定というかたちですが、ドーバー ストリート マーケット ギンザでリローンチできたということを、非常にうれしく感じています。デザインも、より若い人向きに変化している部分があるので、あのようなスペースであらためて紹介できるというのは、ブランドの意向としてもベストなことだと考えています。
島津 2014-15年秋冬のコレクションを、ランウェイのルックで見たところ、少し大柄な印象があったのですが、実際に袖を通してみると日本人のような体型でも着こなせそうなサイジングでした。そのあたりもモダンだな、とおもうのですが、そういう意味ではアメリカ本国的にも若い人向きなのかもしれませんね。
率直におもったことを申し上げるのであれば、すごくよかったです。今回おこなわれたリローンチを機に、カルバン・クライン コレクションのアイテムが日本で手に入るチャンスが増えることを期待しています。僕も、エディトリアルで表現したいと感じました。
イタロ ありがとうございます。エディトリアルでのアピールはファッションブランドにとって大切な要素なので、ぜひ島津さんと共演させていただきたいです。じつは今回、日本での展開のためにオリジナルのルックブックを作ってもらったんです。若い日本人モデルに着せて、新進気鋭のカメラマンに撮ってほしい、というオーダーのもと、以前から親交のある日本のスタイリストにお願いしました。
島津 こちらですよね。まず製本の仕様が非常に豪華で、びっくりしました。
イタロ 私も写真は先に見ていたのですが、このようにブックレットとなって手にしたとき、そのゴージャスさにあらためて驚きました。もちろんビジュアルも大満足で、日本人ならではのクリエイションによる洗練された印象を受けました。
実際にこのルックブックは、ニューヨークのドーバー ストリート マーケットにも置いています。各国にあるドーバー ストリート マーケットですが、やはり日本的なムードをもったショップです。そのような視点からも、売り場にとてもマッチする素晴らしい仕上がりとなりました。
ブランドのアイデンティティを理解するということ
島津 カルバン・クラインといえば、ケイト・モスを起用したモノクロームのアドバタイジングビジュアルで、1980年代から、時代を象徴するエディターにより独自のスタイリッシュなイメージを築き上げてきましたよね。僕はあの写真が本当に好きで。アンダーウェアのパッケージの印象が強いかもしれませんが。
ほかにはない画期的なブランディングで、イメージの訴求を成功させている稀有なブランドですよね。そのいっぽうで、今回のドーバー ストリート マーケット ギンザでの展開のように、あたらしいスタイルに変化してきているというのも、とても素敵なことだとおもいます。
イタロ 現在もモノクロームで表現するビジュアルは継続して打ち出しています。やはりあのキャンペーンは、ブランドのイメージを決定づけたものだと、自分たちでも理解しています。2015年春夏のコレクションでは、アンダーウェアを扱うということを意識的におこないました。やはり、カルバン・クラインにとって、アンダーウェアやジーンズというアイテムは、ブランドを形成するうえで欠かせないエレメントですから。
島津 ショーではレイヤードでアンダーウェアを見せるというスタイルも披露されていましたね。あれはおもしろいアプローチでした。
イタロ はじめはウエストでブランドロゴとともに見せようかとおもったのですが、なかなかうまくいかなかったので(笑)。ハーフパンツとのレイヤードで裾から見せてみました。ブランドのアイデンティティをどうスタイリングに落とし込むかという点で、自分でも気に入っているルックです。
島津 まさにカルバン・クラインだからこそ可能なスタイルですよね。うまく表現したな、と感心させられました。
ところで、イタロさんは日本によくいらしているようですが、どのような印象をおもちでしょうか?
イタロ 大好きです。日本の言葉が好きなんですよ。食文化も豊かで、来るたびにあたらしい発見をあたえてくれます。
島津 そう言っていただけるとうれしいですね。文化的なところのお話ですと、京都も気にいっていただけるはずですよ。
イタロ じつは、まだ行ったことがないんです。東京にいたことしかなくて……。いつもゆっくりする暇がなく、すぐにニューヨークへ戻ってしまうのです。もっと長い期間滞在して、いろいろなところを見て回りたいですね。
『A special men’s capsule from Calvin Klein Collection』
日程|10月24日(金)~11月13日(木)
場所|ドーバー ストリート マーケット ギンザ
東京都中央区銀座6-9-5 ギンザコマツ西館
Tel. 03-6228-5080
CK サービス・コーポレーション
Tel. 03-6418-5875
SHIMAZU Yoshiyuki|島津由行
スタイリスト/ファッションディレクター。1959年熊本生まれ。数多くのCF、雑誌や広告媒体などを中心にタレントやモデルのスタイリングを担当している。また、ファッションショーの構成や選曲、雑誌にてクリエイティブディレクションも手掛けるなど、多方面で活躍中。